8月31日(日)長崎
9時発のバスで佐世保から長崎を目指す。この旅行を計画するまで佐世保を長崎市の一地域だと思っていたのが呆れるほど遠い。高速道路を走って1時間半かけて長崎駅に着く。そして今日の旅の目的地「スタジアムシティホテル長崎」まで路面電車に乗る。
長崎県に行くと決めて一番初めに思いついたのが、「スタジアムシティホテル長崎」だった。ここはV・ファーレン長崎のスタジアムと隣接というか一体化したホテルで、ホテルのバルコニーから試合が眺められるというサッカー好きにはまるでディズニーランドのような夢の施設なのだった。
本日試合するのはV・ファーレン長崎と藤枝MYFCで、浦和レッズサポーターの私にはまったく関係ない試合なのだけれど、試合日のホテルというのを体感したかったのである。
長崎出身のサッカー好きの知人からエレベーターを降りた真正面がサッカースタジアムになっており、興奮して駆け寄るとガラスにぶち当たるから気をつけるよう注意されていたおかげで頭を割ることはなかったものの、まさしく緑の芝生とセンターラインやサイドラインなどピッチを示す白い線が見え、これで興奮するなというのは無理な話なのだった。
ずっとこのままこの場所に居たいと思ったものの、今回は家族旅行でもあるため、ひとまず荷物を預け、妻の希望によりハトシという食べ物を食べに中華街に行く。海老などのすり身をパンに挟んであげたその食べ物を食べた瞬間、妻はこの数年で1番の笑顔になり、この旅にきて本当によかったと思ったのだった。
20年ぶりくらいのこの旅行でわかったのだけれど、妻が旅先で喜ぶのは、地元のスーパーとパン屋さんとそしてエビなのだった。今後の家族旅行はこの3つを目的とするという指針がきまったので、早速娘にエビが有名な地を検索してもらい、次なる旅の目的地の検討に入る。
昨日の佐世保では、一直線のアーケードとしては日本一の商店街にあるくまざわ書店さんで村上龍の『69』と『空港にて』を購入したのだけれど、どの地で訪れるくまざわ書店さんもしっかり本が揃っており、日本の文化はくまざわ書店が守っているのだと感銘を受けた。そして今日は出島にあるBOOKSライデンさんを見て、独立系書店はその街の豊かさの象徴なのだと思い至る。BOOKSライデンさんでは、西村佳哲『増補新版 いま、地方で生きるということ』(ちくま文庫)と「BOOKS LEIDEN 3th Anniversary NAGSASAKI BOOKSHELF SNAP」(BOOSライデン)を購入した。
それにしてもどの地に行ってもスタバが目につき、そこにたくさん人がいることを思い知る。調べてみるとスタバはすでに日本に2000軒以上あるようで、書店の数がスタバに抜かれるもの時間の問題なのではなかろうか。
なぜ人はそんなにスタバに行くのか?
かつて人は暇なとき本屋さんを訪れていた。そこは立ち読みなどもでき、物を買わずにも居られる場所だったからだ。
しかし店に入って物を買わない、ということへのプレッシャーが年々勝手に強くなり、ならばコーヒーを一杯頼んでゆっくりいられるスタバに人は動いたのではなかろうか、なんて仮説を立てているうちに夕方近くとなり、路面電車に乗ってホテルに戻り、試合開始間近のスタジアムをもはや浦和レッズの社員が如く気分で視察した。