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6月22日(日)長い年月

4時に起きて京都のホテルでクラブワールドカップ、インテル・ミラノ戦を観る。自分はアメリカに行けてないので何も言えないが、ドーハの悲劇以来の衝撃を受ける。

「会いにゆける出版社フェス」二日目。

昨日今日とお隣は新興出版社のライツ社さんで、料理研究家リュウジのレシピ本や『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』がベストセラーとなった三宅香帆のデビュー作、そして20万部近く売れた『認知症世界の歩き方』と話題作がずらりとワゴンに並ぶ。売り子の営業も若者が元気よく声を出し、本を手にするお客さんもやたらと多い。

イベントは残酷でもある。目を惹く本がなければ、当然ながらお客さまは足を止めてくれない。お客さまはほとんど出版社名など興味がない。隣のブースには人垣ができているのに、自分のところは誰もいないなんてこともあり得るのだった。

昨日はライツ社の繁盛な様子を見て、若くて元気のある出版社はいいなあと羨ましく思っていたのだ。

朝、負けたとはいえ必死に戦った浦和レッズの選手の姿を思い出し、今日は俺もがんばるぞと気合を入れ直す。

すると午前中から本の雑誌の読者の方がたくさんやってきて、本の雑誌社のブースの前に人垣ができるのだった。なかにはお土産をくださる人までいて、いったいこれはなんなんだろうかと胸が熱くなる。

さらには目黒さんの『青が散る』(宮本輝著)の書評を読んで本を読み出し、その後は冒険小説を読み漁り、30年来本が好きで来れられたのは目黒さんのおかげですと涙を溜めて話すお客様もいらっしゃった。

「読者の人が会社目掛けて来られるなんてすごいですよね」と隣のライツ社の営業の方がぽつりと漏らす。

そうなのだ。それは椎名さんと目黒さんが作った「本の雑誌」という稀有な雑誌のおかげであり、そして50年という長い続けてこられたからこその力なのだった。

反対側の隣で本を売っているのは法蔵館だった。創業400年を超える出版社だ。

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