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├2001年7月
├2001年6月
└2001年5月
初恋温泉
吉田 修一(著)
【集英社】
定価1365円(税込)
2006年6月
ISBN-4087748154
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
清水 裕美子
評価:★★★★☆
実在する5つの温泉に宿泊予約を入れた男女。彼らが過ごす温泉旅行。
表題作からウ〜〜ンと唸ってしまった。飲食事業経営者の夫とその妻。夫にとって妻は「成功したことを報告したい女」。しかし妻は「いい時しか見せてくれない」と財布を持たずに外出する気分だと切り出すのだ。吉田修一の小説に出てくる女は「男に弱さをさらけ出すことを求める」発言があるよな、と思い出す。人生には成功に向う波に乗る時期がある。富や名声は得られるが、取りこぼすものもある。それがかけがえのない物だったら?……と警鐘を鳴らすのは大事だが、じゃあ、その気付きに対して、どうリカバリーすればいいのだろうか? 疑問はそのまま心に残る。最後の『純情温泉』では高校生カップルが描かれる。初々しい彼らの言動に苦笑い&ノスタルジー。でも「そのまま行けよ〜」という外野のエールは、そのまま維持する事が難しいと知っているから。吉田修一、問題をあぶり出す。真骨頂。
読後感:では、どうすれば? 吉田修一的次の一歩を見たいと思う。
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島田 美里
評価:★★★★☆
ずっと昔に行った旅のことを、ふいに思い出すような読後感だ。行程は全く覚えていないのに、特別思い入れのある場面だけが甦るような、不思議な気持ちになる。
正直言うと、ストーリー自体にインパクトは感じなかった。だけど、お湯越しにゆらめく人のからだや、森の中を吹き抜ける物体のごとき一陣の風など、いくつかのシーンは読んだ後も記憶の中にとどまる。この短編集はどの話も、2人連れが日本の温泉旅館へ旅に出るというスタイル。妻が別れを切り出してぎくしゃくしている夫婦や、互いの伴侶をだまして旅に出た不倫中の男女、そして、親に内緒で泊まりがけの旅を楽しむ高校生カップルと、年齢も関係性もバラバラなところが、いかにも旅の話らしい。
中でも、旅の癒し気分を味わえたのが、「白雪温泉」。にぎやかな夫婦が、ふすま一枚隔てた隣の客との出逢いで知った静寂は、上品でコクのあるだしが利いた日本料理を堪能したみたいに味わい深かった。こんな風に、人生の幅がぐっと広がる旅に出かけてみたい。
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松本 かおり
評価:★★★★☆
「相模湾が見渡せ、流れ出る湯の音に混じって、夜空の下から波の音が聞こえてくる」「ヒバ造りの浴槽らしく、扉を開けたとたん、木の香りがツーンと鼻にくる」「ちょっと錆くさいお湯のにおいが鼻をついてくる」、温泉の特徴をつかんだシンプルな描写。想像力をそそる。全5編、舞台は実在の温泉旅館だが、本書を読めば行った気になる、ではなく、行ってみたい、と思わせるところがニクイ。
一押しはなんといっても「純情温泉」。主役は17歳の高校生カップル。親公認でそれなりの仲のふたりだが、いざ旅館に来てみれば、イチャイチャしたい盛りの彼氏は湯上りの浴衣姿の彼女にウットリ、「貸し切り露天風呂」にドキドキ、「やっとふたりだけになれた」嬉しさにもうメロメロ。一生懸命で幸せそうで、実に微笑ましいのだ。17歳ならではの一途さが、照れくさく、眩しく、羨ましい。一生に一度の10代、その年齢でしか味わえない想いや体験は絶対にある。ずっと仲良くな〜!と応援したくなるいい話だ。
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佐久間 素子
評価:★★★★☆
五組のカップルによる五つの温泉小説。めんどくさいかもと心配しながら読み始め、実際めんどくさいのもあるのだけれど、『白雪温泉』の明るさと美しさにあっさり陥落。わあわあうるさい脇役タイプのカップルが、たまらなく愛しい。なんだ、幸せなのも書けるんじゃん!
