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9月28日(月)Wi-Fi爆速

雨降る中、介護施設の車に乗り込む母親を、手を振って見送る。

急いで出社の準備をしていると、デザイナーの松本さんから本日入稿の増山たづ子『ふるさとにまさるふるさとはなし』の修正データが届く。

そこではたと出社を取りやめ、自宅に戻ることにする。なぜなら会社のWi-Fiが遅く、大きなデータを落とすのに数十分かかるのだ。

『ふるさとにまさるふるさとはなし』は半分写真集のため、入稿データもかなり大きくなる。今現在届いている修正データだってダウンロードに時間がかかるだろう。昼には入稿せねばならぬので、時間短縮あるのみ。というわけでWi-Fi爆速の自宅に戻り、入稿作業に勤しむ。

9月27日(日)裏の家

5時に目を覚まし、ゼブンイレブンにコーヒーを買いに行く。毎週日曜日の朝だけコーヒーを買いに来る男。

コーヒーを飲みながらゲラと格闘。途中、母親が起きたので朝食の用意などして、どうにか9時前にすべての確認を終える。それにしても今回の仕事の仕方は本当にひどかった。この失敗を糧に今後の仕事のやり方を変えていかねばならない。

雨がやんだので、母親の車椅子を押して、父親のお墓参りと散歩。

散歩の途中、自転車に乗ったおばさんが一度通り過ぎた後に戻ってきて、「杉江さん!久しぶり」と声をかけてくる。母親だけでなく、私に対しても「つぐちゃん」と呼んで親しげに話すが、誰だかさっぱりわからない。調子良く話を合わせていたが、最後までわからず。

しばらく経って母親に「さっき会ったの誰だかわからないで話してたでしょう?」と聞くと、「バカね、Oさんよ」と笑う。

Oさん? それは50年くらい前にわが実家の裏に住んでいた一家ではないか。よくそんなこと覚えていたなと驚く(そしてその晩には忘れていることにさらに驚く)。

Oさんとの会話の中でお墓の話になり、私の父親は近所のS林寺に埋葬したと話したら、Oさんは「うちのお父さんと娘はE福寺なのよ」といったのを、夜、ベッドの中で思い出す。

確か裏の家にはお兄ちゃんと妹がいて、お兄ちゃんは私の一個上だった。ということは娘さんは私より年下ということだろう。顔も名前も覚えていないけれど、それでもきっと幼き頃に路地か庭で遊んだはずだ。

9月26日(土)丁寧に

雨。朝9時に介護施設へ母親を迎えにいく。文学フリマ大阪や志津ブックフェスなどがあったので母親に会うのは3週間ぶり。車に乗るときに「いやーすごい雨。久しぶりの雨ね」と母親は顔に当たる雨粒を拭うが、雨はもう30日近く降り続いているのだった。

雨でランニングができないため、買い物の後は仕事に取りかかる。丁寧に、丁寧に、丁寧に、と焦る気持ちを抑え込み、深呼吸しながらゲラを読む。夜までにどうにか目処が立つが、目と脳が疲労困憊。毎日これくらい丁寧に働かねばならぬと深く反省する。

9月25日(金)一から考え直す

鬱っぽさを引きずったまま9時に出社。今日中にケリをつけたい仕事があったのだが、まったくケリはつかず、それどころか昨日までの自分がまったく信じられなくなるほどのミスが掘り起こされ、最初からやり直し。忙しいを言い訳に傲慢になっていた。仕事の取り組み方を一から考え直す。

夜、松戸の名酒場「ひよし」で書店員さんを囲んでの飲み会に参加。昔はこういう飲み会がたくさんあって、書店員さんや他社の版元営業から本の売り方をたくさん学んだのだ。

9月24日(木)晴天鬱

よくわからないのだけれど、天気の下降時でなく、回復時に鬱っぼくなる。なので久しぶりの晴天となった今日は圧倒的にダメな日。連休明けでやることがいっぱいあるのに、何もやる気が起きず。空は晴れているのに何もかも最悪な結果になる気がしてくる。

