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3月20日(水)袴姿

春分の日。娘の大学の卒業式に娘と妻と出かける。3人でこうして電車に乗って出かけるのは、娘をドイツに送り出した2年前以来。その留学も無事終え、今日卒業となる。

育児も卒業という節目なのかもしれないが特に達成感は湧いてこない。終わった気がしない。たぶん終わりはないのだろう。

持っていった一眼レフで、高校時代からの親友のシモザワとその奥さん、娘さんの記念写真を撮る。

まさかの縁で、娘たちが同じ大学に進み、同じ年に卒業することになるとは、35年前のシモザワと肩を並べて卒業した高校時代には想像もできなかった。娘もシモザワの娘さんも想像できないような未来が待っているだろう。

そのシモザワの娘さんは袴姿で、よくよく見てみれば女の子の95%は袴姿なのだった。家庭でその話題がでなかったので何も考えていなかったのだが、娘は袴など履いておらず、ジャケット姿なのだった。

そういえば娘は成人式の時期はドイツにおり、一度も着飾ったことがなかったのだ。せっかくの晴れ舞台の卒業式なのに娘に肩身の狭い思いをさせてしまった。

この失態をどう詫びていいのだろうかと頭を抱えていると、娘が遠くから手を振りながらやってくる。その脇には友達がいて、とびきりの笑顔が広がっていた。そのときはじめて涙があふれた。

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