「十二人の手紙」(中公文庫)、40年の歳月を経てブレイク
文=新文化編集部
中央公論社(当時)が1980年4月に刊行した井上ひさし『十二人の手紙』が、今年に入って10万部を増刷するヒット作になっている。同書は、家族や友人に宛てた12人の手紙が織りなすミステリ小説。濃密な人間ドラマから予想だにしない結末に至る。
昨年末、啓文社西条店(広島)の三島政幸氏が、同書を〝掘り起こし作品〟として中央公論新社に推薦したことがきっかけとなった。仕掛け販売する書店は当初約200店舗だったが、現在は600店規模にまで拡大。1月に1万部、2月に3万部、3月に6万部を増刷、計13万3000部。井上氏は4月、没後10年を迎える。