9月23日(水)シルバーウィーク最終日

またもや雨。シルバーウィークといっても5日のうち3日は仕事していたので、普通の休日と変わらぬのだった。消化できていない代休はおそらく50日以上あり、さらに有休もとったことがない。いったい何日休みが溜まっているのだろうか。

9月22日(火)台風一過

久しぶりに晴れた。というか雨が降っていない。もう2週間くらいずっと雨が降っていたような気がする。

早速走りにいく。ランニングコースのそこかしこに水たまりがあり、SASUKEのように飛び越えていく。15キロ。

シャワーを浴びてこれまた久しぶりの休日を家族で過ごそうと思うも、娘は仕事、息子は友達とドライブ、妻はパシフィコ横浜でライブと午後からはひとりぼっちになる。結局、私を最も必要とているのは今日は施設にいる母親なのかもしれない。

11月刊行予定のとある小説の推薦コメントを依頼されていたので(目黒さんの真似をして面白かったら書きますと答えた)、もう一度ゲラを読む。間違いなく面白いので、コメントを考える。

夕方、息子が帰ってくると、「父ちゃん、たまにはサッカーしようぜ!」と誘われる。

すっかり固くなっていたトレシューに足を入れ、公園に向かい、足元でボールを動かしている息子の対面に立つ。

息子がボールを蹴る。私がボールを止める。そして蹴る。息子が笑う。蹴る動作をしばらくやっていなかったので、とてもぎこちない。筋力が衰えているというのではなく、身体が硬くなっているのだ。そうか、歳をとるとしなやかさが失われるのか。

しばらくボールを蹴り、一対一をやっていたら息が上がり、ギブアップ。まだ15分だよと息子がまた笑う。

夜、ヤオコーで買ってきたカツ丼を食べるも半分食べたところで箸が止まり、残りを息子に食べてもらう。いくら振り抜いても動じない身体、カツ丼をわしわし飲み込む胃袋。もう2度と帰ってこないのだろうか。

乗っ取られていた本の雑誌社のアカウント(@Hon_no_Zasshi)がついに売られてしまったようで、謎の暗号資産の会社に様変わりしている。何度もX社に通報する。

9月21日(月)台風

台風接近、雨風強し。

ジュンク堂書店池袋本店のイベント担当者さんと朝イチでやりとりし、14時から予定していた倉嶋紀和子さんと小宮山雄飛さんのトークイベントは残念ながら中止と決まる。楽しみにしていたファンの皆さまに申し訳ない気持ちでいっぱいとなるが、安全が最優先なのだった。

突如ぽっかり空いた休日。外は激しい雨。本を読んで、昼寝して過ごす。

9月20日(日)さよなら、志津BOOKフェス2日目

8時に家を出、10時ちょうどにときわ書房志津ステーションビル店さんに到着。「さよなら、志津BOOKフェス」2日目。2日目ということは最終日だ。

外は大雨だが、10時半スタートからお客さんが途切れることなくやってくる。近所の人、遠方からの人、すごいことである。すべてこれまでの蓄積の力。おかげさまで昨日に引き続き、たくさん本が売れていく。3冊ずつ持ってきた本がだいぶ売り切れてしまい、お店の在庫を借りて売り場を維持する。こんなことこれまでの出店で経験したことがない。本当にすごいことだ。

16時45分。とある版元の営業にして、日野店長の友達でとあるM氏が、ギター片手にステージに立つ。ミュージシャンでもM氏が、「いい事ばかりはありゃしない」(RCサクセション)と「デイドリームビリバー」(タイマーズ)を歌い上げる。日野さんは涙を流して拳を突き上げ、「ありがとうございました!」と応えた。

