3月7日(火)
2、3ヶ月ほど前、文藝春秋の営業の人から「杉江さんならこのPOPの作り手がわかるんじゃないかと思い連絡させていただきました」と電話あった。
その営業がいうのは15年ほど前に書店員さんが作られたPOPなのだが、そんな昔のPOPの作り手なんてわかるわけないだろうと思いながら話を聞いていると、「なんかPOP姫と呼ばれてたみたいで」と伝えられ、一発で答えに辿り着く。
それはTさんという書店員さんで、Tさんとはもう20年以上の付き合いで、今は書店を離れているけれど、ことあるごとに顔を合わせているのだった。
作り手がわかったところでどうするのかと訊ねたら、なんとPOPを復刊して改めてその本を売り出したいというではないか。本の復刊ならともかく、POPの復刊なんてあるのだろうか?
許諾とPOPを提供いただきたいということで、すぐにTさんに連絡すると即OKの上、POPはすでにないから書き直すとのことで、なんとパターン違いで4種のPOPを改めて書いてくれたのだった。
今日そのPOPというか、POPを引き伸ばしたパネルを文藝春秋の営業の人から見せてもらった。確かにTさんらしい瑞々しい感性と色使いで書かれており、とてもよく仕上がっていた。
どうして15年も前のPOPの存在に気づいたのだろうか。なんと話を聞くと、そのPOPを大切に保管していた書店員さんがいたというのだ。そしてまたこのPOPを使って販促したら良いんじゃないかと提案されたそうなのだ。
改めて言うけどそんなことってあるだろうか? そんな昔のPOPをとっている書店員さんもすごいけれど、その提案にのる営業もすごい。
すでに店頭ではTさんの書いたパネルをつけて販促が始まっているそうなのだが、なんともう重版がかかっているというのだ。しつこいようだけれどそんなことあるんだろうか? まさしくこれは私の大好きなPodcastのタイトルどおり、「本のそばには楽しいことがある」ではないか。
ちなみにTさんのパネルを立てて並べられているのは、角田光代さんの『対岸の彼女』(文春文庫)だ。展開している売り場を早く見にいかなければならない。