2月25日(日)命の選択
雨。朝起きたら何やら間違い探しのようになっている。昨夜、母親の歩行杖をリビングに置いたはずなのに、なぜかそれがベッドの横に立っているではないか。もしや昨夜缶チューハイを飲んだので私の思い違いかもしれないと思っていたところ、目を覚ました母親が、昨夜自分でトイレにいったと自慢げに語り出す。
いったいどう対応したら良いのだろうか。私も母親もかつて一人で暮らしていたときのような回復を目指しているわけだから、一人でトイレに行けたことは喜ばしいことなのである。
しかし一人でトイレに行くといくということはその間に転ぶ危険性もあるわけで、それは命の危険でもあるわけだ。
命の選択というと病院で延命措置をするかどうか選ばされる瞬間を思い浮かべるけれど、介護の現場ではこうした些細な命の選択の決断を迫られることになる。
母親を叱るべきか、褒めるべきか、あるいは諭すべきか悩んでいるうちにどうでもよくなってくる。どうなろうとそれが人生。
終日雨。
先週来なかったメジロが庭に置いたみかんを食べにやってくる。母親は飽きずに眺め続けている。
私は、吉本由美、田尻久子『熊本かわりばんこ』(NHK出版)、ホレス・マッコイ『屍衣にポケットはない』(新潮文庫)と読み進む。
やっぱりベッドが硬くて眠れない。