担当=牧眞司

気候変動に立ちむかう新技術と経済システム~『未来省』
2023年9月19日11:50

【今週はこれを読め! SF編】

気候変動に立ちむかう新技術と経済システム~『未来省』
 作品世界のリアリティ(自然科学面だけではなく社会科学的にも、また登場人物の造型においても)で定評のあるキム・スタンリー・ロビンスンが、2020年に発表した大作...
想像せぬ結末へと至る十四篇~『最後の三角形 ジェフリー・フォード短篇傑作選』
2023年9月12日11:51

【今週はこれを読め! SF編】

想像せぬ結末へと至る十四篇~『最後の三角形 ジェフリー・フォード短篇傑作選』
 ジェフリー・フォードは数々の文学賞を受賞している現代アメリカの異色作家。本書は『言葉人形』につづく、日本オリジナル編集による二冊目の短篇集だ。十四篇を収録。 ...
文化人類学的視座と政治的リアリティ~『コスタ・コンコルディア 工作艦明石の孤独・外伝』
2023年9月5日13:35

【今週はこれを読め! SF編】

文化人類学的視座と政治的リアリティ~『コスタ・コンコルディア 工作艦明石の孤独・外伝』
 林譲治の前作『工作艦明石の孤独』(全四巻)では、人類が宇宙に進出したのち、ワープ航法の不調(時空構造の不可解な機構が関係しているらしい)によって、辺境星系と地...
ポストヒューマンSF「タコですがなにか」〜伊野隆之『ザイオン・イン・ジ・オクトモーフ』
2023年8月22日11:56

【今週はこれを読め! SF編】

ポストヒューマンSF「タコですがなにか」〜伊野隆之『ザイオン・イン・ジ・オクトモーフ』
 ロールプレイングゲーム発祥のシェアワールド〈エクリプス・フェイズ〉の世界設定に基づいて書かれた連作集。  伊野隆之は2009年に『樹環惑星 --ダイビング・オ...
カーニヴァルをめぐる、少年の高揚と畏れ
2023年8月15日12:01

【今週はこれを読め! SF編】

カーニヴァルをめぐる、少年の高揚と畏れ
 ブラッドベリが1962年に発表したダークファンタジイ長篇。  日本では長らく大久保康雄訳が親しまれてきたが、こんかい、全面的な新訳がなされた。訳者の中村融さん...
メガトン級の怪獣エンターテインメント
2023年8月8日12:10

【今週はこれを読め! SF編】

メガトン級の怪獣エンターテインメント
 TVの町歩き番組で、食べ物屋を訪れた出演者が名物メニューを前に、「これ、絶対旨いやつ!」と大喜びをする演出がよくある。台詞としてはじつに紋切り型だけど、画面に...
飛行船をめぐる既視感、交叉するふたりの青春
2023年8月1日12:00

【今週はこれを読め! SF編】

飛行船をめぐる既視感、交叉するふたりの青春
 作者の出身地でもある茨城県土浦を舞台にした青春SF。夏の空に浮かぶ飛行船の印象が清爽な主旋律として、物語全体を貫いていく。  いまは2021年、主人公のひとり...
口、耳、目、肉、鼻、髪、肌......身体器官から異常領域が広がる
2023年7月25日12:00

【今週はこれを読め! SF編】

口、耳、目、肉、鼻、髪、肌......身体器官から異常領域が広がる
 異色のダークファンタジー『残月記』で日本SF大賞と吉川英治文学新人賞をダブル受賞した小田雅久仁の新刊。七篇を収録した短篇集でそれぞれの作品は独立しているが、全...
ベルギーの詩人による時間SF
2023年7月18日19:17

【今週はこれを読め! SF編】

ベルギーの詩人による時間SF
 マルセル・ティリーは1897年生まれのベルギー詩人・小説家。同国フランス語文学の中心として活躍した。『時間への王手(チェック)』は現在から過去への干渉を扱った...
月面での不条理劇、歩くスパムの扱いかた
2023年7月12日16:56

【今週はこれを読め! SF編】

月面での不条理劇、歩くスパムの扱いかた
 倉田タカシは「ネタもコードも書く絵描き」として活躍をつづける才人。ツイッターで呟いた短文をまとめた同人誌が円城塔に見出され、その推薦を受けて大森望が創元SF文...