担当=牧眞司

近未来のチェ・ゲバラ、あるいはポストヒューマンの胎動〜藤井太洋『マン・カインド』
2024年10月1日11:30

【今週はこれを読め! SF編】

近未来のチェ・ゲバラ、あるいはポストヒューマンの胎動〜藤井太洋『マン・カインド』
 藤井太洋の新作。〈SFマガジン〉に2017年から21年にかけて連載され、22年には星雲賞長編部門を受賞している。ちなみに単行本化をまたずに、同賞長編部門を獲得...
輻輳と脱線と饒舌の狂想曲〜ステファン・テメルソン『缶詰サーディンの謎』
2024年9月24日11:30

【今週はこれを読め! SF編】

輻輳と脱線と饒舌の狂想曲〜ステファン・テメルソン『缶詰サーディンの謎』
 たいへんな怪作。いくつかのエピソードが入り組みながらミステリ調で小説は進むが、結末で正真正銘のSFだとわかる。もしかすると、こんなものはSFではないと怒りだす...
ロマンタジーという新ジャンルの勃興〜レベッカ・ヤロス『フォース・ウィング 第四騎竜団の戦姫』
2024年9月17日12:00

【今週はこれを読め! SF編】

ロマンタジーという新ジャンルの勃興〜レベッカ・ヤロス『フォース・ウィング 第四騎竜団の戦姫』
 アメリカで爆発的なヒットを記録した新作ファンタジー。竜と魔法が存在する世界における、死と隣りあわせの訓練と戦闘、仲間との出会い、それと裏腹の疑念や裏切り、そし...
分断された人類に未来はあるか~王城夕紀『ノマディアが残された』
2024年9月10日11:16

【今週はこれを読め! SF編】

分断された人類に未来はあるか~王城夕紀『ノマディアが残された』
 混乱の国際世界で繰りひろげられる、人類の運命をかけたサスペンス。設定がたいへん練りあげられている。  日本の外務省直轄の秘密組織「複製課(レプリカ)」は、最新...
壮大な宇宙の逃走劇と、知恵を駆使する青春SF〜宮西建礼『銀河風帆走』
2024年9月3日11:28

【今週はこれを読め! SF編】

壮大な宇宙の逃走劇と、知恵を駆使する青春SF〜宮西建礼『銀河風帆走』
 宮西建礼は第四回創元SF短編賞を受賞してデビュー。本書はその受賞作を含む全五作品の短篇集で、著者にとってははじめての単行本となる。  表題作「銀河風帆走」は創...
『タウ・ゼロ』に匹敵する壮大な宇宙SF〜春暮康一『一億年のテレスコープ』
2024年8月27日11:42

【今週はこれを読め! SF編】

『タウ・ゼロ』に匹敵する壮大な宇宙SF〜春暮康一『一億年のテレスコープ』
 春暮康一は、第七回ハヤカワSFコンテストで優秀賞を受賞した『オーラリメイカー』で2019年にデビュー、2022年刊の短篇集『法治の獣』が『SFが読みたい!』に...
じつは壮大な人類史・宇宙史が背景に〜松崎有理『山手線が転生して加速器になりました。』
2024年8月19日12:00

【今週はこれを読め! SF編】

じつは壮大な人類史・宇宙史が背景に〜松崎有理『山手線が転生して加速器になりました。』
 ハードSFというよりも、もっと広範に「理系想像力の小説」と捉えたとき、いまの日本でもっとも前衛・先鋭をきわめているのは、前回この欄で取りあげた新刊短篇集『ムー...
メタフィジカルな神話、テキストの宇宙〜円城塔『ムーンシャイン』
2024年8月14日11:00

【今週はこれを読め! SF編】

メタフィジカルな神話、テキストの宇宙〜円城塔『ムーンシャイン』
 四作品を収録した、円城塔の最新短篇集。著者は「あとがき」で、〔書き手の中には一貫したなにかがあるのであり、この全体の迷走感は迷走感でそれなりのまとまりがある〕...
抱腹絶倒のSFユーロビジョン小説〜キャサリン・M・ヴァレンテ『デシベル・ジョーンズの銀河(スペース)オペラ』
2024年8月6日12:26

【今週はこれを読め! SF編】

抱腹絶倒のSFユーロビジョン小説〜キャサリン・M・ヴァレンテ『デシベル・ジョーンズの銀河(スペース)オペラ』
『宝石の筏で妖精国を旅した少女』『孤児の物語』など、流麗なファンタジイの書き手として名高いキャサリン・M・ヴァレンテだが、本書は、銀河系の知的生命体がそれぞれの...
9人の作家による9人のサイボーグの物語~石ノ森章太郎原作『サイボーグ009トリビュート』
2024年7月23日11:50

【今週はこれを読め! SF編】

9人の作家による9人のサイボーグの物語~石ノ森章太郎原作『サイボーグ009トリビュート』
 石ノ森章太郎『サイボーグ009』は1964年に連載開始。のちに単行本化、アニメ化された。ちりばめられたSFガジェットの数々、シリアスなテーマ、そしてキャラクタ...