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>>課題図書一覧
赤い指
東野 圭吾(著)
【講談社】
定価1575円(税込
2006年7月
ISBN-4062135264
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
評価:★★★☆☆
はじめに犯罪があり、それを隠そうとする人間と、真実を求める人間がいる。倒叙ミステリという枠は同じでも、『容疑者X』とはまるで違う。かなしいほどにお粗末な隠蔽工作がくりひろげられるのだから、疑う者と疑われる者の間の頭脳戦を期待するのはお門違いだろう。愚かな茶番は醜くて、緊迫感に満ち、主人公同様、読者もこの悪夢から解放されることを、ただ願わずにいられない。むろん、シリーズキャラの加賀刑事は、犯罪者を追いつめるだけではなく、救い上げてもくれるのだが、カタルシスというには、結末があまりに苦すぎる。さらに、ラスト近くのサプライズでとどめの一押し。
ほんとに、うまい作家だなあと思うよ。長すぎず短かすぎない、スピーディーな展開、緊張と解放のあとに訪れる衝撃。嫌な話を嫌なまま語り、かつ、嫌な話というだけで終わらせないエンタテインメント性も、ちゃんと備わっている。それでも、この作家のつむぐ物語の、技巧と叙情のバランスが、私はいつもしっくりこないのです。苦手。
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温室デイズ
瀬尾 まいこ(著)
【角川書店】
定価1365円(税込)
2006年7月
ISBN-4048735837
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
評価:★★★☆☆
うう、詐欺だ。こんなヘビーないじめ小説を読まされるとは思っていなかった。著者とは同世代。いじめが流行しているときに、ちょうど現役バリバリの子どもだったから、私なんて、今でもいじめの話になるとひるんでしまう。次の標的が定まるまでの空白期、めだたないように息をひそめるあの閉塞感、自己嫌悪、もうありありと思い出しちゃって大変大変。
毅然としていたがために標的にされ、静かに戦い続けるみちる。無理せず教室から逃げる優子。二人の賢い女の子は、お互いを支えとしながらも、お互いを頼らず一人で立とうとする。二人の姿勢は、ある意味、いじめという行為への模範回答。エンディングはちっとも奇跡なんかじゃない。彼女たちが正当に勝ち取った成果だろう。でも、誰もがこんな風に強いわけでも賢いわけでもない。「こんなにも簡単に溶かせる魂を、どうして、みんなほうっておくのだろう」。誰もが恐れる札付きの男の子に、なんちゃってカウンセリングをほどこす優子の言葉が痛い。大人である私は、座して胸にきざむことくらいしかできないのだけれど。
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夜をゆく飛行機
角田 光代(著)
【中央公論新社】
定価1575円(税込)
2006年7月
ISBN-4120037525
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
評価:★★★☆☆
縁がなくて、著者の作品はほぼ初読。本好きの例にもれず、私は書評を読むのも好きなので、著者ほどの有名作家ともなれば、作風についても色々予備知識があるはずなのだけれど、不思議と印象に残っていない。今回、自分で読んでみて、なんとなく納得。だって、感想書きづらいんだもん。喜劇的すぎず、悲劇的すぎない。現実的すぎず、空想的すぎない。しかし、カテゴライズしがたいという曖昧さは、小説においては立派な長所に違いない。どこにも属さない、このぱっと見、平凡な物語の深さは、結局読まなきゃわからないのだ。
本書は、小さな酒屋を営む一家におこるできごとを、四人姉妹の末っ子が語るという家族小説なのだが、この設定にして、ちっともハートウォーミングじゃないのが新鮮だ。語り手の里々子は辛辣だし、観察眼もシビア。でも、年相応に感傷的な部分もあって、たまに顔を出す、そのやわらかさに刺激されてしまう。変わらないということは、さほど価値あることじゃない。ゆっくり時間をかけて、家族という幻想に別れを告げたあとには、きっと新しい関係が待っているのだ。
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初恋温泉
吉田 修一(著)
【集英社】
定価1365円(税込)
2006年6月
ISBN-4087748154
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
評価:★★★★☆
五組のカップルによる五つの温泉小説。めんどくさいかもと心配しながら読み始め、実際めんどくさいのもあるのだけれど、『白雪温泉』の明るさと美しさにあっさり陥落。わあわあうるさい脇役タイプのカップルが、たまらなく愛しい。なんだ、幸せなのも書けるんじゃん!