本屋さんは、本を売る場所である。
しかし、本当にそれだけなんだろうか。
昨日と今日、それだけではない何かをたくさん見せてもらった。

そしてときわ書房志津ステーションビル店さんには、本屋さんが社会と繋がっているといういうことを改めて教えられた。

9月19日(土)さよなら、志津BOOKフェス1日目

朝7時に家を出、武蔵野線、総武線、京成線と乗り継ぎ、9時に志津駅に着く。

ちょうどビルがオープンしたので、白水社の小林さん、亜紀書房の岡部さん、カンゼンの伊藤さん、そして誰よりも早く志津に到着していたビーナイスの杉田さんともども入店する。するとエプロン姿の日野店長が段ボールを運んでいたので、早速みなで手伝い、各版元の机に荷物を置いていく。まるで浅草のBOOK MARKETのようだが、本日は10月の閉店を前にしたイベント、「さよなら、志津BOOKフェス」なのだった。

ブースに本を並び終えた頃、事務の浜田も到着。二日間、彼女も売り子として店に立つのだった。遠いし、シルバーウィークだから来なくていいと言ったのだけれど絶対行きますと頑なで、彼女なりにときわ書房と日野さんに想いがあるのだろう。

午前中はわりと空いていたが(これはいつもそうらしい)、午後からどっとお客さまが増えてくる。そしてレジに行列ができるほどたくさんの本が売れていく。

都心から一時間から一時間半かかるお店にぞくぞくと人がやってくる。これはときわ書房志津ステーションビル店さんが長い年月をかけ築き上げてきた信頼の成せる業だ。ノンフィクションや人文書、また小さな出版社の本などを力強く展開してきてくれたのだ。出版社だけでなく多くの著者が、ときわ書房志津ステーションビル店さんを頼りにしてきた。なによりもお客さまがその品揃えを頼りにしてきたのだ。

イベントとは関係なく、お店には10時のオープンから雑誌や本を買ういつものお客さまがやってきていた。あのお客さまたちは11月以降どこで本を手にするのだろうか。ぶらりとサンダルで本を買いに行くことができるのだろうか。

9月18日(金)YouTube

朝、8時に新宿のブックファーストさんに向かう。本日はYouTubeの撮影の立ち会いなのだった。といっても待ち合わせまで30分ほど時間があったので、店前のベンチに座って佐原ひかり『夜の海をゆく人よ』(幻冬舎)を読んでいると、アジア系の女性から「すみません、ここにはどうやっていったらいいでしょうか?」と心底困った様子で声をかけられる。

向けられらスマホを見ると道順を記した画面が表示されているのだが、それがいまいちわかりづらく、住所から検索すると向かいのビルだった。

しかしこの地下道は反対側に出口がなく、なかなか説明しづらい。なのでそのビルまで連れて行ってあげることにすると、その女性「時間は大丈夫ですか?」と心配そうに聞いてくる。30分前行動の私には常に時間に余裕があるのだった。

無事、その女性を目的地に送り届けると、胸の前で両手を合わせて感謝をされる。なんだかいい一日になる気がする。

2時間ほどの撮影が終わり、昼前に会社に出社。シルバーウィーク前にDMを投函しようと(しかしシルバーウィークには配達がないのであまり意味がない)、助っ人さんとともに封入活動に勤しむ。

夕方、デザイナーの松本さんがやってきて、増山たづ子『ふるさとにまさる ふるさとはなし』のカバーデザインや収録する写真の並びなどを確認する。

ゲラを見ながら、この本を出せたらもう死んでもいいかと思った。

9月17日(木)行列で本を読む

5時12分起床。霧雨。走る。6キロ。お風呂を洗いながらシャワーを浴びる。なかなか難しい。

9時24分出社。今日は書店さん向けDM作りに没頭するはずが、メールの返信や直注文の発送などしているうちに12時を過ぎてしまう。

13時に内田剛さんやってきてPodcast「POP王の愛と自由と平和な本語り」を収録する。

今回二人のカバンに入っていた本は

越尾圭『黒幕』(角川春樹事務所)
佐原ひかり『夜の海をゆく人よ』(幻冬舎)
一木けい『あなただけに許す距離』(小学館)
ヘンノ・マルティン『ナミブ砂漠のロビンソン・クルーソー』(国書刊行会)
岩城けい『Matt』(集英社文庫)
今野ぽた『どこか遠くで飲みたくて 東北三県旅行記』『どこか遠くで飲みたくて 長崎旅行記』『どこか遠くで飲みたくて 高知旅行記』

