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11月20日(金)

  • 詰むや、詰まざるや 森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間
  • 『詰むや、詰まざるや 森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間』
    長谷川晶一
    インプレス
    2,200円(税込)
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 どれだけ運動しても、一滴も酒を飲まなくても、腹八分目にしても、大量の水を飲んでもまったく下がることのない尿酸値とコレステロールの諸々は、先月の健康診断でレッドカードを突きつけられ、結果、薬に頼ることになったわけだが、本日は服用からひと月の経過観察のため、出版健保の病院へ。

 血液検査の結果、尿酸値は薬のおかげで痛風発症危険ゾーンから大幅に下がりほっと一息。本日よりコレステロールを下げる薬も処方されることになり、すっかり中高年感が増してくる。

 会社に着くと、現役のヤクルトファンである事務の浜田から長谷川晶一『詰むや、詰まざるや 森・西武VS野村・ヤクルトの2年間』(インプレス)が発売になったことを知らせれ、すぐに三省堂書店さんに走って買い求む。

 昼飯を食いながら早速読み出す。目をつぶればいつだって必殺仕事人のテーマと杉浦の延長12回代打満塁サヨナラホームランが脳内に再現されるのだけれど、まさかあのとき一塁側のスタンドに杉浦の中学生の息子が来ていたなんて......。その一行だけで目頭が熱くなり、しばし感慨にふける。

 書店さんは『鬼滅の刃』の増刷分が搬入になったらしく訪問営業注意報がでていたので行動に気をつける。

 直帰して『詰むや、詰まざるや』を読み耽る。30年近く前の試合なのに今ここに本となって読んでも鳥肌が立ってしまう。勝敗を分けることになったいくつかのシーン。そのとき選手はもちろん監督は何を考えていたのか。

 あの2年の日本シリーズが凄かったのはもちろんだけれど、丹念に取材し、しかし書きすぎることなく、的確に話を紡いだ著者の力だと思う。

 まさに感謝、感謝、感謝!の"史上最高の日本シリーズ"の史上最高の野球本だ。

11月18日(水)

  • どうしてわたしはあの子じゃないの
  • 『どうしてわたしはあの子じゃないの』
    寺地 はるな
    双葉社
    1,650円(税込)
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 深く眠れず睡眠不足で10時に出社。早出するよりも遅い時間帯のほうが電車が空いており、出社時間を検討し直す。

 今月の新刊、坪内祐三著『文庫本千秋楽』搬入。

 神保町で坪内さんに背格好の似た人を見かけると思わず声をかけてしまいそうになり、そうしていやもう坪内さんはいないんだったと悲しい気持ちになる。それでも「本の雑誌」や単行本を作るとき、あるいはこの日記を書いたりするとき、いつも坪内さんが読んだらどう思うかと常にその眼差しを感じている。その眼差しは一生持ち続けるだろう。

 ブックファースト新宿店さんに直納。年末のブックファーストさんといえば「名著百選」と「各ジャンル担当者がおすすめする「今年を代表する1冊」」フェアが注目で、納品後、しばしフェアの棚を眺める。こうしてみると知らない本、出たことに気づいていない本、買うのを忘れていた本がたくさんあり、まさに「出会ったときが新刊」なのだった。

 新宿の人出もだいぶ戻ってきたように見える。しかし本日のコロナの感染数発表を受けて、また相当減っていくのだろうか。

 寺地はるな『どうしてわたしはあの子じゃないの』(双葉社)読了。この小説すごく好きだ。きっとこれから何度も読みかえすだろう。

 中学生くらいのときのあの子みたいだったらいいのにと羨んだり妬んだりする気持ちと、あるいはこの狭い世界から抜け出してもっと広い世界で生きたいという想いと、それが大人になって結局自分は自分でしかないのだと諦めたり、生きられるところで生きてしくないんだというという諦観が非常にうまく綴られている。

 主人公の天とミナと藤生のキャラクターがとてもいい。それと長谷川というふわふわした男もすごくいい。寺地はるなはこういう人を描くのがすごく上手い。また多視点で物語を進める構成も巧みだし、この閉塞感の描き方は素晴らしい。

 自分にとって2020年の読書は今更ながら寺地はるなを知った年かもしれない。今年出た新刊では『彼女は天使でなくなる日』(角川春樹事務所)が未読なので読まねば。

11月16日(月)

  • 紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている: 再生・日本製紙石巻工場 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
  • 『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている: 再生・日本製紙石巻工場 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)』
    佐々 涼子
    早川書房
    814円(税込)
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 8時半出社。終日、バタバタと働く。

