6月21日(土)自己肯定感
朝、7時18分のぞみ297号に乗って(ということは東浦和から5時59分の武蔵野線に乗車し)、大垣書店イオンモールKYOTO店さんで行われる「会いにゆける出版社フェス」に参加する。9時29分に京都駅につき、入館証をもらって店内に入り、ワゴンに本を並べて店頭販売するのだった。
イベントで売り子をしているといつも考えてしまうことがある。
もしここに、私でなく椎名さんや目黒さんが立っていたらと。
あり得ないことなのだけれど、椎名さんや目黒さんが本屋の店頭に立ち、こうしてワゴンに本の雑誌社の本を並べて売っていたらどうなっていただろうか。
それはもう物販のイベントというよりはサイン会になってしまい長蛇の列ができるだろう。売上はダントツの1位で、書店さんもきっと大喜びするはずだ。
しかし、実際に売り場に立っているのは私であって、私が立ったところで行列ができるわけもない。
結局いつものように、「自分は椎名さんになれなかったなあ。目黒さんにもなれなかったなあ」と自己嫌悪に陥るのだけれど、ぼんやり売り場を眺めているとそこには本屋大賞の看板が掲げられて、今年の大賞受賞作である阿部暁子の『カフネ』(講談社)がどんと積まれているのだった。
そうしてふと思ったのだ。僕は本屋大賞を作ったんだよなあと。椎名さんにも目黒さんにも本屋大賞は作れなかったよなあと。
もちろん、知識や教養、経験、人間的な器はまったくかなうわけではない。けれど自分だって少しくらいは何か成し遂げたこともあるだろう。そういえばこんなちび出版社で講談社ノンフィクション賞受賞作を作ったのも僕だけなのだ。
本屋の中心で、自己肯定感を高める。