« 2022年2月 | 2022年3月 | 2022年4月 »

3月29日(火)

  • どうで死ぬ身の一踊り (角川文庫)
  • 『どうで死ぬ身の一踊り (角川文庫)』
    西村 賢太
    KADOKAWA
    1,720円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto

 4時半起床。5時半に家を出、大宮駅6時41分発北陸新幹線かがやき501号に乗車。金沢で、特急能登かがり火1号に乗り換え、七尾駅に9時48分に到着。本日こちらの地にある西光寺にて、西村賢太さんの四十九日の法要と納骨が行われるため、浜本とともに参列。

 駅から歩いて5分程で着いた西光寺には、入ってすぐに写真では見たことのある藤澤淸造氏の墓の隣に建つ西村賢太さんのお墓があった。写真では赤色に染められていた西村賢太さんの名前が黒く変わっており、その死を初めて実感す。「カルピスウォーター」と「宝焼酎 タカラカップ25度」を供え、手を合わす。

 四十九日の法要と納骨は滞りなく行われ、その後、お寿司のお弁当を頂きつつ、藤澤淸造の親戚である藤澤外吉さんから思い出話をたくさん伺い、またご住職さんからは「墓前生活」(『どうで死ぬ身の一踊り』収録)で記された藤澤淸造氏の墓標を見つけた場所を教えていただくなど、一ファンとして胸がいっぱいとなる。

 またお参りにくることを約束し、3時27分七尾発特急能登かがり火8号に乗り、金沢で新幹線かがやき512号に乗り換え、帰宅。

3月28日(月)

 5時起床。9時に出社。4月6日搬入の『本屋大賞2022』の初回注文の〆作業に勤しむ。本来であれば明日締める予定だったのだが、明日は急遽出張となり、バタバタと作業す。ただし間違えては大変なので、短冊とエクセルのデータをしっかり付け合わせる。

3月27日(日)

 5時起床。ランニング10キロ。娘をバイトに送った後、息子の教科書を買いに浦和へ。

 本人が行かないことを妻が怒っているが、まあ私のように教科書代を使い込み、教科書を買わずに高校生活を過ごすよりずっとマシだろう。

 年始にできなかった調神社にお詣り。浦和駅西口周辺は大再開発が行われるらしく、愛する「鶏そば一瑳」も一旦閉店。しかしすぐに東口に移転オープンされるとのことで一安心。

3月26日(土)

  • ザ・ソングライターズ
  • 『ザ・ソングライターズ』
    佐野 元春
    スイッチパブリッシング
    5,280円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto

 5時起床。若干肌寒くウインドブレーカーを着て、ランニング。見沼代用代水東縁の桜並木はまだ一分咲き程度。15キロラン。

 シャワーを浴びて、朝食。新聞の書評欄を読んだ後、娘をアルバイトに送っていく。その後買い物へ。いつもどおりの角上魚類とヤオフジ。ついでに自宅に保管しておいたお米を30キロ精米する。これで昨秋買い求めた30キロ×8袋=240キロのお米を消費してしまった。

 その大半が高校2年生の息子の胃袋に消えたわけで、本日も800グラムのご飯をつめた弁当を部活に持っていったのだった。食欲だけなら240人いる部員のトップらしく、顧問の先生も目を丸くして褒め称えてくれるそうなのだが、サッカーでトップチームに入ることはないらしい。

 午後、昨日買ってきた佐野元春『ザ・ソングライターズ』(スイッチパブリッシング)を読み進む。

「本になってくれええ」と切に願い続けていたNHKの番組の待望の書籍化で、なんと866ページには、小田和正、さだまさし、松本隆、スガシカオ、矢野顕子、Kj、桜井和寿、後藤正文、鈴木慶一、岸田繁、RHYMESTER、山口一郎、山口隆、KREVA、曽我部恵一、トータス松本、キリンジ、七尾旅人、中村一義、大木伸夫、星野源、山崎まさよし、なかにし礼とそうそうたるメンバーに加え、スペシャル収録として大瀧詠一も掲載されているのだ。

 その国語辞典ほどの厚みがある本を、一語一語噛みしめ飲み込むように読んでいく。佐野元春と24人のアーティストの真摯で真剣な対話。それぞれの「ソングライティング」の秘密に胸が踊る。そして自分の才能なさ、ショボさに呆れるも、なにかしら胸のうちで熾火に炎が舞うような気持ちにもなる。

