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前世紀、まだゲーム屋だった頃、仕事の関係で東京近郊の水族館を軒並みハシゴしたことがありましたが、魚や水の生物に囲まれていると、仕事を忘れて、とても幸せな気分になりました。この作品は、そんな心和む場所を舞台に、事件が起こります。
石持作品ではしばしば、ミステリなのに「誰が犯人でも嫌だなあ」と思うくらい、一生懸命自分の仕事を全うしようとする人物ばかりが登場するのですが、今回もまた……でも、ちゃんと納得できる決着なので、後味は悪くありません。
人物の描き方もさることながら、水族館という場所を、実に緻密に描いているのが魅力的。そして、事件の動機も起こし方も、まさに水族館でなければならない必然性がありますし。見事です。
舞台となっている羽田国際環境水族館は架空ですが、もし実際にあったら、絶対に彼女連れて行きます。もっとも、連れて行く彼女すら、現在はフィクションなんですが……
意外な犯人やそのトリックには舌を巻いた。 先日の渋谷のガス爆発ではないが、身近な危険にあまりにも気づかないで生活をしている怖さを感じヒヤリとした場面も。 そして何よりも職員一人ひとりがどれほど自分の職場である水族館を愛しているのをひしひしと感じた。 夢を繋ぐ、その大切さをも思い知る。 まさに推理小説の枠を大いに突出する感動作だ、と思った。
大きな水族館の舞台裏も十分堪能させてもらって、実に楽しかった。 それにしても探偵役となった深澤の明晰な頭脳には惚れ惚れした。 この探偵ぶりを間近に見られるのであれば、この水族館に就職さえしたいと思った。^^; 深澤さんの探偵シリーズをぜひこれからも読みたいものだ。
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