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4月26日(日)ケア

晴れ。母親の車椅子を押して散歩していると、妙に満ち足りた気持ちになる。

以前、高野秀行さんにやりがいのある仕事、あるいは人生の充実感はどこから湧いてくるのだろうかと相談したことがあった。

高野さんはしばらく考えたのち、「人の役に立つことが大事なんじゃない」と教えてくれたのだった。

高野さん曰く、難民のようなかたちで日本に来た外国の人たちは、自分が助けられることと同時に誰かの役に立ちたいと願うのだそうだ。

私が人生をかけてしている「応援」というのも実は応援しながら選手やチームから応援されていると感じることがあり、人の世話(ケア)というものもケアしていながら同時にケアされているのかもしれない。

すっかり真っ白になった母親の後頭部を見つめ、ゆっくりゆっくり車椅子を押して町内をまわる。

4月25日(土)他の趣味

週末実家介護。母親の見守りを妻に任せ埼スタへ。

浦和レッズ一筋の観戦仲間が「最近、浦和レッズ以外の趣味を探してるんですよね」とこぼすほどのひどい有様で、埼スタも空席が目立つ。

そして本日もひどい試合内容で、試合終了とともに撤収。ママチャリを50分漕いで春日部に帰る。

4月24日(金)960段

スッキリ隊出動で立石書店の岡島さんと成城学園の邸宅へ。もう一ヶ所整理したい場所があるのでと車の後をついていくと、3階建てのマンションで、なんとエレベーターなしの建物だった。

というわけで32段を両手に本を抱えて15往復(合計960段)、久しぶりに階段の魔術師となる。

4月23日(木)色校

夕方、デザイナーの松本さん来社。世田谷ピンポンズさんの『都会なんて夢ばかり』と『感傷は僕の背骨』の色校を見ていただく。その後、6月の新刊と9月の新刊の打ち合わせ。その間の7月と8月刊行の新刊を作っていて、もはや営業でなく編集だ。

4月22日(水)砂村かいり『飛距離の長い青春』

  • 飛距離の長い青春
  • 『飛距離の長い青春』
    砂村 かいり
    幻冬舎
    1,870円(税込)
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  • 炭酸水と犬 (PHP文芸文庫)
  • 『炭酸水と犬 (PHP文芸文庫)』
    砂村 かいり
    PHP研究所
    1,298円(税込)
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  • アパートたまゆら (創元文芸文庫)
  • 『アパートたまゆら (創元文芸文庫)』
    砂村 かいり
    東京創元社
    836円(税込)
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砂村かいり『飛距離の長い青春』(幻冬舎)読了。

読み出した時から主人公3人の人物造形の見事さや医学部受験のディテールの細やかさに傑作の予感がしていたけれど、その予感以上の傑作だった。

「医学部受験」と帯に書かれているのでその合否と若者たちの医療への目覚めがクライマックスになる物語かと思いながら読み進めたのだが、いやはやそんな軽い話ではなかった。もっとしっかり人生を描いた小説なのだ。

素晴らしい! 砂村かいり、すごい作家だと興奮し、そういうときに紐解くのは北上次郎さんの『新刊めったくたガイド大大全』。

「砂村かいり」あるかしらと索引を探してみるとしっかりあった。1074ページ。本の雑誌2021年6月号で、デビュー作『炭酸水と犬』『アパートたまゆら』を紹介している。

『スモールワールズ』の一穂ミチを紹介するのに続いて「今月はもう一人、おすすめの作家がいる」と。

「作者が、ここからどういうふうに物語を転がしていくか、ぜひご覧いただきたい。これが実にうまい」「わき役たちの造形が巧みであることは急いで書いておく」「こういう「調子がよくて一見軽薄だけど憎めない男」を描くと、この作家の筆は冴え渡る」「新時代の息吹が、ここにある」

北上次郎は、砂村かいりをデビュー時に絶賛していた。

ああ、北上さんと『飛距離の長い青春』の話をしたい。

4月21日(火)伸びしろマンがゆく!

