1月26日(金)目黒さんに読んで欲しかった
宮島未奈『成瀬は信じた道をいく』(新潮社)読了。前作に引き続き、圧倒的目黒さんに読んで欲しかった本第1位。
最初の『成瀬は天下を取りにいく』が出たのが2023年3月で、目黒さんが亡くなったのはその2ヶ月前の1月のことだった。
もし半年刊行が早かったら、「成瀬、すごくいいんだよー」と目黒さんから電話かかってきて、「北上ラジオ」録ったり、新刊めったくたガイドで絶賛し、おそらく2023年のエンターテイメントベスト10の一位にしていたことだろう。
何事にも人の目を気にせず我が道をゆく主人公の成瀬あかりは、目黒さんの大好きなタイプの主人公であり、その成瀬が巻き起こすことによって周りの人間と読者がむくむく元気が湧いてくるのも目黒さんの大好物のストーリーであったろう。
それにしても少し前であれば成瀬のような登場人物はイジメの対象として描かれていたかもしれない。それが現代の、毎日空気を読むことに神経をすり減らし、いいねの数を気にする世の中において、ヒーローとなるのがとても興味深い。