第222回:武田綾乃さん

作家の読書道 第222回:武田綾乃さん

 学生時代に作家デビュー、第2作「響け!ユーフォニアム」がいきなりアニメ化され人気シリーズとなった武田綾乃さん。さまざまな青春を時にキラキラと、時にヒリヒリと描く武田さんはどんな本を読み、どんな思いを抱いてきたのか。お話は読書についてだけでなく、好きなお笑い芸人や映像作品にまで広がって…。意外性に満ちたインタビューをお楽しみください!

その4「大学時代にプロデビュー」 (4/6)

  • 【TVアニメ化】響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ (宝島社文庫)
  • 『【TVアニメ化】響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ (宝島社文庫)』
    武田 綾乃
    宝島社
    723円(税込)
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――大学に入ってからは変化はありましたか。

武田:大学に入ったらいっぱい応募しようと決めていたので応募して、1年生の時にデビューが決まったんですよね。私、先ほど言った700枚のライトノベルのせいで一浪しているんですよ。授業中にそれを書いていたので(笑)。身体が弱くて通学時間に耐えられなかったということもあったんですけれど。それで、こんなことを言うのもあれなんですが、浪人生活がめちゃくちゃ楽しかったんです。ずっと本を書いて本を読んで、テスト勉強をちょっとしてという超充実した1年で、その時にいっぱい本を書いていたので、翌年大学に入学して速攻でデビューできたのもそのおかげかなと思ったりします。

――2012年に宝島社の「日本ラブストーリー大賞」に応募した『今日、きみと息をする。』が最終選考に残り、「隠し玉」として翌年刊行してデビューされたわけですよね。

武田:大学に入ってから、新人賞の年間スケジュールを立てたんです。1年間に5個書いて5個応募しようと思っていて、新人賞の締切を全部まとめているサイトのリストの上から順番に応募することにして。その最初に締切があったのが日本ラブストーリー大賞だったので最初に送ったんです。「すばる」とかにも送るつもりだったんですけれど、先にデビューが決まったんです。

――2013年には第2作となる『響け!ユーフォニアム』を刊行しましたよね。これがシリーズ化していきなりアニメ化も決まって...って、怒涛の大学生生活だったのでは。

武田:自分でもびっくりしました。とんとん拍子すぎて、みたいなところがありました。だから文芸サークルにも入らなくて、美術サークルでイラストを描いていました。学生時代、本について熱く討論するといったことは全然なくて、いろんな先輩にアニメや漫画を貸してもらって、毎週友達の家に泊まって映画の鑑賞会をして。

――作家であることについては、周囲から何か反応はありませんでしたか。

武田:4回生の時にアニメ化されたので、それからは、もう大変で。でもそれまでは全然、身近な友達にしか言ってなかったんです。他の人たちには「バイトめっちゃしてる奴」とか、「絵を描いている子」という印象が強かったかも。
 アニメ化のタイミングでシリーズを3冊くらい一気に出す予定で、そのことは誰にも言わず密かに仕事をしていたんです。やっぱりもうSNSとかがあったので、誰かがうっかり「アニメ化するらしいよ」と漏らしたら終わりなので、誰にも言えなかったんです。だから私が作家だと知っている子たちにも「もう次の本は出ないんだな」って思われていたかもしれません。でも、隠すというよりも、言うほどのことでもないなという気持ちが強かったかな。本を書くのも楽しいバイトのような感覚だったので(笑)。

――楽しいバイト(笑)。

武田:私は小学生くらいの時から、兼業作家になるつもりでいたんです。「作家になる=兼業作家になる」だと思っていたんですよ。もう割り切っていて、新人賞に応募するのも、駄目でも働きながら5年とか10年とか送り続ければいいというくらいのテンションで、専業になりたいとは思っていなかったしなれるとも思っていませんでした。日本ラブストーリー大賞でも大賞を獲ったのではなく「隠し玉」だったので、気楽といえば気楽だったんです。だから、本を書くのはすごく楽しいバイトだなと思っていました(笑)。

――アニメ化の話が来た時は「うわーすごい!」とはなりませんでしたか。

武田:もう、それはなりました! 電車に乗りながら提出期限が迫った論文のために参考文献を読んでいたら編集から電話がかかってきて、「アニメ化決まったんだけど」って言われて、「なんで」って。「なんで」が第一声だったんですよ(笑)。

――しかもそれ、まだデビューして第2作を出したばかりの頃なわけですものね。

武田:本も売れてもなかったので、本当に「なんで」みたいな。アニメ化って売れている本が選ばれるんじゃないのかと思って、びっくりしました。本当に運がいいんです。

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