10時に辺境チャンネルの渡さんが来、予約注文を受け付けていた高野秀行さんのZINE『伸びしろマンがゆく!』の発送準備に取り掛かる。

ご注文いただいた300人のアドレスをラベルに打ち出すのが簡単ではなく、送付作業に慣れている事務の浜田に教わりつつ、クリックポストのラベルをこさえていく。

ラベルを打ち出し、封筒に貼り、ZINEを封入し終えたのは2時過ぎのこと。2人ががかりで4時間以上かかかってしまった。

ZINEを作るということはそういうことである。

伸びしろマンがゆく!表紙.jpg

4月20日(月)まんてん

神保町ブックフェスティバルの疲労を引きずりつつ出社。

飲み会とイベントの翌日は絶対休むことも遅刻することもなく出社すべし。これ、前職場で教わった鉄則。

教えてくれた先輩はそうして出社した私に電話で休みを伝えてきていた。

スリップを整理し、二日間の売上を確認する。驚くべき売上。みなさまありがとうございました。

昼、パワーをつけようとカレーのまんてんでカツカレー。ご飯少なめを頼んだのだけれと、うっかり普通盛りで提供される。

「すんません、間違えました。残してくださいね」

そう言われても残すのも忍びなく、一生懸命食べて、皿をカウンターにあげると

「ありがとうございました! 助かりました! 次はジャンボでいきましょう!」

と笑顔で言われ、こちらも笑ってしまう。

まんてんは、味だけでなく、接客もまんてんなのだ。

4月19日(日)春の神保町ブックフェスティバル

春の神保町ブックフェスティバル2日目。

こうして土日に本を売る際は、母親を介護施設に預けっ放しにしている。

罪悪感は抱かぬようになったものの、母親に面倒をかけている分、たくさん本を売らねばならないという妙な使命感が湧いてくる。

昨日に引き続き『本屋の人生』の著者伊野尾さんと、そして昨日は宇都宮のイベントで本を売っていたビーナイスの杉田さんも助太刀に現れ、一緒に本を売ってくださる。

2日目の今日もすごい人出で、ときおり2人3人とお会計が重なってしまう。レジをしている浜田があわあわする中で、私が暗算で釣り銭の指示をする。

高校卒業後にアルバイトした八重洲ブックセンターでは、レジひとりに対してサッカー(受け手)が4人おり、複数人が同時にお会計となるとレシートを排出し、暗算で釣り銭を渡していたのである。まさかあの経験がこうして活きようとは。そしてこうしたイベント販売も前職の医療系出版社の学会販売で慣れていたのだ。人生無駄なことなんてひとつもないということだろう。

終了の5時までまったく人出が途絶えることなく、春の神保町ブックフェスティバルは大盛況で終了となる。

4月18日(土)イベント

一年半ぶりの神保町ブックフェスティバル一日目。初めての春開催ということで、集客を不安視する人もいたけれど、11時の開始早々から人の波はまったく途切れず、まるでお正月の浅草寺のような大賑わいとなる。

神保町ブックフェスティバルに本の雑誌社が初めて出店したのは、事務所を神保町に移転した2012年のことだ。

当時は助っ人アルバイトに画板を首から下げてもらい駅弁売りのようにブックカバー売り歩いてもらったり、読者や知人とワゴン越しにおしゃべりする時間があった。

それが今ではひたすらお会計するばかりである。コロナ明けの再開以来ぐっと人出が増えたような印象だ。

この人出を見て、「本はイベントでしか売れなくなった」と悲嘆に暮れる声が聞こえてくる。その気持ちもわかるけれど、最近、私はこの主語が間違っているのではないかと考えている。

「本は」ではなく、「人が」なのだ。

人が、イベントを求めているのだ。

そしてイベントに行ったら、何かを消費する。ラーメン博ならラーメンを、パンフェスならパンを。

本がイベントでしか買われなくなっているのではなく、人はイベントで物を買う、のだ。

だからイベントの売上と日常の売上を同一線上で捉えなくていいのではと思っている。

4月17日(金)原価計算

朝、デザイナーさんから本日入稿の新刊に使う用紙案がメールで届いた。カバー、表紙、帯などに使う紙をひとつずつ確認していくと、事前にいただいていた表紙のラフをみてイメージしていたのと異なる紙が指定されていた。

あれ? これでいいのかなと思い、自分の持っていたイメージを伝えると、デザイナーさんもそのイメージだったのだが、原価を気にして安い紙を提案してきてくれたのだった。

実は私は本の原価計算というのを疑っている。刷り部数で計算して意味があるのだろうか? それならたくさん刷ったら原価率は当然下がる、そうでなければ上がる。しかし、結局売れなければその数字はまやかしでしかない。

ならばその本が、もし装丁の力によって読者の手に届く数が変わるような本であるならば、変にケチるのは逆効果であろう。

デザイナーさんに本当に使いたいと思っている紙を聞き、それを印刷所に伝えた。

夜、新刊2点を入稿する。

4月16日(木)コスパ

直行で中井の元伊野尾書店に伺い、お願いしていた『本屋の人生』のサイン本ピックアップする。

かつて伊野尾書店だったところは本も棚も撤去され、がらんどうになっていた。やけに広く感じるその店内で、しばし伊野尾さんと話す。

一旦会社に戻ったのち、白山から歩いて本の店&companyさんに納品にあがる。店主の末竹さんとお話していると、高校生や大学生が本を買いに来て、谷川俊太郎や幸田文の本を買っていくらしい。最近の小説を薦めてみたら漫画みたいだからといって興味を示さなかったという。

