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├2001年6月
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唐木 幸子の<<書評>>
未確認家族
【新潮社】
戸梶圭太
本体 1,500円
2001/10
ISBN-4106027690
評価:A
いやはや凄かった。何がって、男も女も老いも若きも渦のようになって交し合う増悪と執念、ののしりのぶつけ合いは、もう思いっきりで遠慮会釈がない。特に、歯も磨かない電波系の大枝浩子が最高にこわい。彼女が遂に完全に異次元に飛んで、最後の死闘の戦闘服に身を固めて出撃していく姿は、もう、絶対に私のところへは来るなよ、という恐ろしさだ。それをおろおろと呼び止める母親の、「おまえ、顔に何かついているよ」という呼び掛けが哀しい。私はこの類のモラル無視の小説にはAは余りつける気になれないのだが、この作品には唸った。AAとAの間くらいの感じだ。これまでAAをつけた作品(宮部みゆきの『模倣犯』やパタースンの『子供の眼』、キングの『骨の袋』)を思い出して、あの押し寄せる大作感はないので、かろうじてAにしたけれど。八方にはじけ飛ぶような登場人物の行動が、やがてある家庭に集約されてプロローグの混乱へとフラッシュバックする。実は全てが計算され尽くしたストーリーだったのだ。作家の底力を感じる。よし、この著者の他の作品も読んでみよう。
誘拐ラプソディー
【双葉社】
荻原浩
本体 2,000円
2001/10
ISBN-4575234249
評価:A
秀吉は、38歳にもなって女房も子供もいない、住む家もない、金もない男だ。前科持ちの自分を雇ってくれた神様みたいな親方を行きがかりで殴り飛ばして出奔してしまった彼は、そんな度胸もないのに誘拐に手を染める。さらった6歳の男の子が広域暴力団の組長の息子で・・・という展開はさして珍しい感じはしない。しかし、この暴力団のナンバーツーの桜田が格好良いのだ。私はどうも、実世界でもナンバーツーに惚れる傾向がある。大物だが仔細に目が行き届かぬ大将をだいじにして恩義に厚く、冷静で抜かりなく上下前後左右に目を光らせて洞察に富む。余計なことを語らず、一番の苦労を厭わずにしょいこんで組を支えるナンバーツー。ああ、いいわあ。話の中身には、おい、あの話はどうなったんだ、とつつきたくなる雑さもあるが、この桜田の格好良さと、誘拐される伝助の可愛らしさがたまらんので、よし、Aだ。
あかね空
【文藝春秋】
山本一力
本体 1,762円
2001/10
ISBN-416320430X
評価:B
江戸時代の豆腐屋一家の苦労話、と書くとミもフタもないが、京都で辛い修行をしたあげく江戸まで来て有り金はたいて店:『京や』を持つ永吉の姿には誰でも応援したくなるだろう。その永吉と惚れ合って所帯を持つおふみも明るくて頑張り屋だ。二人で大量の売れ残りの豆腐の貰われ先を開拓するあたりは本当に健気で感動する。ところが、この恋女房のはずのおふみのキャラクターが、子供が3人出来たころから一変してしまう。どう見ても出来の悪い長男に理不尽に肩入れし、真面目で努力家の次男や、幼い頃からしっかり者の娘に辛く当たる。最愛の夫・永吉に対してさえも暖かさが消えて、意固地な古妻に変貌するのだ。彼女次第でこの京や一家は幸せになれるのに、という不自然さが最後までついて回る。一気読みできる面白さはあるものの、得心できない読後感が残った。
おぅねぇすてぃ
【祥伝社】
宇江佐真理
本体 1,600円
2001/11
ISBN-4396632002
評価:B
