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第二次世界大戦の終焉から2年後を起点にして、次第に遡り、終章は戦時中、というこの作品の構成は、時代背景こそ、平和を取り戻していながら、登場人物たちはかえって、戦時中の方が生き生きしているように見えます。「昔は良かった」に収束するのは安易ですが、人間、大きな不幸に見舞われている時の方が、かえって他者を思いやり、助け合って生きていけるのではないか、と思うことしきりです。
戻れるものなら、今すぐ「あの日」に帰りたい。
上巻、下巻と読み進むうちに、登場人物たちにはこんな過去があったのか、こんな出会いがあったのかと知るたびに、また上巻から読まずにはいられなくなる。 出会いが偶然であれ、一目ぼれであれ、その始まりを目の当たりにすると、しみじみ人生の不思議に驚かされる。 みんなそれぞれがが今いる場所で、時にはなげやりになりながらも一生懸命生きる姿に胸を打たれる。
「あなた、幸せじゃないの?」 「幸せ?」 「わからないわ。でも幸せな人なんている? 本当に幸せな人、って意味よ。みんな幸せなふりをしているだけじゃない」 このセリフにガツンときた。
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