だった。内田さんの叙述ダジャレトリックにやられる。

収録を終えると午前中のデスクワークとともに脳が疲労しているのがわかる。昼食を求めて外に出る。

ライスカレーのまんてんを覗くと列ができており、その中でひとり背筋を伸ばして本を読んでいる人がいた。今どきスマホでなく本を読む、しかもカレーのまんてんの行列でと驚き凝視すると、それは亜紀書房の営業岡部さんであった。

岡部さんは神保町の内勤のときは昼食にほぼまんてんでカレーを食べており、そのことは『神保町本の雑誌』でも記していただいたのだが、まさか待ってる間に本を読んでいたとは。その神々しさに私は右手に握っていたスマホをポケットにしまう。

結局、昼メシはやめて、セブンイレブンのホットコーヒーを買って会社に戻る。

気合いを入れ直し、DM作りに勤しむ。

帰りに丸善お茶の水店さんを覗くと、青土社のエノ氏とばったり。エノ氏、ただ今、出版フィールドワークプロジェクトという出版関係者の仕事ぶりを後世に残すインタビューに取り組んでおり、やる気みなぎっている。

9月16日(水)蟹ブックス

『かわいいビル』の写真展を開催していただいている高円寺の蟹ブックスさんから追加注文が入り、持っていける数ではなかったので直送を手配。しかしお礼だけはとお店に伺う。

言わずと知れた花田奈々子さんの営むお店で、店に入るやお礼よりも本を買いたい気持ちが勝ってしまう。しかしその気持ちをぐっと堪え、ご挨拶とともにお礼を述べ、そしてやはり棚を物色する。

見かけは独立系書店なのであるが、蟹ブックスさんは大手取次トーハンと契約しており、その仕入れの間口の広さとともに商品の入れ替えができる利点を最大限に活用されているように思える。棚が日々に合わせて呼吸している。

神保町にこういうお店が欲しいのだと思いつつ、本を3冊買ってお店を後にする。

夜、『本をひらく』の大森皓太さんと新たなPodcast「この本、こんなに安くていいんですか?」を収録する。

9月15日(火)身から出た本

9時15分出社。出社するとともに、昨日、広島の泉美術館の方が持ってきてくださっていた増山たづ子さんの写真を整理し、印刷所に渡す。『ふるさとにまさる ふるさとはなし』に収録する写真をスキャンしてもらうのだった。

それと同時にデザイナーの松本さんに帯コピーや奥付など本文以外のテキストを送る。いよいよ制作の佳境を迎える。

午後、11月刊行の本の再校ゲラが著者から戻ってきたので確認。いくつか疑問点と修正希望が記されていたのでその確認と手配。さらに金曜日校了の本の最終調整。これから1ヶ月の間に私は4冊の本を校了するのだった。

なぜに営業マンがこんなことになっているのか。すべては「本つくりましょう!」という私の言葉から来ているのだ。「身から出た錆」ならぬ「身から出た本」なのだった。

9月14日(月)寄合

昨夜は大森さんの運転する車で京都に戻り、京都酒場赤まるで打ち上げをし、定宿アルモントホテルに宿泊した。赤まるでは本の制作費について議論をし、四人いれば四人の考え方があるわけで、互いの考えを示しながら、互いの意見も尊重し、1時間ほど話し合うと落ち着くところに落ち着く。渡辺さんはそれを寄合と名付けたが、まさしくそうなのであった。