3月25日(金)

  • サッカー店長の戦術入門 「ポジショナル」vs.「ストーミング」の未来 (光文社新書 1182)
  • 『サッカー店長の戦術入門 「ポジショナル」vs.「ストーミング」の未来 (光文社新書 1182)』
    龍岡 歩
    光文社
    1,034円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto
  • ULTRAS ウルトラス 世界最凶のゴール裏ジャーニー
  • 『ULTRAS ウルトラス 世界最凶のゴール裏ジャーニー』
    ジェームス・モンタギュー,田邊雅之
    カンゼン
    2,530円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto

 9時出社。とある案件でとある人と電話。本意を伝えるということはなんて難しいのだろうか。長きに渡る縁が切れてしまったかもしれず無念極まりなし。

 午後、「図書カード3万円使い放題」の立ち会いで、丸善丸の内本店さんへ。今回のゲストは、時代小説界に彗星のごとく現れ、『高瀬庄左衛門御留書』に『黛家の兄弟』と立て続けに傑作を世に送り出している砂原浩太朗さん。時代小説の書き手がいったいどんな本を購入するのか?!と興味津々で棚の間をついて回ったが、手に取られるのは意外な本ばかりで驚きの連続。「本の雑誌」での掲載をお楽しみに。

 その後、常磐線に乗って営業。南柏のオークスブックセンターさんでTさんとお話。『アオアシ』アニメ化を記念して開催されているサッカー本フェアの選書をお手伝いさせていただいたのだが、本年度サッカー本大賞候補の龍岡歩『サッカー店長の戦術入門』(光文社新書)やジェームス・モンタギュー『ULTRAS ウルトラス 世界最凶のゴール裏ジャーニー』(カンゼン)がしっかり売れているそうで嬉しい。

 一等地に積んであった佐野元春『ザ・ソングライターズ』(スイッチパブリッシング)と,Tさんおすすめのサッカー漫画、大武ユキ「フットボールネーション(1)」(ビッグコミックスピリッツ)を買って帰る。

3月23日(水)

  • 海を生きる民 (ポリネシアの謎)
  • 『海を生きる民 (ポリネシアの謎)』
    クリスティーナ・トンプソン,小川 敏子
    エイアンドエフ
    2,970円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto
  • 新編-閑な老人 (中公文庫 お 33-3)
  • 『新編-閑な老人 (中公文庫 お 33-3)』
    尾崎 一雄,荻原 魚雷
    中央公論新社
    990円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto
  • LAST TOUR AROUND JAPAN YUTAKA OZAKI (通常盤) (特典なし)
  • 『LAST TOUR AROUND JAPAN YUTAKA OZAKI (通常盤) (特典なし)』
    尾崎豊
    SMR
  • 商品を購入する
    Amazon
    HMV&BOOKS

 ドロップされたばかりの尾崎豊「LAST TOUR AROUND JAPAN」を聴きながら出社。

 今年30回忌を迎え、最後のライブツアー『TOUR 1991 BIRTH』からベストテイクを集めた2枚組のアルバムなのだが、これまで聴いたことのないアレンジやMCにドキドキしながら耳に集中していると気づけば涙があふれてくる。その涙は尾崎が死んだ喪失感やノスタルジーというよりは、尾崎の音楽を生きるために聴いていた10代の自分に対しての涙だった。「十七歳の地図」の向こうから「ちゃんと生きてるのかよ?」という自分の声が聞こえてくる。

 魂奪い取られたまま9時半に出社。すぐにオンラインにて本屋大賞実行委員会の会議。4月6日に行う発表会の様々な確認。2時間。ぐったり。

 午後は、単行本化に向けての某雑誌のテキスト打ち込みの続き。途中ホーム社のAさんがやってきて雑談。そして「本の雑誌」4月号の追加注文いただいた御茶ノ水の丸善さんに直納。Sさんとしばしフェアの話など。

 退勤後、またその御茶ノ水の丸善さんに立ち寄り、本を購入。

『海を生きる民 ポリネシアの謎』クリスティーナ・トンプソン(A&F)
『新編 閑な老人』尾崎一雄/荻原魚雷編(中公文庫)

