10月8日(木)米本浩二『父よ、わが糞尿譚』
昨日、池袋の三省堂書店さんで神々しい装丁が目に止まり、手を伸ばした米本浩二『父よ、わが糞尿譚』(共和国)を一気読みする。
介護真っ只中の当事者である僕は、実はあまり人の介護の様子を読みたくないのだけれど、この本はそういうかたくなな心の壁をあっさり乗り越えてくる文体だった。
まず痴呆症の症状がでた93歳の要介護1の父親を「じいじ」と記すのがいい。そうなのだ。高齢者というのはなんだかゆるキャラに近づいていくもので、なんだか愛くるしい面もあり、しかし手間はたいそうかかるので、そこで「じいじ」などといった呼称をつけることのより、客観的に接することができるようになるものだ。
そのじいじの介護に博多と徳島を行き来し、ケアマネや訪問診療の看護師、デイサービスの人たちとあたっていく。その様子が端的な文体で具体的に綴られる。時折、毒気がまじるが、それは僕の心にも湧いている毒気であり、何度も拍手喝采してしまう。
父と息子──。それまでそれほど会話のなかった2人が、噛み合わない会話の末に交流していく。タイトルにあるとおり、それは時に糞尿まみれになることもあるが、人がいかに死に向かっていくのかが客観的に綴られたルポルタージの傑作だ。






