11月4日(火)運
9時半に京都の定宿となっているとなっているアルモントホテルをチェックアウトし、あちこちの書店さんを覗いて歩く。
歩きながら自分の幸運について考える。
36年前、高校を卒業し、八重洲ブックセンターでアルバイトを始められる確率は90パーセントくらいだっただろうか。
その後、一旦父親が営む町工場を継ごうと考え、機械設計の専門学校に入学した。しかし結局、出版社で働くことの夢諦めきれず、歯科の専門出版社クインテッセンス出版に就職することとなる。門外漢の専門学校卒の人間が、大卒でもなかなか入れぬ出版社に採用される可能性は5パーセントあるかどうかか。
さらにそのクインテッセンス出版で3年半働いた後、新聞でたった4行の求人広告で見つけ本の雑誌社に入れる確率は0.1パーセントくらいではなかろうか。あるいはもっと低い確率かもしれない。
私は本当に努力というものをほとんどしてきていないので、クインテッセンス出版に入れたのも本の雑誌社で働けているのも運でしかない。
その運のおかげで、今、京都を歩いている。京都を歩いているとなぜかこういうこと、人生について考える。だから私は京都が好きなのだ。





