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10月18日(月)

 昨日、フットサルを2時間やった上に夕方5キロほど走ったので腿裏がパンパンに張っている。

 そのフットサルでは、チームメイトで高校1年からの親友のシモザワ君に、「どうして俺たちこんなにサッカー好きなのに高校のサッカー部入らなかったんだろう?」と訊ねてみたところ、「杉江は入学式の日に入らないって言ってたけど、俺は一応サッカー部の体験入部には行ったんだよ。でもこれは(レベル的に)ついていけないと思って入らなかったんだ」と言われ、そういえば体験入部に行かない?と誘われたことを薄っすらと思い出したのだった。

 私は小学校のときに隣の家のお兄ちゃんにサッカーを教わり、すっかりその魅力に取り憑かれ、中学校でサッカー部に入部したのだけれど、その3年間、相手チームではなくサッカー部の顧問と不毛な戦いを続けてしまい、高校に入ったときには二度と部活なんてやるものかと誰よりも早く帰宅することを目指す帰宅部に入部したのだ。

 そこでは私の才能が遺憾なく発揮され、学内新記録を次々塗り替えるに至ったわけで、そうして結局、体験入部でサッカー部に入ることを断念したシモザワ君も私と帰宅部でペアを組むことになり、二人で団体戦に出場、ペアでも学内新記録を次々更新していたのだった。

 そんな我々のフットサルに昨日は部活が休みで暇そうにしている高校2年の息子を連れていった。

 息子は、幼稚園の運動会ではひとりだけ後ろに走っているのではと思わされるほど同級生に引き離され、騙すようにして入団させてしまった小学校のサッカー少年団でもピッチにいるよりもベンチに座っているほうが長い控え専属の選手であり、要するに運動神経のにぶい下手っぴだった。

 それでも息子はなぜだかサッカーを辞めることなく、中学でも続け、そしてあろうことか私やシモザワ君が挫折した高校でもサッカー部に入部した。

 しかもその高校のサッカー部というのが高校選手権を真剣に目指すようなサッカー部で、おそらく入部した中で息子はどんけつレベルであっただろうし、1年生のときの練習も半年はずっと走ってばかりなので体力的にも相当きつかったと思うんだけど、家に帰ってきたら「腹減った」と言ってどんぶり飯三杯も食って、あとはつらいとかやめたいとか一切言わず、雨の日も風の日も毎日毎日部活やって帰ってくるのだ。

 そんな部活を続けて約2年が経った息子は、本日の試合でキレキレのドリブルと切り替えしを見せ相手選手を翻弄、時にはアウトサイドにかけてぐにゃりと曲がる絶妙なスルーパスを出し、そうして10点以上のゴールを決めたのだった。そこにいたのは何をやっても下手っぴの息子ではなく、立派な立派な完璧なサッカー選手だった。

 帰りの車の中で息子は一言「腹減った」とつぶやいて居眠りを始めた。その寝顔を見つつ、私はサッカーだけでなくすべてのことで、この息子に勝てないと悟ったのだ。

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