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9月8日(火)

  • 本の雑誌448号2020年10月号
  • 『本の雑誌448号2020年10月号』
    本の雑誌編集部
    本の雑誌社
    734円(税込)
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 定期購読者の皆様分の「本の雑誌」10月号がいち早く納品となり、台車をつかって5階にある本の雑誌社まで運び込む。

 その後、コロナ前はアルバイト学生にまかせていた封入作業に、事務の浜田、編集の高野とともに勤しむ。

 送り先と宛名の書かれたラベルを貼って、一冊一冊封筒に詰めていると、いったいこの「本の雑誌」がポストに届いたときに、読者の方々はどんな気持ちで手に取っているだろうかと考える。

 ワクワクしながら封を開いていただけているだろうか。いやそう思ってもらえるような雑誌を作れているだろうか。聞こえない声に耳をすませ、会うことのほとんどない読者を感じ、想像し続けること。なんだか大きな責任が湧いてくる。

 コロナが収束してもこの作業はアルバイト学生と一緒にしよう。

9月7日(月)

 こんなにも物語の間や行間を読み、書かれていないことに思いを馳せる小説があったとは......。柴崎友香『百年と一日』(筑摩書房)読了。

 小説を読んでいてこれまで体験したことのない世界に連れて行かれた気がする。いやこれまで感じていた魅力を最大限に引き出されたのかもしれない。

 一編一編は10ページに満たないとても短い物語で綴られているのだけれど、そこでは様々な場所に流れた長大な時間が描かれる。時とともに物理的に、あるいは関係性が変化してくのは当然のことなのだが、それらは誰かの記憶になっていつまでも残っている。

 記憶ってなんだろう。時間ってなんだろう。生きるってなんだろう。地名も極力登場人物の名前も記されない物語は、まるで自分のことのように感じられ、自身の忘れていたようなことを思い出させる。

★   ★   ★

 7時に出社。時折ゲリラ豪雨。「本の雑誌」10月号の部数確認。八重洲ブックセンター本店さんで始まるフェアのPOPを作成、キンコーズへ出力に行く。丸善丸の内本店さんに『絶景本棚2』『マルジナリアでつかまえて』『本の雑誌の坪内祐三』の追加注文分を直納。その後は書店さんを覗く。

8月31日(月)

  • 京都・六曜社三代記 喫茶の一族
  • 『京都・六曜社三代記 喫茶の一族』
    京阪神エルマガジン社
    1,760円(税込)
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 7時半出社。電車はまあまあの混みようだが、コロナの中、すっかり早朝出勤が習慣になってしまった。

 週末に読んだ『京都・六曜社三代記 喫茶の一族』(京阪神エルマガジン社)が、とてもいい本だった。

 戦後満洲から帰国した夫婦が京都で始めた喫茶店「六曜社」。自家焙煎のコーヒーとドーナツが人気のお店だそうだが、そのお店を営んできたは三世代の家族だ。初代、二代目、三代目、個性も違えば向き合う苦労も異なり、家族だからいいことも悪いこともあって、でもみんながお店を大切にしているのと誇りに思っているのがじんわり伝わってきた。

『絶景本棚2』の追加注文をいただいた中井の伊野尾書店さんへ直納へ伺う。伊野尾さんとしばし雑談した後、「伊野尾書店的夏の文庫100冊」フェアから爪切男『死にたい夜にかぎって』(扶桑社文庫)を購入。

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 あちこちの本屋さんを覗いて直帰。出かけていた娘が「笑わない時間がないってくらい超面白かった」と小学校時代に一緒にサッカーをやっていたチームメイトと久しぶりに会ってきたと報告にくる。娘も息子も私がおくれなかった充実した人生を歩んでいてとてもうれしい。

 夜、コロナの中はじめた「高野秀行辺境チャンネル」の作業をしばし。noteに配信後記をアップ。待望していた涼しい風がカーテンを揺らす。

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