夏休みをとった本日は京都観光をして過ごす。先々週家族と歩いた道を一人で歩く。

夕方の新幹線に乗って帰宅。

9月13日(日)文学フリマ大阪14


8時21分東京発のぞみ239号に乗って新大阪へ。御堂筋線、中央線にゆられコスモスクエアで下車し、時折雨が降る中、歩いてインテック大阪にたどり着く。

140Bと青木さん、一冊!取引所の渡辺さん、そして鴨葱書店の大森さんとともに4B名義で文学フリマ大阪に出店し、渡辺沈没『僕は馬券よりも人生に賭けたい』の初売りと大森皓太さんとの共著『本をひらく』を手売りするのだった。

三人は京都から先に来て先に入場しており、私は行列の後ろに着いて会場に入る。東京より少ないとはいえ、1500以上の出店者がおり、サッカーコート一面くらいの広さにずらりと本やZINEが並ぶ。

圧倒されながらブースに向かうも、実は本屋さんに並ぶ本の後ろにも文学フリマ同様に作った人たちがいるわけだ。校正者やデザイナーなどを含めたら、ここ以上に多くの人が関わっているだろう。

この景色を見る、ということに私が文学フリマに参加することの大半の意義がある。

文学フリマ大阪16で購入したのは

今野ぽた『どこか遠くで飲みたくて 東北三県旅行記』
       『どこか遠くで飲みたくて 長崎旅行記』
       『どこか遠くで飲みたくて 高知旅行記』
ススギナオ『ずっとあった店 BARレモン・ハート編』(ことさら出版)
松永K三蔵『書き下ろし織田作之助エッセイ(イラストつき)』

だった。

9月12日(土)踏み台

明日、大阪にいくので、今週は母親の介護はお休み。

妻と娘とホームセンターのカインズに行く。同居している義母が、玄関を上がるのがつらくなってきたとのことで踏み台を探すもあまりに広大な売り場に苦労する。本を読まない人が大型書店に来た時は、こんな気分なのだろうか。

雨が止んだ隙をついて12キロ走る。

9月11日(金)暑苦しいメール

4時50分起床。またも雨。走れずうんざり。ベッドからでて、リビングでゲラを広げる。昨夜に引き続き、10月下旬刊行の増山たづ子『ふるさとにまさるふるさとはなし』の確認作業に勤しむ。原稿の世界にどっぷり浸かる、というよりは原稿が私の身体に入ってくる。

7時になって、家族みな起き出してきたので作業終え、8時47分に出社。すぐにまたゲラを広げて、作業再開。改めて思うがすごい文章だ。言葉の力がまったく違う。軽やかだけれど重い。40年前に書かれた文章だが、これは今の世に読まれるべき文章だ。これは多くの人に届くはず、届けなければならない。

その熱い想いを今現在、唯一共有できるのは一緒に本を作っているデザイナーの松本さんで、松本さん宛に暑苦しいメールを送ってしまう。いい迷惑。

1時半に原稿チェックを終える。体の芯からマグマのように興奮が湧いてくる。読んでほしい人の顔がどんどん浮かぶ。服部文祥さん、スズキナオさん、栗原康さん、そしてときわ書房の日野さんなどなど。これはすごい本になると確信する。

その興奮を一旦胸にしまい、9月下旬発売の沢野ひとし『神保町ものがたり』の初回注文〆作業に勤しむ。今回もエラーなく登録できる。

3時過ぎ、渋谷の大盛堂書店さんに納品に伺い、一旦会社に戻って、次は駒込のBOOKS青いカバさんに納品へ。

夜、ROTH BART BARONのライブチケット当選のメール届く。半年生きる希望を手にする。ひとつ(といっても2DAYS2公演)は札幌のため、すぐに宿とホテルを予約する。ついでに講演の依頼を受けていた1月の宿とホテルも予約する。こういうのが一番苦手なので娘にIT介護をしてもらう。

