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3月30日(木)

 直行で、夢の本棚を手に入れた人を取材に行く、が、途中乗り換え駅でスマホを紛失したことに気づき顔面蒼白。すべてのポケット、鞄をひっくり返し、靴を脱いでも出てこず、これまでの道筋を探しにいこうと、入場してしまったSuicaの記録解除を求めて、駅の改札に戻る。

「すみません。スマホを落としてしまったようなので探しに行きたく、今入ったばかりなのですが、入場記録を外してもらえますでしょうか」

 消え入りそうな声で呟くと、駅員さんが不思議なことを聞いてくる。

「何色ですか?」

 もちろん私のスマホは浦和レッズ仕様で真っ赤なので「赤です!」と答えると、「これですか?」と奥からスマホを取り出してくる。

「ああああああ、それです!!!」

 駅のトイレに落としていたらしく、拾って届けてくださった方がいらっしゃったのだ。なんて親切な...。拾っていただいた方はすでにおらず、駅員さんに深く深く頭を下げて、感謝を伝える。

 息子が家を出てからこうしたことが多く、どうやら私は心ここにあらずになっているようだ。スマホここにあらず、にならなくて本当によかった。

 伺った最強最高理想すぎる本棚はもはや筆舌に尽くし難い本棚であり、そちらの感想は「本の雑誌」6月号にて。

 昼、会社に戻り、書店向けDMを作り終え、また営業に出る。年度末で荷物も増え、棚卸しを控えていたりするので、邪魔にならぬよう気を付ける。

 とある書店さんで「最近は注文書を広げるだけで、売り場を見ない営業が多い」と聞き、売り場ばかり見ている自分もそれはそれでちょっと問題かもと少し反省する。

 帰宅後、昨日買った宇都宮ミゲル『一球の記憶』(朝日新聞新聞)を読み始める。昭和46年生まれの私の心を躍らせた昭和のプロ野球選手37人に「絶対忘れられない一球」を聞いて歩いたノンフィクションなのだが、冒頭から私のヒーロー・若松勉であり、いやはやたまらん。装丁も写真もレイアウトも大変よく、何よりもこの厚さ、重さが「本」というものの魅力を伝えてくる。

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