その話を伺って、自分は「コスパ」という言葉を誤解していたことに気づいた。若い人が安くて短時間で楽しめるものを「コスパがいい」と評価しているのかと思ったけれど、一度読んでおしまいならそれはコスパは悪いのかもしれない。長く、ときには一生、何度も楽しめるもののほうが、ずっとコスパがいい。そういうものをしっかり選んでいる若い人たちが増えているのかもしれない。

4月15日(水)WOWOW

イラストレーターの信濃八太郎さんとWOWOWに赴く。今作っている本がWOWOWの番組を礎にした本で、その販売を協力していただけるとのありがたい打ち合わせなのだった。

話を伺うとWOWOWに入社する人は、映画が好きな人、音楽が好きな人、サッカーが好きな人、そしてテニスが好きな人が多いそう。

そう話す担当の方も部類の映画好きで、とても楽しそうに仕事の話をしていて、たいへん好感を抱く。

4月14日(火)みうらじゅん『ブツゾー・キッド』

  • ブツゾー・キッド
  • 『ブツゾー・キッド』
    みうらじゅん
    淡交社
    1,870円(税込)
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精文館書店中島新町店の久田さんから「これ、めっちゃ面白いですよ!」と教えていただいたみうらじゅんの『ブツゾー・キッド』(淡交社)を読み出したら、本当にめっちゃおもしろく、一気に読んでしまった。

小学校4年生のとき、おじいちゃんの家に習字を教わりにいくようになった僕は、おじいちゃんが本棚から抜き取り見せてくれた土門拳の仏像写真に釘付けになる。それまで怪獣に心奪われていた僕は、一気に仏像に目覚め、仏像のオーソリティだったおじいちゃんをブツゾーマスターと名づけ、週末ごとに仏像を見にお寺をまわるようになる。

二人の交友はおじいちゃんと孫というものではなく、同じ趣味をもった友達のようであり、お互い最も理解し合う仲になっていく。

そして「僕」は中学生となる。そこには友情があり、恋愛があり、未来への迷いがある。一風どころかかなり変わった「僕」の行動はたくさんの笑いを誘うが、結末では思わず涙が溢れて止まらなくなってしまった。これは高野秀行さんの『ワセダ三畳青春記』と並ぶ青春ものの傑作。

今年の夏の課題図書は『ブツゾー・キッド』で決まりだ。

4月13日(月)送っておいてください

本屋大賞の発表会場から送った荷物が届いたので、その片付けと、各所に送る作業に勤しむ。

「送っておいてください」の後には、

宛先を打つ
宛先の表記を整える
封筒を数える
ラベルを出す
ラベルを貼る
案内文を書く
案内文をプリントする
案内文を折る
送付するものを数える
ひとつずつ間違えないように封筒に入れる
封をする
切手を貼る
郵便局にもっていく

という手間がかかる。

髪を切る。DAZNを解約して、U-NEXTサッカーパックに入る。

4月12日(日)繁延あづさ『鶏まみれ』

  • 鶏まみれ
  • 『鶏まみれ』
    繁延 あづさ
    亜紀書房
    2,420円(税込)
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    HMV&BOOKS

おそらくこの先どんなにたくさんの本を読んだとしても、これほどまでに強烈なノンフィクションは読めないだろう。

繁延あづさ『鶏まみれ』(亜紀書房)は、著者自身が鶏肉を加工する現場で働き、しかもそれは取材ではなく、のちに自身が養鶏場を営むために必要なことであった。

殺すこと、さばくこと、育てること、売ること、食べることすべてが当事者として記されるとてつもないルポルタージュだ。

しかも肉や命のことだけが書かれているわけではない。働くということ、家族というもの、すなわち社会のすべてが描かれている。

この本に出会えて良かった。これまで本を読んできて本当に良かったとつくづく感じた。

4月11日(土)お守り

朝、介護施設に母親を迎えにいき、週末実家介護。

最近、母親をお守りように感じている。いや母親自体がお守りというわけではなく、母親の世話をしていることをお守りのように思っているのだ、私の身の回りが比較的穏やかに過ごせているのは、こうして母親の世話をしているからと。

母親と母親の友達がお茶を飲みながら話しているのを聞いてると、よく「バチが当たる」という言葉が発せられる。「あの子はいつかバチがあたるよ」「あれはバチが当たったんだね」と。

