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ハリガネムシ:第129回芥川賞受賞作 主人公は二十五歳の高校教師。サチコは底辺を這いずる痩せた小さな女。サチコからの一本の電話により抑えてきたモノが蠢動しだす。
暴力や性交の描写が凄い訳では無い。なのに、記憶に強烈に残る。これが純文学なのかと納得してしまった、作品。 爽快感とは程遠い、嫌悪感で一杯と言いたい……。が、読後、ざわざわと心が騒ぐ、実は我が身の内に飼っているのかも知れない、自分がその嫌悪するモノ自体かも知れない。慄然とする。著者が恐い、自分が恐い、他人に薦めるのが恐い。 他の読者は、このカタルシスを押さえ込めるのだろうか?