8月18日(金)『海賊たちは黄金を目指す』は、冒険・探検ものの特製幕の内弁当だ!
キース・トムスン『海賊たちは黄金を目指す』(東京創元社)読了。こんなにドキドキワクワクする読書はいつ以来だろうか。
1600年代後半にカリブ海で大暴れした海賊が残した7人の日誌から、そのリアルな様子を浮き彫りにするノンフィクションで、7人の中にはあの『最新世界周航記』(岩波文庫)のダンビアも含まれているのだ。
訳者まえがきに、「海賊たちの活躍する舞台は海ばかりではない。」とあるとおり、「ときにはカヌーに乗って決死の川下りをしたり、クロコダイルやアナコンダが生息する茶色い水のなかを歩いて渡ったり。途中負傷して仲間たちについていけなくなれば、こちらを敵視する先住民の村にも置き去りにされて、生きながら焼かれる覚悟を強いられる場合もあ」り、約360ページが、冒険・探検ものの特製幕の内弁当のような話のオンパレード。
そして海賊というものが、掠奪に明け暮れる残虐な面もあれば、リーダーや今後向かう方向を決めるのに民主的に投票したりする驚きの一面もあり、さらにその船の上での暮らしは、いつも濡れ鼠で、船倉に吊るしたハンモックは「頭上にも体の下にもぎっしり吊り下が」り、「おおいびきと悪臭に悩まされながら眠るのだ」という。
一攫千金を夢みつつも生きるか死ぬかの日々の上に、そんな過酷な生活を強いられる"海賊"にはどんな人がなり、なぜ続けているのか。そうしたことが、どんどんページをめくりたくなる語り口で綴られているのであった。冒険・探検もの好きの私は、この特製幕の内弁当をご飯一粒たりとも残さず貪るように読んだ。至福の読書時間。大満足。
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9時に出社。
本日より事務の浜田が夏休みのため、終日、電話番及びデスクワークに勤しむ。
編集の松村が上野のお土産を持って出社してくる。新幹線が不通で実家に帰れなかったとのこと。残念無念。
昼食に会社を抜け出し、古書会館で行われている即売会「ぐろりや展」へ。ちょうど先日読み終えたばかりの高田晃太郎『ロバのスーコと旅をする』(河出書房新社)の中で記されていた松原正毅『遊牧の世界』(平凡社ライブライー)を見つけ、藤原善一『ムラの移り変わり』(日本経済評論社)と一緒に購入。
隣で棚を物色していたおじさんが、「これ、持ってるかなあ」と独り言を呟いていたが、会場にいたすべての人が同じことを思いつつ棚を徘徊していただろう。
夕方、北原尚彦さんと小山力也さんが来社され、神保町古本屋ガイド対談を収録。こちらは秋刊行の別冊に収録する予定。
浜田の司るデスクワークの(ほんの)一部を滞りなくこなし、帰宅。