 帰宅すると古本屋さんに頼んでいた『女房はドーベルマン』野村克也(双葉社)も届いていた。こちらは「本の雑誌」4月号にて、「酒とつまみ」の渡邉和彦さんが「野村監督本の5冊」で推薦されていたもの。野村監督好きとして読み逃していてはいけないと注文していたのだ。

 実家に電話。父親は自転車で無事病院に着いたとのこと。

3月22日(火)

 5時起床。予報通りの寒の戻り。そして雨。

 昨日の夜、父親からかかってきた電話を思い出す。それは本日、父親は3度めのワクチン接種だったのだが、雨と雪の予報を前に接種会場である病院へどういったらいいのかという相談だった。晴れていれば自転車で10分もかからずでたどり着ける場所なのだが、雨か雪が降れば運転免許を返納した父親は歩いていくかタクシーでいくしかない。

 父親はどうやら私に車で送ってほしかったらしく、「お前、明日忙しいよな?」と電話してきたのだった。今から思えば不安を抱えた父親からの何でもない電話だったのだが、なんだかその物言いに苛立ちを覚え、厳しく対応してしまったのだった。

 あの怒りはどこから芽生えたのだろうか。甘えられるのが嫌だったのだろうか。このまま甘えられ、底なしのように頼られるのが怖かったのだろうか。自分は散々親に甘えて生きてきたくせに、いざ逆の立場になったらこうして突き放してしまうのか。様々な感情が湧いては消え、本を読む気にもなれない。

 窓についた水滴を指で拭い外を見れば、細い雨が降っている。テレビでは午後から雪になると言っており、昨日「タクシーで行けばいいじゃん」と言って電話を切ったものの、父親はタクシーを呼ぶだろうか。

 8時45分出社。

 注文書を1枚作った後、市ヶ谷の日本図書普及さんへ訪問。「図書カード3万円お買い物」の打ち合わせ。

 一旦会社に戻り、すぐに築地の朝日新聞社へ。『ずぶ六の四季』の大竹聡さんの著者インタビューに立ち会う。

 夜、有楽町の駅のホームで、寒さに震えながら父親のことを思う。

3月21日(月・祝)

  • クライ・マッチョ (海外文庫)
  • 『クライ・マッチョ (海外文庫)』
    N. リチャード・ナッシュ,古賀 紅美
    扶桑社
    1,430円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto

 4時45分起床。月に一冊は翻訳ミステリを読もうと本屋さんの平積みでピピと来て買っておいた、N. リチャード・ナッシュ『クライ・マッチョ』(扶桑社ミステリー)を読んでいると、娘が起きてきて「パパのせいで寝不足なんだけど」となじられる。

「えっ?! 俺、昨日の夜は10時には寝ちゃったから夜中にうるさい音とかたててないんだけど」と誤解を解こうとするも、「胸に手を当てて昨日の行動を振り返ってみなさい」とさらに叱られる。

 あっ!読み終えた『プレイボール2』と『キャプテン2』を娘の机に積んでおいたのだった。幼き頃から娘は私の実家に行くたびにかつての私の部屋だった本棚にある漫画本を読んでいて、そのうち『キャプテン』と『プレイボール』にどハマりし、いつのまにかそれら全巻を持ち帰り、私同様しょっちゅう読み返しているほどのちばあきおファンなのだ。

 まあ、それもあって娘の部屋に置いていたおいたのだけれど、どうやら娘もこの続編がすっかり気に入ったらしい。谷口君のその後、丸井の優しさ、井口の成長などなど朝っぱらから『プレイボール』談義に花を咲かせる。

 その娘をバイトに送った後、ランニング10キロ。思ったほどあたたかくなく、ウィンドプレーカーを着て走る。

 その後は、終日読書。

3月20日(日)

  • キャプテン2 1 (ジャンプコミックス)
  • 『キャプテン2 1 (ジャンプコミックス)』
    コージィ城倉,ちば あきお
    集英社
    528円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto

 朝6時起床。昨日、走れなかったので、すぐにランニング。15キロ。桜は咲かずもあちこちでいろんな花が咲き出している。どこまでも走れそうな気分。

 朝食に昨日実家近くで買い求めたアサカベーカリーの食パンを食し(子供の頃から食べ慣れた最高のパン屋さん)、娘をバイト先に送った後、そのまま本屋さんに向かい、『キャプテン2』1〜4巻を買い求む。昨夜、読みかけだった『プレイボール2』を一気に読み進み、この描き手の異なる続編にすっかりハマってしまったのだ。

