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6月14日(月)

  • 本の雑誌457号2021年7月号
  • 『本の雑誌457号2021年7月号』
    本の雑誌編集部
    本の雑誌社
    734円(税込)
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 9時に出社。校了のため編集の高野がすでに出社している。いつから出社しているのかは不明。昨日かもしれず一昨日かもしれず。続いて事務の浜田もやってくる。本日の出社は以上3名。朝礼はなし。そんなものこの会社に入ってから一度もないが。

 誤植特集の「本の雑誌」7月号が大評判で、週末の間も読者からの注文が留まらず、昨日も一昨日も高野や浜田が出社し、出荷していたのであった。休日出勤なんのその。売れる喜びに比べたらなんでもない。本日も直接の注文に、書店さんからの注文とメールと電話がわんさかやってくる。パニクりながらもつい笑顔が浮かんでしまう。

 といっても日常業務はあるわけで、売れるとこんなに忙しいのかと目を回す。「落ち着け、目の前のことに集中しろ」とつぶやきながら、どうにか「まずやるべきこと」の対応をし、2時過ぎにひと段落。すぐにひとり直納舞台を結成し、両手に「本の雑誌」の入った袋、肩には営業道具と同じく「本の雑誌」を入れたトートバッグ、そして背にリュックという夜逃げスタイルで直納に向かう。

 そうして訪れた書店さんから「助かりました!」と声をかけられた瞬間思わず涙がこぼれそうになる。ああああ、こんな一冊667円の本なんてお店の売上にとってあろうがなかろうがあんまり関係ないかもしれないけれど、それにわざわざこんな言葉をかけてくださるなんて持ってきた甲斐があったというものだ。こちらのほうこそ売ってくださって、そしてさらに売ろうとしてくださってありがとうございましたなのだ。

 まさか書店さんの仕入れで泣くわけにもいかず、うつむき加減でお店をあとにするが、いやはやほんとうれしくて涙がでる。

 本日は創刊45周年を記念してつくった『社史・本の雑誌』の搬入日でもあるのだけれど、45年前、目黒さんが本屋さんに飛び込み、納品書もわからずに置いていった「本の雑誌」は、こうして45年経っても、同じように私が運んで本屋さんに納品しているのだった。

 これまで受け継ぐのは大変だとずっと思ってきたけれど、今日はじめて受け継げてよかったと思った。

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