9月10日(木)渡辺沈没『僕は馬券よりも人生に賭けたい』

UNITÉ・鴨葱書店の大森さん、一冊!取引所の渡辺さん、そして140Bの青木さんという書店、取次、出版社の面々で「本を読者に届ける」ために作った4Bという結社から送り出す本第2弾の渡辺沈没著『僕は馬券よりも人生に賭けたい』ができあがってくる。

大森さん、渡辺さん、青木さんは京都でそれを受け取り、私はひとり神保町で受け取る。LINEで感想を語り合い、開封動画なども送られてくる。

本っていいなあ、としみじみ思う。

本は読む楽しさがあるのは当然だけれど、書いた人、作った人、売った人、買った人、読んだ人、さまざまな人との出会いがあり、その出会いによってまた新たなことが始まる。

渡辺さんさんの座右の銘である「本の近くにいるといいことがある」は、まさしくそのとおりだ。

「本を届ける」というのはそういうことなのだ。

僕は馬券よりも人生に賭けたい.jpg

9月9日(水)浅草地下商店街

午後、事務の浜田と浅草公会堂へ。10月に刊行する本のイベントの打ち合わせ。前日の搬入がNGということになり頭抱えるも、モリモト印刷のSさんに相談すると「了解っす」と納品を受け持ってもらえる。この人は本当に頼りになる。

打ち合わせ終えて、同席していたキンマサタカ氏と飲みにいく。連れて行かれたのが映画『PERFECT DAYS』で、主人公の役所広司が毎晩飲みに行っていた浅草地下商店街の焼きそば屋。激しく感動するが、キンさんは映画を観ていないらしく、「あっ、そうっすか。僕チューハイ」と言って、まったく反応せず。

9月8日(火)「本の雑誌」10月号

  • 本の雑誌520号2026年10月号
  • 『本の雑誌520号2026年10月号』
    本の雑誌編集部
    本の雑誌社
    880円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HMV&BOOKS

午前中、デザイナーの松本さんと野部博子さんがやってきて増山たづ子『ふるさとにまさるふるさとはなし』に収録する写真選び。ここで選んだ写真を10万枚のプリントから探し出さねばならず、さらにそれをデジタルスキャンせねばならずで尻に火がついているのだけれど、松本さんは一枚一枚丁寧に選んでいく。いい本を作るにはその丁寧さが必要なのだ。

昼、『本を売る技術』の矢部さんが神保町にいらしたので、すずらん通りのTeaHouse TAKANOでランチ。断られたらどうしようと思いつつ、ハムサンドに入っているきゅうりを抜いていただくお願いをしたら、一瞬不審がられたがOKいただく。きゅうりはすずむし同様に苦手なのだ。

会社に戻ると「本の雑誌」10月号が中央精版印刷から届いていたので、ツメツメ作業に勤しむ。

9月7日(月)またね

介護施設からの迎えの車に乗せられた母親が手を振りながら言う。

「またね」

またね、がある幸せ。
またね、がある苦しみ。

9月6日(日)であいもんと鴨葱書店

  • 京都の食文化-歴史と風土がはぐくんだ「美味しい街」 (中公新書 2721)
  • 『京都の食文化-歴史と風土がはぐくんだ「美味しい街」 (中公新書 2721)』
    佐藤 洋一郎
    中央公論新社
    968円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HMV&BOOKS

週末実家介護の唯一の息抜きは、母親の寝ている早朝に家を抜け出し、近くのセブンイレブンへコーヒーを買いに行くことだ。

朝のコーヒーが美味しいのはもちろんのこと、その往復5分程度母親から解放されること、セブンイレブンの寡黙な店員と相対することでこの世が私と母親だけではないと思い出させてくれる。

紙コップにフタをして、こぼさぬように注意し、手のひらから伝わる温もりを感じながらまた実家に帰る。このままどこか別のところへ抜け出したくなる気持ちをぐっと堪え、鍵を開けて玄関を入り、30年前自分の部屋と呼ばれた場所に戻る。

