『ミニシアターをたずねて』

著者:信濃八太郎

予価2750円(税込)

2026年6月26日発売予定

あの町で、映画を、観よう。

 

映画館に背中を押されてはじまる旅
WOWOWシネマ「W座からの招待状」の人気noteが待望の書籍化。

▪️四六判変型並製 ▪️376ページ オールカラー
ISBN978-4-86011-620-0

[はじめに]

 いつからか、子どもの頃のようにただひたすらワクワクと映画と向き合いたいと思うようになりました。情報ばかりが飛び交い、なんでも知った気になれるこの時代に、理解するために映画を観るのではなく、ただ心で感じたいと。
 そう、子どもの頃、不意を突かれた映画館の初体験は6歳のこと、とんかつを食べようと誘われて父と出かけた先の暗闇で、迫力に目を閉じた『007/ユア・アイズ・オンリー』(1981年)。友人たちと一時間も自転車をこいで『グーニーズ』(1985年)を観に行った日の、夕暮れの帰り道の高揚感。一日のことが、今も鮮やかに思い出せるのはいったいどうしてなのだろう。挙げればきりがないあんな一本一本の映画体験を、大人になった今、再び実現できないものか。
 それで旅に出ることにしたんです。未だ知らない映画と出会うための、ミニシアターを巡る旅に。
 
 バッグにペンとスケッチブックを入れて準備しながら「映画とワクワク向き合うための仕掛けを自分で用意するなんて、これが大人の所作ってやつでしょう」とかなんとか言い訳をして。それ見たことかと、自分の仕掛けにまんまとはまった旅と映画の記録が、一冊にまとまりました。 
 インタビューに応じてくださったミニシアターの皆さんの、映画や町への想い、そして「自分で決めて、行動する」という熱いお人柄に触れ、毎回、夢と希望をもらう帰り道でした。帰宅した後、文章を綴り絵を描くのは、再び旅に出たようで、2度幸せでした。お読みいただいた皆さまにそれが少しでも伝わるようでしたら(ぼくにとっては3度目の)幸いです。それでは始まりです、どうぞ最後までお楽しみください。

[本書について]
 
 2024年まで7年間、WOWOWが〝今、もっとも観て欲しい〟作品を放映する映画番組「W座からの招待状」にて、小山薫堂さん(脚本家・放送作家)と一緒に案内人を務めました。2011年に薫堂さんとぼくの師であるイラストレーター安西水丸先生のタッグで始まった番組です。当初から変わらぬ構成で、イラストレーターは毎週、映画にあわせて10点ほどの絵を描き、薫堂さんは映画からインスパイアされた一編の詩を紡ぎ、それを俳優の濱田岳さんが朗読し、音楽は阿部海太郎さんが担当。冒頭にその日の映画への招待状として短いアニメーションが流れます。
 放映後にはアフタートークを薫堂さんと一緒に担いました。台本もなく、カメラがまわるとただ2人で感想から始まる雑談を繰り広げては、そのうち「そういえばこのあいだ......」と個人的な話になっていくのですが、映画を語るってこういうことが楽しいよなとつくづく思ったものです。毎日の生活のとなりに映画があるから、映画が心に響く。
 番組を続けるなかで、プロデューサーから「何か新しくやってみたいことはありませんか」とありがたいご提案をいただき、「全国のミニシアターを取材させてください」と即答。「W座を訪ねて~信濃八太郎が行く~」という10分間ほどの番組を実現してもらい、3年間かけて全国のミニシアターの皆さまとお話しする機会を得ました。
 本書は、番組の放送後記のような形でWOWOWのnoteに綴った文章に、新たに追加取材を加え、カットの絵はこの本のためにすべて描き下ろしたものになります。文中に描かれる「番組スタッフ」などの記述は、取材時のことを表します。内容は取材時点のものになります。


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