8月19日(火)つまらなかった返品承ります!
朝4時起床。太陽が昇るのが少しずつゆっくりになり、まだ陽がでていない。5時を過ぎて明るくなってきたので、ランニングへ。
最近は、さいたまマラソンに申し込んだ息子も朝ランを始めたのだけれど、その足の速さにまったくついていけない。胸板も厚く、肩幅も広く、太ももはぱんぱん、もちろん私より背が高い、その肉体がとにかく羨ましく、頼もしい。本気でサッカーに向き合っている人間だけが手に入れられる身体と心。
本日も浜田が夏休みのため9時に出社し、電話番。秘密の本の原稿をチェックし、書店さん向けDM作りに勤しむ。
夕方、電話でいただいた注文を短冊に書き写していると書店コードが一桁足りず、顔面蒼白。書店さんに電話し、改めて確認する。忙しい時間帯にお手間をとらせてしまい申し訳ない気持ちでいっぱいとなる。
落ち込んでいるとS土社のエノ氏から電話があり、「杉江さん、僕は本当に杉江さんに大変失礼なことをしていました。本当にすみません」と謝られ、なに?なに?と背筋がゾッとする。
エノ氏はどこやらの団体で出版勉強会を主催しているそうで、そこでは出版業会の中で仕事のできる人に話を聞いているそうなのだが、今日という今日まで私杉江を仕事のできる人と認識していなかったと。しかしよくよく振り返ってみるとこの暑い中、頭おかしいくらい直納を続けている杉江という人間は、もしかして仕事ができるのではと思い至り、その仕事の哲学を若手の出版人の前で具体的に話してくれないかという依頼であった。
エノ氏もどうもこの暑さで私以上に頭がおかしくなってしまったらしい。とりあえず秋になって28度を下回ったらもう一度連絡するようアドバイスする。
夕方、元B書店のAさんが、出版社に転職したと挨拶にやってくる。出版社に勤めるとなると自社本優先となり、大好きな文芸書を公平に扱うことができなくなるのが嫌で、専門出版社に入ったとのこと。その感覚がとても書店員さんぽくて感動する。
仕事を終えて、コージィ城倉/ちばあきお原案『キャプテン2 第16巻』 を買いにお茶の水の丸善さんに赴くと、入り口平台一等地に大きなパネルが立っており、何かと思ったら「つまらなかった返品承ります!」とデカデカと書かれていた。
これは!! 2011年に宮田珠己さんの『だいたい四国八十八ヶ所』以来の伝家の宝刀ではないか!
今回返品を承るほど自信をもっておすすめされているのは櫻田智也『失われた貌』(新潮社)であった。
なんだか楽しくなる。なぜなら売り場がとっても楽しいからだ。本屋さんはこうでなくちゃ。