目はすっかり覚めており、手元には湯気の立つコーヒーがある。母親が起き出すまでまだしばらくあるが、もう一度眠ることはない。するのは読書だ。

ページを開いたのは佐藤洋一郎『京都の食文化』(中公新書)。この数年、京都で本を売るイベントに参加することが多く、私は京都の鴨川をはじめ落ち着いた街並みにすっかり魅了されている。母親と義母の介護から解放されたら、移住を目論むほどで、先週は妻と娘にも京都を気に入ってもらうと、家族で旅行に行ったのだった。

中公新書だし、難解な本だったらどうしようかと読み始めた『京都の食文化』はまったくそうではなく、平易な文章と具体的な話が続き、私が知りたかったまさしく「京都の食文化」と歴史が綴られており、夢中になって読み進む。すると、サトイモとタラの身を料理した芋棒の説明で、こんな一文に出会った。

「このような絶妙な取り合わせのことを京都の料理人たちは「であいもん」と呼んでいる。であいもんとしてはほかにも、昆布とカツオのあわせだし、うなぎとキュウリの「うなきゅう」あるいは「うざく」、「鴨葱」こと「鴨と白ネギ」など、それこそ枚挙に暇がない。」

『京都の食文化』を購入したのは、その「鴨葱」を店名にした鴨葱書店だった。

どこか人を食ったような店名を、なぜに店主の大森さんがつけたのか。ずっと不思議に思っていたのだけれど、「であいもん」という意味なら腑に落ちる。

鴨葱書店の棚は、本のジャンルや意味にとらわれず、どこか言葉遊びのように並べられている。先日の訪問のときも確か「水」のようなくくりのところで思わず笑ってしまう本が並んでいたのだ。鴨葱書店の棚のおかげで手にとった本は多く、まさしくこの『京都の食文化』もそうだった。

ふと気になって、鴨葱書店のホームページを開いてみる。そこにはこんな文章が記されていた。

「どこかに出かけるとき、一緒に連れていきたくなるような。
なにかに挑戦するとき、そっと背中をおしてくれるような。
鴨葱書店は、心を丈夫に、そしてのびやかにしてくれる、そんな言葉に出会える場所でありたいと思っています。
京都駅から歩いて少し。鴨川からもほど近い、東九条の入り口に佇む小さな本屋で、「ハレ」と「ケ」の本たちとお待ちしております。」

鴨葱書店はまさしく、「であいもん」の本屋さんだったのだ。

9月5日(土)池袋

朝9時、母親を介護施設に迎えにいき、週末実家介護。介護器具のレンタル会社の確認、ケアマネジャー、訪問診療と人が出入りする。雨が止んだ午後、墓参りと散歩に出かける。渡辺さんに半年ぶりくらいで会う。

実家の本棚を眺めながら昨日発表された三省堂書店池袋本店さんの閉店のことを思う。

リブロの頃からも含め、自分の人生で一番本を買っている場所というのは、池袋のあの場所だろう。

18歳で八重洲ブックセンターという東京の本屋さんを知り、それで池袋にすごい本屋があると誰かに聞きき、行ってみたらリブロというとんでもない本屋さんがあった。それ以来、八重洲ブックセンターでバイト代をもらうとリブロに行って本買うようになり、さらに後にクインテッセンス出版で働くようになってからも給料日にはお茶の水から池袋に通っていたし、笹塚に本の雑誌社があった頃は埼京線を途中下車して本を買っていた。今も落ち着いて本を買おうとするときは池袋に足を向けている。

家から近いわけでもなく、職場から近いわけでもなく、かれこれ40年近く本を買っていた場所がなくなる。

9月4日(金)広島日帰り

5時47分起床。6時15分に家を出て、デザイナーの松本さんと東京駅8:12発のぞみ15号に乗車し、広島へ。10月から増山たづ子さんの写真展を開催する泉美術館と打ち合わせなのだった。4時間ほどかかるので松本さんとAIと本作りや家族の話などをしていく。