この4、5年、私が身を置く社会の色んな尺度、価値観が劇的に変化を遂げた。それまでの40年間、何もかもがボチボチ変わっていくペースに慣れていたせいか、大体が物珍しがりの私でも未だに以前の方式を懐かしがっていることが多い。例えば、サラリーマンの報酬が成果主義なんて言わないで、私が入社した頃みたいに、年功序列、永久就職だったら気が楽だったなあ、と正直言って思う。しかし、明治維新の頃の社会構造の変化は、こんなもんじゃあなかったろうなあ。文明開化、なんて教科書で習えば1ページだが、チョンマゲ落とすだけでも武士は大決心だったことだろう。そんな激動の時代を著者はいつもの大らかさ明るさを以って実に自然に描いている。難点を申せば、主人公の男女の恋愛模様には今ひとつ魅力を感じない。また、著者の作品は、中間小説誌で一話づつ読むと面白いのだが1冊の単行本になると印象が薄い感じがする。6つの各話(半年おきの連載)の繋がりが今ひとつ、薄いからではないか。
曼荼羅道
【文藝春秋】
坂東眞砂子
本体 1,857円
2001/11
ISBN-4163205209
評価:C
太平洋戦争中の東南アジアで日本人の現地妻だったサヤが、その男を追って戦後の混乱時に日本にやって来る。冒頭のこのシーンは汗ばむような緊張感で溢れている。彼女の登場で、富山の薬売りのそれなりに平穏な家族が一気にただならぬ雰囲気に追い込まれる様子もリアルで、私は一気に物語に引き込まれた。また、それと同時並行で、その家族の孫達の世代が登場して、まるで謎解きのように曼荼羅道へ旅に出る、この過去と現在の語られ具合はとても良いのだ。だが。先月の坊ちゃん忍者ほどではないが、だんだんと話がファンタジーに転じて、しまいに、ありゃこれは未来なのか過去なのか、とわからないくらいに混乱して読みきれなくなって残念。唯一、愛情とやる気の欠如した孫息子夫婦の乾燥した関係と、その落とし前の付き具合には納得するものがあった。
パイロットフィッシュ
【角川書店】
大崎善生
本体 1,400円
2001/10
ISBN-4048733281
評価:C
ある日突然、自分を捨てて去っていった恋人から19年ぶりに電話がかかって来る。電話の声を聞いた瞬間に男は、彼女からだ、とわかったという。うーん、こういうのは女の側に、自分は昔と変わっていない、未だ美しいと言う自信があればこそ出来ることだ。私なんか変態を遂げちゃって20kgも体重が増えてるし、ちょっと躊躇するよなあ・・・。などと考えつつ読み進んでいたら、あっという間に読み終わってしまったが、ちょっと物足りないぞ。登場人物が全員、輪郭が曖昧だし、中年の男性の心の中がこんなに観念的なものだとは、私には思えない。特に、高校時代からの友人で今はアル中になってしまった森本の登場は、必要ないんじゃないかというくらい描ききれていない。必要ないと言えば、最後の4ページも要らない。その前で物語を終えていたほうが雰囲気は一貫しているのになあ。
ボトムズ
【早川書房】
ジョー・R・ランズデール
本体 1,800円
2001/11
ISBN-415208376X
評価:B
幼い兄妹が森に迷い込んで見つけたのが、体中を切り裂かれて有刺鉄線でくくり付けられた黒人女性の惨殺死体。連続して起きるむごたらしい事件、伝説の魔物が本当に連続殺人の真犯人なのか?・・・これを面白くないとは言わない。それが証拠に、私は夜更かしして一気読みした。しかし、著者はテキサスのS.キングと呼ばれているって? 似てないよお、ちっとも。何故なら、ミステリーとしての真相に意外性がない、これは致命的だ。また、『IT』と同じように子供達が主人公でも、そこに愛情も勇気も健気さも緊張も感じない。たびたびの暴力やリンチも、血みどろの忌まわしさが剥き出しのままだ。雰囲気がないのだ。どういう雰囲気って、あの正体を掴みきれないもどかしさ、物語に振り回されるような衝撃、ひたひたと押し寄せる恐怖感。というわけで、キングとディーヴァーは○だが、ランズデールは△、マーゴリンは×、というのが目下の私の評価である。
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