 部活なく昼過ぎになって起きてきた息子がしんみり言う。

「おれさ、浦和レッズがゴール決めて、父ちゃんとばあちゃんと抱き合って喜んでるときが一番幸せだよ」

 息子とふたりで昨日の試合をDAZNで再観戦。いつもこうであってほしい。

 午後は『キャプテン2』を読んで過ごす。

3月19日(土)

  • ちばあきおを憶えていますか 昭和と漫画と千葉家の物語
  • 『ちばあきおを憶えていますか 昭和と漫画と千葉家の物語』
    千葉 一郎
    集英社
    1,760円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto
  • プレイボール2 1 (ジャンプコミックス)
  • 『プレイボール2 1 (ジャンプコミックス)』
    コージィ城倉,ちば あきお
    集英社
    528円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto

 5時起床。昨日e-hon経由で掛川の高久書店さんから届いていた(e-honは自宅受け取りでも登録書店さんに売上が立つので(お金が落ちる)、本屋さんに行けない時や応援したい本屋さんがある人はご利用ください)『プレイボール2』全12巻を読み出す。

 これはコージィ城倉さんが、ちばあきおの意志を継ぎ描き始められた続編なのだけれど、これまで私は『キャプテン』と『プレイボール』が好きすぎて、この続編が刊行されているのは知っていたものの見てみぬフリをしていたのだ。

 ところが千葉一郎『ちばあきおを憶えていますか』(集英社)を読んだところ、これは『キャプテン』や『プレイボール』の魅力を若い人に受け継ぐべく、息子さん達がはじめた企画らしく、それならばやはり手に取り読んで見なければならないと大人買いしてみたのだった。

『キャプテン』と『プレイボール』は小学生のときに読んで以来、毎年お正月には再読する我が座右の書となっており、正直別の人が描いた続編などどんなに絵が似ていても受け入れられないだろうと思いつつページをめくったところ、最初のページから谷口くん家であり、そこへ田所先輩が二層式洗濯機を届けるという、まさしく野球漫画でありながらそこに生活があるという、ちばあきお魂全開で、一気に作品世界へのめり込んでしまう。

 おかげで休みの日の日課のロングランニングも忘れ、娘の送迎まで読み耽る。

 その娘をバイトへ送った後、実家に向かい、82歳となった母親を車に乗せ、ジュビロ磐田戦のある埼玉スタジアムへ向かう。

 コロナ禍になって以来、東武伊勢崎線北越谷駅からの埼玉スタジアムへの臨時バスが出なくなっており、そうなるとさすがに高齢の母親を南越谷、東川口を経由して浦和美園へ、そして駅からスタジアムのあの距離を歩かせるにはしのびなく、よってこの2年はバスの代わりに私が自宅からスタジアムまで車で送迎しているのだった。

 先日スタジアムで会ったカメラマンの近藤篤さんから「親孝行だね」と褒められたのだけれど、まあ親孝行というよりはサポーター仲間のためという想いの方が強いかもしれない。自転車でやってきた高2の息子と親子3代で観戦。

 試合はいつぶり以来かケチャップドバドバの、しかも待望のキャスパー・ユンカーのゴールも決まり、前半で3対1。しかも後半から出てきた新外国人選手のダヴィド・モーベルグが埼スタに降り立ってたった3分でゴールを決めるという鮮烈なデビューを果たして、久しぶりにお祭り気分。

 後半からは篠つく雨に降られるも胸熱な展開にまったく寒さを感じず。「楽しかったねえ」と母親も喜ぶ。

3月18日(金)

 5時起床。調べものの続き。たいそう冷え込む中、9時半に出社。すぐに雨が降り出す。

 とある他誌での連載を単行本にするべく、黙々と文章を打ち込む。いつもであればこれらの作業は助っ人アルバイトに任せるのだけれど、今回は著者と向かい合うべく自分でする。

 夕刻まで一心不乱に作業していると、目が疲れてふらふらに。細かい字を見過ぎた。あとになって気づいたが、拡大コピーすればよかったのだ。

 凍えるようにして帰宅。

3月17日(木)

  • Number(ナンバー)1047号「今年も絶対、スワローズ。」 (Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー))
  • 『Number(ナンバー)1047号「今年も絶対、スワローズ。」 (Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー))』
    文藝春秋
  • 商品を購入する
    Amazon
    HMV&BOOKS

