8月17日(日)ジェームズ・ティペット『エックスジーニアス 確率と統計で観るサッカー』
ジェームズ・ティペット『エックスジーニアス 確率と統計で観るサッカー』(イースト・プレス)読了。面白すぎて一気読みだった。こんな知的興奮が味わえるサッカー本ははじめてだ。歴史的サッカー本!である。
これまでノイズ(様々な現象と偶然)が多すぎてデータを収集することが難しかったサッカーに、「ゴール期待値(xG)」という概念が持ち込まれたところから分析の革命が始まる。
最も初めにそれらを取り入れ出したプレミアリーグのサッカークラブ、ブライトンやブレントフォード、そしてリバプールを中心に、最先端のサッカークラブでどんなデータが開発され、どう利用されているのかが、つまびらかに語られる。
目から鱗が落ちるどころか何度も目ん玉飛び出し、付箋でいっぱいになった。何もかも数字で語られるので、私がこれまでサッカーを観て(おそらく1000試合くらいスタジアムで観戦している)「打てー」やら「この時間は守りだー」なんて叫んでいたことが、ほとんど間違いであったことをくっきりはっきり教えられた。
クロスからゴールが決まるのは65回に一回とか、両チーム一試合に60回ずつセットプレーがあるとか、ロングシュートは打たない方がいいとか、監督が成績に与える影響は少ないとか、ほとんど1ページ毎に価値観がひっくり変えるほどの衝撃がある。
クラブワールドカップで大敗北を期した我らが浦和レッズは、改めて何世代かけても「世界制覇」を目標に掲げた。ということは選手だけでなく、クラブがこの本で描かれている以上のクラブにならなければいけないということだ。セットプレーのコーチだけでも、戦略を練る人だけでなく、スローインのコーチにキックのコーチまでも居て、さらに試合の分析にはエリート中のエリートも雇う。いったいどれだけの数のスタッフがクラブにいるのだろうか。そうした「世界」の基準というものも教えてくれる待望の一冊でもある。
サッカーって面白い。サッカー本ってめっちゃ面白い。