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一面の銀世界に倒れていた少女の死体。傍らには大鴉。雪の白と鴉の黒、マフラーの真紅。頭の中にこの三色がくっきりと、そして寒々と印象づけられる冒頭。少女は何故、死ななければならなかったのか?
横溝正史やアガサ・クリスティの諸作品を彷彿させる、因習に満ち溢れ、伝統が支配する小さな世界に、一見親切そうだけど、実際にはなかなか心の裡を明かさない、それぞれにいろんな屈託を抱えた人々。更に、過去にあった事件との奇妙な符合。古典的なミステリが持つ安定感が、この作品には充溢しています。それでいて、決着の付け方はあくまでスマートでエレガント。
いまいましい暑さを忘れられる、冷え冷えとした読後感が味わえます。
舞台はシェトランド島。 人がめったに寄り付かない老人の家に、数年ぶりに女子高生二人が訪れた。 思いがけない客人に、喜んだその老人は用意してあったお茶やお菓子で二人をもてなす。 しかし、数日後、その二人のうちの一人が、老人宅からさほど離れていない雪原で死体で見つかる。 実は八年前にも少女失踪事件があり、まだ未解決のままであった。 小さい島の中の大事件、島中の人を巻き込んで、いろんな推理が行われる。
アップ・ヘリー・アーといわれるシェトランドのお祭りのシーンが印象的。 そのお祭りの最中に、またさらなる誘拐事件が…。 最後はちょっとだけほっとして、ジ・エンド!
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