 5時半起床。風呂を洗った後、本日はすぐさま家を出、8時に出社。昨夜の地震で会社が入る雑居ビルのエレベーターは止まっており、社内の本がいくらか倒れている。階段を使って5階まで自転車を持ち上げてきた事務の浜田と片付ける。

 午前中、採用面接。
 午後は、営業。
 神保町は3年ぶりに「神田古本まつり」が開催されており、靖国通り沿いの歩道に古本屋さんのワゴン並ぶ。とても仕事どころではない。

 帰宅後、ランニング7キロ。

 買ってきた「Number」1047号(特集:今年も絶対、スワローズ。)を読む。DAZNで試合が放映されていることに気づいた昨年以来、すっかりスワローズ熱が再燃しており、記憶に新しい昨年の大躍進から、なんと長谷川晶一さんが関根監督のことを書き(杉浦や渋井にもインタビューしている)、藤島大さんが応援団の岡田正泰さんのことも記しているので、大満足の一冊。

3月16日(水)

  • 砂まみれの名将 野村克也の1140日
  • 『砂まみれの名将 野村克也の1140日』
    加藤弘士
    新潮社
    1,650円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto

 4時半起床。調べ物を中断し、発売を楽しみにしていた加藤弘士『砂まみれの名将』(新潮社)を読む。脱税で逮捕された妻・沙知代の責任をとって、阪神タイガースの監督を辞任した野村克也氏が、その後、楽天イーグルスの監督になるまでの間につとめた社会人野球シダックスの監督時代の様子を追ったノンフィクション。

 設備や待遇はもちろん教える選手のレベルもまったくことなり、「関東村」とも呼ばれる砂埃立つグラウンドで、プロからアマに「転落」した野村監督は、後に「あの頃が一番楽しかったな...」と振り返るほど実はそこでとても大切なものを手にしていた。

 転落するきっかけとなってしまった沙知代のその後の執念(愛)もすごく、意外な真実もたくさん記されおり、最終章は胸がいっぱいになってしまった。いやはや素晴らしい読書だった。

 今日はまた春の陽気のなか、9時半に出社。午前中デスクワークに勤しみ、午後営業に出かけると、三省堂書店さんの入り口で、元あゆみブックスのKさんとばったり。しばし本屋さんのお話など。

 その後、TXに乗って、守谷へ。こちらにあるリブロさんに、元東京堂書店の、いや私にとっては18歳で八重洲ブックセンターでアルバイトを始めた際の大先輩であるKさんが、定年退職後に「やっぱり本屋はやめられない」とアルバイトをはじめたと聞き、馳せ参じる。

 まだ勤務をはじめて3ヶ月とのことだけれど、棚も平台もしっかり耕された素晴らしい売り場になっていて、本を売る技術というものを改めて考えさせられる。それはただ置いてあればいいわけではなく、日々世の中が変化していく中で、何を、どう置くか。その意義と技術をどう伝えていくか──それこそがとどのつまり、『書店風雲録』『尾道坂道書店事件簿』『本を売る技術』と作ってきた自分の人生の使命なのかもしれない、と世話になって30年のKさんの言葉を聞きながら考える。

 夜、大きく長い地震。

3月15日(火)

  • 日本の古式捕鯨 (講談社学術文庫)
  • 『日本の古式捕鯨 (講談社学術文庫)』
    太地 五郎作,中沢 新一,中沢 新一,サイモン・ワーン
    講談社
    968円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto
  • 砂まみれの名将 野村克也の1140日
  • 『砂まみれの名将 野村克也の1140日』
    加藤弘士
    新潮社
    1,650円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto

 5時起床。調べ物の続きをした後、風呂を洗う。

 昨日と一転して肌寒く感じる中、9時45分に出社。あちこちにメールの返事を書いた後、STORESよりメルマガ配信。

 先日、朝日新聞で「ポケットマルシェ」という全国の農家さん・漁師さんという生産者の方から直接購入できるサービス(サイト)を知り、慌ててアプリをダウンロードしたのだけど、そこでは生産者と購入者が互いに想いを共有しており、おおお、私が長年求めていた「買い物」とはこれなのだ!と喜んだのと同時に、あああ、私がやるべきなのもこれだ!と直感したのだった。