バチとは罰である。「バチがあたるよ」ということは悪いことを天に懲らしめられることだ。

私は日々、人を傷つけたり、嘘をついたり、悪いことをしている。それでも私も家族も健康でおおむね楽しく過ごせているのは、きっと母親の面倒を見ているからだ、と最近感じている。

4月10日(金)規模

本屋大賞の疲労を引きずりつつ出社すると、その本屋大賞のために上京していた書店員さんたちが会社に遊びにやってくる。その数13名。本の雑誌社の収容人数を遥かに超える数だ。

聞けばこの後、小学館→ KADOKAWA→ 講談社→ 文藝春秋と訪問するらしい。

それは規模が違いすぎるだろう。

小学館 711名(自社ビル)
KADOKAWA    2343名(自社ビル)
講談社 948名(自社ビル)
文藝春秋 342名(自社ビル)

に比べて
本の雑誌社 5名(築55年の雑居ビル)
なのだ。

恥ずかしくうつむいて応対していると遊びにきてくださった書店員さんのひとりが、社内在庫を見て声を上げた。

「ああ、『マンションポエム東京論』って本の雑誌社刊行だったんですか! これ去年読んでめちゃくちゃ面白かったです」

そう、出版社は規模じゃないのだ。

4月9日(木)2026年本屋大賞

集合時間の10時に明治記念館に着くと、すでに実行委員の面々が荷物を運んでおり、すぐに朝礼が始まった。

その様子を眺めつつ、ひとりでできないことってあるんだなあと改めて思う。

本屋大賞を思いつくことはひとりでできるかもしれないが、こうして投票から集計、出版社との交渉、そして発表会を開催することは絶対にひとりではできない。

しかも気づけば23年。適材適所で各々がやるべきことをやっている。飾り付けをする者、司会をする者、受付をする者、それらを司る者、ひとりひとりの小さな力がより集まって本屋大賞といういつの間にか大きくなってしまったものを必死に運営しているのだった。

発表会を無事終え、打ち上げも盛り上がり、さらに二次会でとことん本について語り合う。家族も知らない私の仲間、私の大切な友達。

ひとりでできない。
お金をかけてでもできない。
それが本屋大賞。

4月8日(水)再会

駒込・千石のBOOKS青いカバさんに「本の雑誌」5月号を納品に上がると、なんと帳場に元サンブックス浜田山の店長Kさんがいてのけ反る。

「いつか来ると思ってたんだよー」とKさんは笑いながらBOOKS青いカバの店主小国さんに頼まれて水曜日に店番していると教えてくれる。

「もしかして古本屋になるんですか?」と聞くと「いやいや」と首を振りつつ、新刊書店と違って古本屋の利益率の高さにまんざらでもない様子だった。

新刊書店の経験を活かすなら清澄白河のしまぶっくすさんが参考になるのではとおすすめしてお店を後にする。

明日の本屋大賞に備えて早く帰る。

4月7日(火)やる気スイッチ

  • 本の雑誌515号2026年5月号
  • 『本の雑誌515号2026年5月号』
    本の雑誌編集部
    本の雑誌社
    880円(税込)
  • 商品を購入する
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朝、6時突然やる気スイッチが入り、7時半に出社。先週から気が重く、手をつけずにいた仕事に着手する。

するとみなが出社してきた頃にはすべて終わっており、3時間で終わるなら先週のうちにやっておけばよかったという後悔が湧いてくる。

こういうことは結構あって、めんどくさいと棚上げして気鬱な時間を過ごすならとっとと片付けさっぱりした方がいいのである。

仕事も片付き爽快な気分でビールでも飲みにいこうかと思ったがまだ朝の10時半で、「本の雑誌」5月号も納品となったので、助っ人アルバイトの鈴木くんとともにツメツメ作業に勤しむ。

4月6日(月)介護ボケ

春日部より出社。行きの電車の中で、「本の雑誌」の特集企画が思い浮かび、午前中の会議で確定する。不思議なものでいつも前日まで考えたこととまったく違うことを思いつく。

月曜日は介護ボケでいまいち仕事に乗れず。

4月5日(日)息抜き

先週に引き続き、母親の寝ている早朝、近所のセブンイレブンへコーヒーを買いにいく。介護の息抜きになりそう。

予想(25℃)までは上がらなかったけれど母親の車椅子を押して父親の墓参りと散歩。桜満開。

昼、母親の友達が来ておしゃべり。

4月4日(土)数字

朝、母親を介護施設に迎えに行き、週末実家介護。

ケアマネジャーが来たので、今後の介護方針の相談する。

母親はただいま要介護4で、特別養護老人ホーム(特養)に入ることができる。しかしこれが1年後の審査で2まで下がってしまうと特養に申し込むことができなくなってしまう。だから特養に入るためのチャンスの1年なのだそうだ。