そして、嬉し恥ずかし高校生カップルの温泉行き『純情温泉』。「これから先、何年生きてようと、こんなにも誰かを好きになれるとは思えなかった」。貸し切り露天風呂で彼女を抱きしめる彼の思いに、胸がきしむ。ああ、そうだね。そうかもしれない、でも、そうならないかもしれないことの方が断然多いから、彼はいつか、この胸のきしみを知ることになるのだろう。言葉では何一つにおわせないのに、気もちのはかなさというものが色濃く漂ってきて、一読、本を閉じがたい。たとえ気もちがうつろったとしても、この瞬間に嘘はなく、二人は今まちがいなく祝福されている。能天気で純情な高校生に注がれる、作者の視線が優しいような短編だ。
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ハピネス
嶽本 野ばら(著)
【小学館】
定価1365円(税込)
2006年7月
ISBN-4093861684
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
評価:★★★☆☆
余命わずかな17歳の女の子の、「残り一週間」のおはなし。心臓の冠動脈が急速に細くなるという彼女は、発作を薬でおさえる必要こそあれ、行動を制限されることはなく、楽しく毎日を過ごすことを選ぶ。ロリータデビューをはたし、憧れのブランドInnocent Worldでお買い物をし、資生堂パーラーの高級カレーを食べ、彼の家にお泊まりをする。あふれんばかりのお洋服への情熱や、言葉づかいや、価値観や、もう何もかもひっくるめて、おままごとみたいだ。ほとんど別世界の住人だ。それなのに、相容れるはずもない彼女のゆるぎない哲学が、私にはうらやましくてたまらない。信仰をもつ人が死に臨むときに持ちうる強さを、彼女が手にいれているから。そして、彼女が心底すごいのは、宗教という歴史にのっかることなく、自分の中に信じるに足るものを作りあげてしまったところだろう。どんなに拙くても、それはまぎれもない本物なのだ。乙女おそるべし。
普通の難病純愛ものとも読めないこともないが、その読み方はちょっともったいないかも。
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キサトア
小路 幸也(著)
【理論社】
定価1575円(税込)
2006年6月
ISBN-465207784X
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>> 本やタウン
評価:★★★★☆
著者の本は、前作の『東京バンドワゴン』しか読んでないのだが、なにこれ、全然作風違うじゃないの。しかも、この人、たしかメフィスト賞出身では?と俄然興味がわいてくる。ちなみに、ファンタジックな雰囲気をもった本作は、本屋ではYAのコーナーで売られていたり。
色がわからない小さな芸術家アーチは、風のエキスパートである父と、双子の妹(日が昇っている間しか起きていられないキサと、日が沈んでいる間しか起きていられないトア)と、海辺の町に住んでいる。優しい人々にかこまれて、アーチは、世界のしくみを学んでいく。大人がアーチに教えるという形で、物語の本質が語られてしまうのが、ちょっと無粋な感じ。素材だけで十分理解できるのに。双子の病気にしろ、表紙を飾る「泣き双子岩」の秘密にしろ、火を点けて燃やして、その美しさを競うマッチタワーコンクールにしろ、魅力も説得力もある素材に違いないのだから。あたたかい世界観を持つ、この作者、きっと、もっと、素敵な物語を作る引き出しを持っている。今後の動向にチェックが必要。
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Lady,GO
桂 望実(著)
【幻冬舎】
定価1575円(税込)
2006年7月
ISBN-4344011953
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
評価:★★☆☆☆
冴えない女の子が、渋々飛び込んだ新しい世界で、徐々に変化し成功をとげるという、過去何百回となくくりかえされてきたありふれたおはなし。自信がないうえにやる気がない主人公を配したところ、飛び込むのがキャバクラだというところが今風か。そうはいっても、根はまじめで礼儀正しいという古典的な主人公なわけだし、水商売をバックボーンにしたハウツーやビジネス書が珍しくもない昨今、さほど新鮮な設定というわけでもない。需要があるからこそ供給があるのであって、求められている「手軽でわかりやすいシンデレラストーリー」としての水準は悪くないのかもしれないけれど、安っぽさは否めない。映画化されると聞いても驚かないな。
なんて、すれた感想を書いててちょっとイヤになってきたところ。やりたいことがない主人公、何かというと他人に夢をたずねたがるのだ。その答えがまた一々参考にならないんだけど、鼻で笑う自分が何ほどのものかと思っちゃう。夢ねえ。久しく考えたこともないなあと。
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数学的にありえない(上・下)
アダム・ファウアー(著)
【文藝春秋】
定価2200円(税込)
2006年8月
ISBN-4163253106
ISBN-4163253203
>> Amazon.co.jp
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>> 本やタウン
評価:★★★☆☆
癲癇の発作で苦しむ数学者ケインは、実験用の抗癲癇薬による治療を決意する。覚悟していた副作用のかわりに得た能力は、思いもかけないもので、彼は国家安全保障局に狙われる身となってしまう。というのが本流で、そこに、ケインがカードゲームで負けた借金を回収しようとするロシア人やら、ケインを北朝鮮に売ろうとするCIAの女工作員やら、ケインの能力と関係ありげな研究を行う科学者やらが絡んで、ストーリーは怒濤のごとく流れ出す。
そんなご都合主義的な展開「ありえない」という批判を、完膚なきまでにたたきのめす問題作。て、笑うところだ。実際、そこんとこをおさえられちゃったら、どんな展開にも文句はいえやしない。アイデアの勝利だねえ。しかも、立派なのは、ご都合主義を理論武装で正当化しておきながら、ストーリーの先を読ませないことで、確かに読み出したらとまらない。確率論や、量子力学論がぽんぽん出てくるけれど、高濃度のトンデモ本なので心配は無用。それどころか、何となくわかった気になっちゃったりするおまけもありで、楽しく読みました。
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