 出版社もある意味生産者であり、もっともっと本屋さんや読者の方と交流しながら本を届けたいと感じていたのだ。ヒントはどこに転がっているかわらないもので、気持ちも新たにメルマガに取り組む。

 午後、昨日に続いて採用面接。昭和の風情漂う雑居ビルの、社員6人のチビ会社を受けに来てくださるだけで感謝。

 面接終えた後、新栄堂書店パークタワー店さんに追加注文いただいた『ずぶ六の四季』を直納に伺う。

 新栄堂書店パークタワー店さんは、昨今で言うところの「街の本屋さん」や「独立系書店」として認識されないためか本屋さんブーム(?)のなかでエアポケットのようになってしまっているけれど、これほどまでに手の行き届いた本屋さん(品揃えから整理整頓まで)もそうそうなく、なんていうかとんでもない名店が、新宿の高層ビルの地下に隠されているのであった。荻窪駅から本屋Titleさんに歩くように、新宿駅からパークタワーまで歩いてぜひとも覗いてみてほしい本屋さんだ。

 店長のFさんにご挨拶する前に、棚をぐるりと拝見させていただくこの喜び。そして、太地五郎作『日本の古式捕鯨』(講談社学術文庫)を購入しつつ(この本の隣には石川梵『鯨人』(集英社新書)が平積みされていた)、納品。

 帰宅後、楽しみにしていた加藤弘士『砂まみれの名将』(新潮社)を読み始める。

3月14日(月)

 4時50分起床。「本の雑誌」6月号掲載の調べ物続き。終わりが見えてきたのがうれしいような寂しいような。

 通勤読書も調べ物しつつ、電車は結構な混みよう。コートどころか上着を脱ぐような陽気のなか9時に出社。本日より始まる中途採用の面接の下準備。そして午前中、面接。

 社内の立場上、私が面接しているが、面接に来られている人のほうが私よりよっぽど仕事ができるわけで、話を聞けば聞くほど「友がみな我よりえらく見ゆる日よ」の気分に陥る。今日は花を買って帰らねばならない。

 午後営業。春休みか午前中で学校が終わっているのかショッピングセンターの本屋さんがえらく混んでいた。

 帰宅後、調べ物の続きをしつつ、元書店員・すずきたけしさんと「一冊!取引所」の渡辺佑一さんがやっているポッドキャスト「本のそばには楽しいことがある」をSpotifyで聴く。

 これは仲良しのお二人が本にまつわる質問などに答えているのだけれど、そのゆるゆるの雑談具合が、コロナ禍で失われた大切なものの象徴のようで、すっかりハマっているのだった。

 第76回の配信では「思い切ったこと」をテーマに、これまで思い切って買った本や本棚の話をしているのだけれど、渡辺さんの口から飛び出した「(本を)読みたいのか買いたいのか自分のなかでわかんなくなってきちゃってて」というのはまさしく私もその状態であり、これほどの至言があるだろうか。

 ただし私は2年ほど前に「本は背表紙を読むだけで十分読んでいることになる」と悟り、積ん読を悪から善に意識改革に成功し、本は「買うもの」とする世界の住人になった。おかげで読めてないという罪悪感をもたず、お金の問題は別として心置きなく本を買い求め、その本に囲まれることで、心の安寧を得ているのである。

3月13日(日)

 5時50分に起きる。久しぶりに寝坊。すぐにベッドを出、リビングにて調べものの続きをするが、8時を過ぎても家族は誰も起きる気配なく、朝ごはんの準備をする。

 娘をバイト先に送った後、埼玉スタジアムまでランニング。

 先日、久しぶりに会った人から「まだ(埼スタに)行ってるんですか?」と訊かれたが、それはどう答えていいかわからないくらいの愚問であり、全世界クラブサポーターが選んだいちばん意味がわからない質問「愚問大賞」の第1位であろう。

 同等の愚問といえば、日下三蔵さん家の床から積み上げられ、人が通る隙間もない蔵書を前に、「この本のうちどれくらい読んだんですか?」であろうが、それは以前私は愚問と気づかずに問い掛け、「そういうつまらないこと聞かないでください!」とピシャリと叱られたのであった。