 夕方、往来堂書店さんに『暗がりで本を読む』と「本の雑誌」の追加注文をお届けする。

 佐々涼子『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている』(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)を読了。

 大きい会社の社長とか所長とか部長というのは全然人間力が違うのだった。こういう人の下で働いてみたかった。

11月10日(火)

  • エンド・オブ・ライフ
  • 『エンド・オブ・ライフ』
    佐々 涼子
    集英社インターナショナル
    1,870円(税込)
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 8時に出社。あまりに仕事が多く、いろいろと雑になってしまいそうなので、朝イチで本日のスローガン立て、プリントアウトして貼り出す。「心をこめる」。後から出社してきた浜田が指をさして笑ったのち、「私も気をつけよう」と言っていたので、言葉というものの大切さをさらに実感。明日のスローガンについて熟考す。

 そんなことをしているから仕事が減るわけもなく、仕事を減らす方法はただひとつ、仕事をする人を増やすことである。早速アルバイトの鈴木くんに連絡を入れ、出社してもらうことにする。

 昼に鈴木くん出社。滞りつつあった仕事が一気に流れ出す。まさに助っ人。ありがたい。

 14時、「第3回 Yahoo!ニュース|本屋大賞 2020年ノンフィクション本大賞」の発表をネットで見る。大賞作品は、佐々涼子さんの『エンド・オブ・ライフ』(集英社インターナショナル)に決定。

 4月の本屋大賞同様、新型コロナの影響で人を招いての発表会ができず、事前収録したものを本日配信しているのだけれど、その収録の際、大賞受賞者の佐々さんのスピーチがあまりに素晴らしく、ポロポロと涙を流してしまったのだった。

 本日そのスピーチを改めて聞いていて、また涙があふれる。言葉っていいな、本ってすごいな、人って素晴らしいなと思いを深める。

 夕方、できたばかりの「本の雑誌」12月号を神保町の三省堂書店さんに納品に伺う。すると「杉江さん!」と声をかけられ誰かと思ったら、高野秀行さんが目の前に。

 昼に電話で話し、その前、土曜日にはオンラインイベント「辺境チャンネル」では長時間ともにしたばかりだというのに。もしや我々は赤い糸で結ばれているのではないかと思ったものの、高野さん未だその赤い糸の集結の場である埼玉スタジアムには来たことがなく、おそらく結ばれていたとしても赤ではない糸なのであろう。しばし、上島珈琲店にて雑談。

 18時、アルバイトの鈴木くんのおかげで、かなり仕事が進展し、少し息がつけるようになる。終業。上野まで歩き、アトレの成城石井でコーヒー豆「プレミアムマイルド」を買って帰宅。

 ぼんやり「FUG Football Undergroundうるとらすさいたま」などYou Tubeを見て過ごす。

11月9日(月)

 8時に出社。本日は昼には定期購読者分の「本の雑誌」が納品となり、納品なり次第、送付作業開始、というか、事務の浜田が出社してきた時点で、定期購読者の方々の宛名ラベルを封筒に貼る「ハリハリ」作業がスタートするため、浜田が出社する9時半までにデスクワークの目処をつけねばならぬ。コロナ対策で窓を開放した社内に寒風吹きすさぶ中、ダウンを着て、猛烈な集中力でもって勤しむ。

 時刻通りに浜田が出社し、浜田の陣頭指揮の元、ハリハリ作業を開始する。コロナが蔓延し、緊急事態宣言がされた4月から、すなわち5月号から、これまでアルバイト学生に頼っていた定期購読者送付作業を、事務の浜田、編集の高野、そして私、3名で三密を回避しながら執り行っている。すでに8ヶ月、いつになったら元の世界に戻れるのだろうか。

 今号12月号は、450号&45周年記念号となるため、編集の高野が印刷所で刷ってきた45周年特製しおりを定期購読者の方にプレゼントとして封入することに。なので、通常であれば、「ハリハリ」→「ツメツメ」と進む工程の間に、しおりを本誌に差し込む「サシサシ」が加わる。3人それぞれいつも以上に集中し、昼飯もそこそこに4時半、作業終了。郵便局に連絡を入れ、引き取ってもらう。自然と拍手が湧いてくる。

 残り少なくなった集中力のかけらを拾い集め、残っていたデスクワークに取り掛かる。本当はもっと外に出てどんどん営業活動をしたいのだけれど、それもコロナによって思うようにいかず。できないことを考えても仕方ないので、できることを工夫して必死にやる。

 集中力が切れたため6時に終業。本日は歩く気力もわかず、秋葉原から乗車し、帰宅。

 風呂、夕食を済ませた後、しばし、家のパソコンで仕事の続きをして就寝。仕事多すぎなのではないか。

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