そして、嬉し恥ずかし高校生カップルの温泉行き『純情温泉』。「これから先、何年生きてようと、こんなにも誰かを好きになれるとは思えなかった」。貸し切り露天風呂で彼女を抱きしめる彼の思いに、胸がきしむ。ああ、そうだね。そうかもしれない、でも、そうならないかもしれないことの方が断然多いから、彼はいつか、この胸のきしみを知ることになるのだろう。言葉では何一つにおわせないのに、気もちのはかなさというものが色濃く漂ってきて、一読、本を閉じがたい。たとえ気もちがうつろったとしても、この瞬間に嘘はなく、二人は今まちがいなく祝福されている。能天気で純情な高校生に注がれる、作者の視線が優しいような短編だ。
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延命 ゆり子
評価:★★★★☆
5組のカップルと5つの温泉宿。その中で丹念に、時には冷徹に描かれる感情の機微。どちらが悪いわけでもないのに気持ちがすれ違う夫婦はフランス映画のような味わいだし、いつもはおちゃらけているカップルが結びつきを深める過程だとか、ミステリー仕立てのストーリー展開に背筋が凍る話だとか。温泉と言う小道具を使って、読者を飽きさせずに、全く異なるジャンルの短編を見事に紡ぎだしている。うまいなあ!と唸らざるを得ない。
なかでも私が好きなのは「純情温泉」。高校生の二人。照れながら二人で温泉に浸かり、いつかこの好きという気持ちがなくなることすら想像も出来ないような純情な時代を生きている。彼女の兄は浮気相手と妻とで修羅場を迎えているのだが、その話とのコントラストが二人の若さをより印象付けている。
私も好きな人と、取り留めのない話をするためだけのために温泉に行きたいと思った。それはとても贅沢な時間の過ごし方なのだからして。
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新冨 麻衣子
評価:★★★★★
本作は<宿>を共通項にした短編集。男女の関係で温泉宿なんてモノが絡んでくると<しっぽり>なんてなんとなく使いたくない言葉が浮かんでくるが、当然ながらそうではない。
つい前夜に別れ話を切り出された妻との熱海旅行「初恋温泉」、おしゃべりで仕切りたがりな似た者同士のカップルが結婚前に出かけた東北の温泉旅行「白雪温泉」、お互いにけじめをつけられない不倫カップルの京都での逢瀬「ためらいの湯」、せきをきったように価値観の違いがあふれでる夫婦の物語「風来温泉」、高校生ながら自分で初めて予約した恋人との一泊温泉旅行「純情温泉」。
本書に収められているものはすべて、恋の行く末。遠かれ遅かれ終わるであろう二人の関係を、鮮やかにやさしくゆったりと描く。だれにとっても過去か未来だからこそ、じんとくる。久々に素敵な恋愛小説を読んだと、そう思いました。
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細野 淳
評価:★★★☆☆
日常から少しはなれて、かつ疲れを癒すことのできる一番の場所といえば、何と言っても温泉。物語の舞台になるにはピッタリの場所だし、安直といえば安直な気がしなくも無い。だけれどもやっぱり本書を読んでいると、どうしても温泉に入りたくなってしまう。それほどまでに温泉というものが、自分自身の心の中に染み付いてしまっているのだろう。
一番好きだった物語は、『白雪温泉』。舞台は青森県にある青荷温泉というところで、泊まる場所はランプの宿、として有名な旅館だ。山奥にあるそんな旅館で、しかも季節は真冬。何だか風情があっていいですな。
そんな宿におしゃべりカップルと無口なカップルが、たまたま一緒のタイミングで泊まることとなる。何がどうなる、という展開ではないのだけれども、少しだけ他人に優しくなれるような気持ちが持てる作品。
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