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├2001年7月
├2001年6月
└2001年5月
赤い指
東野 圭吾(著)
【講談社】
定価1575円(税込
2006年7月
ISBN-4062135264
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
清水 裕美子
評価:★★☆☆☆
今月は"老い"について考えさせられる2作が登場。一方は『きみがくれたぼくの星空』。えーーっと、比べるべきではないけれど『きみがくれた……』にひどく負けた感があります。それは後味? 東野作品で構成が似たような有名作品があるからかもしれません。
『赤い指』には重要なミステリー的仕掛けが施されている。ある夜、中間管理職の昭夫が仕事から帰ると自宅に幼女の死体があった。中学生の息子の直巳が殺していたのだ。妻はその死体を捨ててきてくれと頼む。昭夫は息子の犯罪を隠匿しようと決める。そう、刑事コロンボ風に徐々に犯人がバレていくタイプの時系列。登場人物の刑事・加賀が淡々と洞察力を持って事件に対峙する。
高齢者の知性の取り扱い方にあまりにも救いがなく、ミステリーのための仕掛けとしてのアイデアに「あんまりだーー!」とダークな気分になった。
読後感:感心したくないブレーキが効きます。
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島田 美里
評価:★★★★★
家族の絆が希薄になっている現代社会が、最も必要とする本だと思う。崩壊しかけの家族が読めば、きっと改心するだろう。例えていうなら、刑事が故郷のおっかさんの話をするみたいに、情に訴えてくる物語なのだ。
妻からの緊急の知らせで、家に帰った会社員の前原は、見知らぬ幼い少女の死体と対面する。もともと壊れかけの家族がさらに壊れていく話なのだが、親の手に負えないほど扱いにくい中学生の息子が、すごくふてぶてしい。しかし、何より不快なのがこの夫婦。息子が犯してしまった罪の隠蔽や、年老いた認知症の母に対する酷い扱いは、殺人に匹敵するほどおぞましい。
刑事の推理がズバズバ当たり過ぎるのは、ちょっと不自然な気もしたが、これでもかと、たたみかけてくる仕掛けが、すべて親子愛の尊さを訴えているところがすごい。子育てや親の世話が満足にできない未熟な人々に猛反省を促すようなこの話には、こわもて刑事が差し出すカツ丼のごとき威力がある。
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松本 かおり
評価:★★★★★
★5個では不足。10個か、それ以上捧げたい。おそらく、本書を越える小説には当分出会えないであろう。それほど腹にズシリとこたえた。何度も息を呑んだ。身近に犯罪者を抱えたとき、家族が、人間がどうなるか。ひとの弱さ、脆さ、狡さ、哀しさ、そしてかすかな良心の煌きを、繊細かつ緻密に描き出す著者の冷静な筆致が素晴らしい。
前半は<この親にしてこの子あり>。根性の腐り切った中学生の甘ったれ息子を溺愛する愚かな母親と、彼らの言いなりになるだけの不甲斐ない父親。とどめは老母の介護問題と嫁・姑の確執が絡んだ絶句茫然の隠蔽計画。歯ぎしりするほど腹が立つ。しかし後半、辣腕刑事・加賀の捜査が進むにつれて怒りは収まり、いつ、どのように何が暴かれるのか、加賀の手腕に興味が移る。期待に緊張感が高まり、にわかに鼓動が速くなる。「あなたは肝心なことを知らない」……?! 衝撃的な真相に胸が痛んだ。加賀刑事が長くひとり抱えてきた想いを最後の最後に語り切る、小道具の使い方も見事だ。
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佐久間 素子
評価:★★★☆☆
はじめに犯罪があり、それを隠そうとする人間と、真実を求める人間がいる。倒叙ミステリという枠は同じでも、『容疑者X』とはまるで違う。かなしいほどにお粗末な隠蔽工作がくりひろげられるのだから、疑う者と疑われる者の間の頭脳戦を期待するのはお門違いだろう。愚かな茶番は醜くて、緊迫感に満ち、主人公同様、読者もこの悪夢から解放されることを、ただ願わずにいられない。むろん、シリーズキャラの加賀刑事は、犯罪者を追いつめるだけではなく、救い上げてもくれるのだが、カタルシスというには、結末があまりに苦すぎる。さらに、ラスト近くのサプライズでとどめの一押し。
ほんとに、うまい作家だなあと思うよ。長すぎず短かすぎない、スピーディーな展開、緊張と解放のあとに訪れる衝撃。嫌な話を嫌なまま語り、かつ、嫌な話というだけで終わらせないエンタテインメント性も、ちゃんと備わっている。それでも、この作家のつむぐ物語の、技巧と叙情のバランスが、私はいつもしっくりこないのです。苦手。
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延命 ゆり子
評価:★★★★☆
閑静な住宅街で起きた女児殺害事件。読者には始めから犯人はわかっている。警察の捜査陣と、犯人を守ろうとする家族との息詰まる攻防が見どころ。読み始めてすぐに東野圭吾がこれ程人気がある理由が分かる気がした。とにかくテンポが速くて読むのが途中で止められないもの。
だからこそオチが納得いかないと思うのは私だけだろうか。2段オチ、3段オチに驚愕する。そこまでやるか!と感心するものの、冷静に考えると現実的にはありえないでしょう。キムラ弁護士ばりにイチャモンをつけたくなった自分がいた。しかし整合性はなくてもその驚きとスピード感で病み付きになるのもよく分かる。上級娯楽作品であることは間違いがないと思いました。
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新冨 麻衣子
評価:★★★★☆
息子が犯したとんでもない犯罪をもみ消そうとする父親、死期の近い伯父の容態を気にかけつつ決して見舞いにこない実の息子とコンビを組むことになった新米刑事。二人の視点から、ある残忍な事件とその後二日間の悪夢が描かれる。
切なくてやりきれない人情系ミステリ。それはひどいけど、でも気持はわからないでもない最悪の選択を犯してしまった主人公。語り口が上手いのでノンストップで読んでしまうが、正直後味は良くない。でも現代のリアルな日本を舞台としたミステリで、「どういう終わらせ方をするか」ということにこれほどまでに注目させた作品はめずらしいように思う。展開そのものは社会派ミステリでありながら、本格ミステリっぽいラストだったかんじ。ドロドロした事件なだけにどうやっても後味は良くないけどね。でも現実にありそうな事件だけに胸を悪くしながらもぐいぐい引き込まれて、ちょっと安易だけど「情」のあるラストで良かったです。
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細野 淳
評価:★★★★☆
東京の郊外で起こった小学生の少女の殺人事件。犯人は首都圏の郊外の住宅地に住む中学生の少年。現実の世界では、未成年の犯罪が増えていると言われているけれども、小説の世界でも、ひょっとしたらそのような傾向があるのではないか?
物語の前半部分であらかじめ犯人が明らかにされた後で、加害者の少年の家族によるアリバイ作り、また警察による捜査、犯人探しへと展開が進む。とはいえ、事件が起こってから解決するまで、わずか二日間半。客観的に見れば、アリバイを作った殺人事件としては、解決するまでに要した時間は短いのだろう。でも詰まった密度は濃く、事件を追っていくうちに、犯罪を犯した少年の家族、また追う方の捜査官たちの実像が、徐々に明らかになっていく。その過程が面白い。
本書はまた、少年犯罪と同時に老人の問題を扱った、社会的な物語でもある。犯人の祖母がふと警察官に見せた、題名にもなっている赤い指。それが何を意味するのかは、読んで確かめて欲しい。
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