生まれた時は体重、その後は成績表や偏差値、そして最後は介護認定という数字に人生を支配される。

かりゆし58の「アンマー」をヘビロテする。

4月3日(金)上野

6月刊行の書籍『ミニシアターをたずねて(仮)』の校正ゲラが出たので、昨日も一緒だった信濃八太郎さんにご来社いただきお渡しす。

夕方、屋敷直子さんと来年刊行となる単行本の打ち合わせ。

上野まで歩いて帰ると花見客ですごい人出。上野がいちばん混む時期なのだった。

4月2日(木)スッキリ隊西上心太邸参上!

スッキリ隊出動。本日の依頼主は書評家の西上心太さん。都内某所のお宅に伺うと量の違いはあるものの状況は日下三蔵さんと一緒。床から本がにょきにょきと生えており、書庫へ入るには本の獣道を通らねばならない。これぞ書評家。

コロナ前までは年に一度、友人知人を招いて本の整理をしていたそうだが、コロナ以降は溜まる一方だったらしい。

向井さん、浜本、そして本日は欠席の岡島さんに代わってのお助け古本屋さん2名に、今月よりスッキリ隊ルポを連載するイラストレーターの信濃八太郎さんともに夕方まで約3000冊の本を整理する。最後には徹夜で麻雀をしているような謎のアッパーな気分に陥り、笑いが止まらなくなる。スッキリハイだ。

4月1日(水)エラーなし

  • 本屋大賞2026 (本の雑誌増刊)
  • 『本屋大賞2026 (本の雑誌増刊)』
    本の雑誌編集部
    本の雑誌社
    880円(税込)
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『本屋大賞2026』の事前注文〆作業に勤しむ。短冊とデータを付け合わせ、コードや冊数に間違いがないか確認する。

トーハン、日販ともエラー出ずにアップロード完了。ガッツポーズ。

3月31日(火)本屋さんの閉店

伊野尾書店さんの閉店に立ち会いながら思い出していたのは、新橋の文鳥堂書店さんが閉店した時のことだった。

あの頃、本屋さんの閉店は特にニュースにならず、こうして最後にシャッターを下ろすときに人を集めることもなく、場合によっては版元の営業も知らずに次訪問したらお店がなかった、なんて感じだったと思う。

文鳥堂新橋店さんの閉店は私にとってまさにそれで、前回の訪問からひと月後くらいに訪問したらお店が閉まっていて、ちょうど什器を撤去しているところだった。

あれはいつ頃のことだったんだろうか。たしかその日のことをこの日記に記したよなと検索してみると、なんと連載の一回目がその文鳥堂新橋店さんの閉店のことだった。それは今から26年前、2000年の8月のことだ。

華々しく自社のホームページができあがるその連載一回目に私はいったい何を考え、本屋さんの閉店を記してたのか──。

20時ちょうどに伊野尾さんが店から出てきて、傘立てや雑誌を並べていた什器を店内にしまう。シャッターが下され、店の前に集まっていた人たちと並んで記念撮影をすると、伊野尾さんの「解散!」という声で、伊野尾書店の69年の歴史は閉じた。

閉ざされたシャッターには、6月にここで開店するBOOKSHOPトランスビューのポスターが貼られていた。

3月30日(月)飯嶋和一『虚空蔵の峯』

  • 虚空蔵の峯
  • 『虚空蔵の峯』
    飯嶋 和一
    小学館
    2,310円(税込)
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    HMV&BOOKS
  • 本をひらく
  • 『本をひらく』
    杉江由次,大森皓太
    本の雑誌社
    1,540円(税込)
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飯嶋和一『虚空蔵の峯』(小学館)読了。

藩主による悪政、困窮する農民による泣訴、背景にある幕府内の抗争、現代にぴったりなテーマであり、いくらでもドラマティックにできるのに、この著者飯嶋和一はたんたんと微に入り細に入り、まるで報告書のように記す。

ただひとり別の方法で小説という芸術に挑むよう。唯一無二の小説家。

既存の書店と独立系書店の話となるとその品揃えの違いに陥りがちなのだが、商売の仕方の違いに目を向けて欲しいのだった。買い切りで仕入れ、ときには正味交渉もされ、ネットでの通販も活発にする。

実はそこに出版社としての本作りや営業のヒントもたくさん転がっており、私自身それが知りたくて『本をひらく』で大森さんにしつこく質問を投げかけていたのだ。

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