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生命を拒む美しき一面の銀世界で、獲物をひたすら待ち続け、標的を限界まで引き付け、ぎりぎりの一瞬で弾を撃ち、敵を仕留める。湧き上がる「勝負ーーー!」の勝ち名乗り……ヘミングウェイの『老人と海』を思わせる、人と自然の対等な格闘には、ぞくぞくしました。この季節に読むと、ほんと、雪原が見えてきます。
主人公・富治が、一時は山を降りたものの、結局また、山へと帰っていく姿には、こうとしか生きられぬ不器用さと、そうであるからこそかえって美しい、選ばれし者の神々しさが感じられました。人が仕事を選ぶんじゃなくて、仕事が人を選ぶ。それが「天職」というものなんだなあ、と。
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