12時着、美術館の人から教えられていた駅直結の商業施設のお好み焼き屋を覗くと、ずらりと5、6軒並ぶお店すべてに行列ができている。高松のうどんもそうだが、今やご当地グルメは最強のコンテンツ。

お好み焼きを諦め、泉美術館のある新井口駅に向かうと、そこで美術館のIさんが待っていてくださり、道すがらラーメン屋さんをご案内いただく。ニューガンボ。

「コリアンタウン直送の唐辛子をはじめ、特別なスパイスをブレンドした"秘伝の赤ダレ"に自慢のかえしとスープを絶妙に合わせました。唐辛子の刺激と、濃厚なスープのハーモニーをお楽しみください。」とあったが、その名物「赤そば」が激美味。明日も来たいが明日はいないのだった。残念ながら東京に支店なし。再訪を誓う。

傘をさして歩き、泉美術館到着。理事長や学芸員の方々にご案内いただき、10月からの写真展のお話を伺う。

一泊する松本さんを残し、私は3時にお暇し、5時の新幹線に乗車。もみじ饅頭をつまみにビールとレモンサワーを飲んで、東京までの4時間をぼんやり過ごす。

9月3日(木)チャットGPT本の雑誌

4時45分起床。ランニング6キロ。

ランニング後シャワーを浴び、昨日松村から渡されていたZINE『神保町日記2026』のゲラを読み、まえがきとあとがきを書く。

9時37分出社。京浜東北線の中で、20代の女性が本屋大賞受賞帯のついた『カフネ』を読んでおり、その美しい光景に胸熱くする。

10時30分から会議。会議前に特集のアイディアをチャットGPTに相談してみたのだが、回答があまりに的確過ぎて、そのままのっかればいいのではと思うほどだった。

昨日会ったとある出版社の編集者が、部下がメールをほとんどAIに書かせていると言って呆れていたのだが、まあ使ってみればそうなるかもしれない。特集は別のものに決まったので、「チャットGPT本の雑誌」のデビューはお預けとなる。

先行きに不安を抱えていたものがいくつかクリアになり、今日は久しぶりに熟睡できそう。

9月2日(水)定年

朝ラン6キロ。走っている途中雨が降ってくる。ほてる身体を冷やせて気持ちいい。9時47分出社。

夕方、服部文祥さんがいらっしゃって、『本のある世はすばらしい』にサインしていただく。5階にある本の雑誌社にはもちろん階段で登ってきて、階段で降りていく。街中も駆けるようにというか、待ち合わせに駆けてきたこともある。目標のためにいっときも無駄にしないに感動を覚える。

夜、新宿浪曼房へ。66歳で定年を迎えられたこぐま社の田中さんのおつかれさま会。田中さんとは前職の取次太洋社時代に出会い、その人懐こい人柄から長いお付き合いをさせていただいてきた。おつかれさまというつもりが本人はまだまだ働く気だった。

9月1日(火)早朝出勤

4時56分起床。仕事が心配で7時半に出社。

誰もいない社内で集中してデスクワークに勤しむと皆が出社する10時前にほとんどの仕事が終わる。毎日早朝に出社するのがいいのかも。

12時過ぎに内田さんがやってきてPodcastの収録。今回ふたりのカバンに入っていた本は

黒川博行『流砂』(新潮社)
野宮有『殺し屋の出世術』(講談社)
朝宮夕『海月の骨』(講談社)
凪良ゆう『多類婚姻譚』(講談社)
ソフィー・エルムハースト『極限の漂流118日間』(ダイヤモンド社)
佐藤雫『汽笛、聞こえる』(集英社)
クリス・ウィタカー『暗闇はすべての色』(早川書房)

だった。

Podcastを録り終えた頃、京都新聞のIさんがやってくる。10月から本社(京都)に異動になるとのことでそのご挨拶。

2時に大山顕『かわいいビル』の見本を持って市ヶ谷の地方小出版流通センターさんへ。担当のKさんと長話。

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