 帰宅後、シャワーを浴び(給湯器は本日も無事稼働)、家族の昼食を作る。そして3時から息子とユニフォームを着て、DAZNで鳥栖戦を観戦する。

 0対1の敗北。戦術、局面、球際、闘志、運動量、勝利への執念、すべてにおいて負けの負け。

 以前であればこのまま暗黒世界に引きずりこまれていたのだけれど、今は立派なレッズサポーターとして育った息子と愚痴を言い合えるので、どうにか暗黒一歩手前で踏みとどまれる。

 それでもそう簡単に収まらない高ぶりを坪内祐三さんの『東京』(太田出版)を読んでやりすごす。

3月12日(土)

 朝4時半起床。リビングにて、「本の雑誌」6月号で掲載する原稿の調べ物の続き。

 7時よりランニング。すっかり春の陽気となり、見沼代用水東縁を散歩する人多数。桜も蕾が膨れ上がり、この陽気が続くなら来週あたりには咲き始めそう。15キロラン。

 シャワーを浴び、朝食後、娘をバイト先に送り届け、妻と角上魚類とヤオフジに買い物。

 その車中、妻がここのところ、といっても実は3年くらい前から「給湯器が危ない。給湯器が心配だ」と口にし、それに対して私は「実家の給湯器は27年保ってギネス記録に申請中だ」とか「冬を越した給湯器は来冬まで活躍する」とお茶を濁していたのだが、どうやら妻の心配と不安がピークに達したらしく、「給湯器!」と言ったまま黙りこくってしまった。

 さすがにそこまで言うならば一度我が家の給湯器の様子を確認してみるかと、買い物してきた袋を部屋に運び越えた後、裏庭に行って給湯器を覗いてみる。すると築20年から毎日お湯を沸かしてきたがんばりに、それは今にも止まりそうな朽ち果てぶりで、私も少し心配になってくる。

 給湯器は壊れたら風呂も沸かせないわけで、我が家の近所にはもちろん銭湯はなく、そうなった場合は実家に風呂を借りにいくしかないわけだけれど、毎夜実家へ車を走らせるのは並大抵の面倒ではない。

 やっと妻の不安が共有できたわけで、そうなると一にも二にも給湯器を替えるべく、そういえばちょうど家を建てた建設会社からリフォームまつりの案内が届いていたなと電車を乗り継ぎ会場に馳せ参じてみたのである。

 そこにはいくつものテントが並べられ、所狭しとトイレやらキッチンやらクーラーやら製品が並べられており、我々の目指す給湯器も一角に並べられていた。

 受付で名を名乗ると、我が家の工事担当者だったGさんがやってきて「どうしたんすか?」と驚かれたので、「そろそろ築20年で、給湯器が心配で」と率直に打ち明けたところ、なんとなんと「給湯器ないんですよ」とまさかの回答が返ってくるではないか。

 いやそこに置いてあるじゃないですかと展示品を指差すと、それは外側だけで実は中身は入ってないらしく、そういえばひと月程前に車の点検に出した自動車整備工場の人が「半導体不足でまったく新車を納車できない」と嘆いていたのを思い出し、もしや「半導体?」とGさんに訊ねると、「そう、半導体!」とコクリと頷くのであった。

 半導体なら仕方ない。そんなものは急に準備できるわけでもないし、先の自動車修理工場の人も、早くて半年、一年以上納車できない車種もある言っていたので、私はとくるりと反転し、今来た駅に向かって帰ろうかとしたのだが、隣にいた妻は反転せず、「そうは言っても机の下に隠してあるんじゃないですか」などと、まるで書店員時代のような問答を始めるのである。

 それを聞いたGさん、顔をブルブル震わせ、「机の下にも会社の倉庫にも一つもなく、あるのは新築用の給湯器のみで、こちらリフォーム部にはまったくない。それどころか実はガスコンロもなく、リフォーム部で在庫があって今売れるのはトイレだけ、もうこの一年トイレばかり取り替えているんですが、杉江さん家もトイレの取り替えどうですか?」と笑うのであるが、妻の表情は凍りついたままだった。

 とりあえず何かの間違いで入荷した際には取り替えてもらうよう予約し、あとは我が家の給湯器が止まらぬことを祈りつつリフォームまつりを後にしたのだが、果たして我が家の給湯器は、その息の根が止まる前に、新たな給湯器がやってくるのか、それともこれまで聞こえないふりをしてきた私の息の根が止まるのかどうちらが先か。ちなみに給湯器の寿命は10年と言われているらしい。

« 2022年2月 | 2022年3月 | 2022年4月 »