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山内 克也の<<書評>>
分岐点
【双葉社】
古処誠二
定価 1,785円(税込)
2003/5
ISBN-4575234575
評価:A
太平洋戦争は身近で古い出来事なのか、古くて身近な出来事なのか。もはや、直に知る人が少なくなったこの戦争を取り上げて、皇国少年たちの心の闇にミステリとして踏み込んだ古処の意気込みにまずは拍手。戦争末期の世相や学徒勤労の実態を徹底して調べ上げたのか、戦時下の特殊な雰囲気が臨場感を持って伝わってきた。負け戦と知りながらひたすら陣営構築に励む少年兵たちの悲痛さが漂い、戦争文学にも読めた。
ストーリーは後半に動く。米軍の空襲の際、少年兵いじめの伍長が失踪。逃亡か戦死か、陣地構築の指揮官と憲兵が真相を探る。そして、未だ皇軍勝利を信じる少年が疑いの目を向けられる。尋問の中で、その少年の澄んだ瞳が、物語を意外な方向へと導く。今は傘寿前後を迎える当時の皇国少年たちは、戦争にどのように関わったか、その心境について口を閉ざし現在知る由はない。古処はあえて敗戦間際の彼らの狂気を描くことに挑んでいるのだろう。ミステリだけでは終わらない歴史観を問う作品とも言える。
セカンド・サイト
【文藝春秋】
中野順一
定価 1,500円(税込)
2003/5
ISBN-4163218807
評価:D
最後のサントリーミステリー大賞受賞作品なので、期待を込めて読んだが肩すかしにあった感じ。何故って? 主人公で探偵役のキャバクラボーイの行動があまりにも、うまく行きすぎ。詳しくは書けないが、最後のヤマ場、監禁されたホステスを助けに行く顛末は、後出しジャンケンにも似た設定で、白けきってしまった。
オビの選考委員の評を読むと、キャバクラの内部実態を詳しく書いたことが、受賞につながっているようにも思えた。東京の猥雑な街を表現するなら、確かにキャバクラの一業種を書き込むのも手法の一つだが、読んでみて雰囲気を味わえたかというとそうでもない。知識は増えたけど…。超能力を持つホステスの人物設定は面白く感じたが、意外と活躍せず、脇役たちの魅力も乏しかった。先行き透明な安定感を持つミステリで、ヒリヒリするスリルは最後まで味わえなかった。
銀の皿に金の林檎を
【双葉社】
大道珠貴
定価 1,260円(税込)
2003/6
ISBN-4575234664
評価:A
大道珠貴の描く女性の主人公は、将来への夢がなく卑屈な性格ばかりで、正直好みの合わないヤツばかり。だけど、文芸誌でも書籍でも大道珠貴の名前を見ると思わず手に取って大方読んでいる。条件反射的に読み込んでしまう大道の小説の魅力はどこにあるのだろう。稚気を匂わすあのモノローグな文体に惹かれるのもそうだが、刹那的な生き方でも、目の前のある現実を前向きに捉えようとするテーマが、読み手の共感を得ているのかもしれない。
本書では、16歳から31歳まで5年おきのホステス生活と小さな出来事をひたすら描いているだけ。21歳で同棲の少年からカネをせびられ、何も感じずに大金を出したり、26歳では大阪でガンになりながらも男を求めたり…。およそ性格破綻の行動パターンだが、その行動そのものが逆説的に主人公の「生きていく」という姿勢を強くしているようにもみえる。
かび
【小学館】
山本甲士
定価 1,785円(税込)
2003/6
ISBN-4093874379
評価:B
溜飲の下がる小説だった。主婦ひとりで、大企業の理不尽さに立ち向かう姿は感動さえ覚える。サラリーマン種族の多い日本男児にとっては、企業組織の不条理な仕打ちに腹を立てながらも所詮は給料をもらう身、とてもじゃないけど、企業への復讐なんて、酒の席で愚痴を言うぐらい。ところが、物語とはいえ、主婦がリストラ寸前で病苦の夫に代わり大企業へ抵抗し、傲慢社長を追いつめていく。ビールのつまみにしても酔える小説だ。
主人公の主婦は法的な手段を使ったり、世間に訴える市民運動といった正義感を振りかざす役割ではなく、ピッキングや公文書偽造など、かなりヤバい方法で大企業の病巣をえぐり出し、じわじわと窮地へ追い込んでいく。いわばヒール役として描かれているが、ある意味、企業の病巣というのは、こうした非合法手段でない限り、さらけ出せないかもしれない。また、こてこての大阪弁が、勧善懲悪の世界に背を向けた主婦のアンチヒロインぶりをうまく演出していた。
生誕祭
(上・下)
【文藝春秋】
馳星周
定価 (上)1,785円(税込)
(下)1,680円(税込)
2003/6
ISBN-4163218505
ISBN-4163218904
評価:A
バブル期は東京でのん気に学生時代を送っていた。典型的な地方出身の貧乏学生で、バブルの恩恵など被ることはなかったが、よく闊歩した大学近くの神田神保町で、虫食いのようになった更地があちこち見かけたのを覚えている。そのときは何の感慨も持たなかったが、バブル期の地上げ戦争を描いたこの作品を読んで、あのポツンとした更地にも欲望渦巻くカネと人間関係の残酷さが潜んでいたのかと想像すると、少しは寒気も覚えてしまう。
セックス、ドラッグ、億単位の札束など、刺激のある単語と、短いセンテンスでつなぐ「馳節」が炸裂。ストーリーが深部へ進むうちに文章もアップテンポになっていく。まさしく、「あの時代」を体現するかのような馳の筆致に飲み込まれてしまった。当時の世相の様子は極力描かれていないが、主人公たちが固定電話やポケベルで土地交渉の連絡を取り合う場面あたり、わずか十数年だが時代の隔世を実感した。
石の猿
【文藝春秋】
ジェフリー・ディーヴァー
定価 1,995円(税込)
2003/5
ISBN-416321870X
評価:C
まるで「ジャストインタイム方式」のように、中国・蛇頭の殺し屋の企みを瀬戸際で阻むNY市警ライムの論理的な科学捜査の手法に「ほんまかいな」と、うなってしまった。ストーリーは、殺し屋が福建省からの密航者を皆殺しにしようとする、一週間のごく限られた時間の出来事。ライムの緻密な鑑識眼と洞察力を筆力強く描く一方で、彼の手足となって働く刑事たちや、早く目的を達成しようと焦る犯人の動きを追う。静と動のメリハリが利いた構成は、リアルタイムで話しが進んでいるようで、読み手にじりじりした感覚を味わせてくれる。
ただ、蛇頭の殺し屋、中国人刑事といった中国関係の登場人物に、孔子の論語や、漢方医学の心得を言わせたり、やたらとってつけたような知識が気になった。中国文化との関わりが強い日本人が読むとなると、こういう衒学はかえって鼻についた。