『楽天はなぜ強くなれたのか』野村克也

●今回の書評担当者●芳林堂書店高田馬場店 飯田和之

 私の敬愛してやまない野村克也さんの連載「ノムラの考え」をまとめた『楽天はなぜ強くなれたのか』(PHP新書)が発売になった。私は生粋の巨人ファンである。しかしながら純粋なる野球ファンでもある。

 昨年は日本中が楽天、そして田中将大投手に湧いた年であった。巨人が絡まなければ一ファンとして野球を見ていられるが絡むとそうはいかない。でも昨年の日本シリーズは巨人ファンとしての気持ちと純粋なる野球ファンとしての気持ちが自分の中でぶつかり合い巨人にV9以来の連覇を達成して欲しいという気持ちと負ける田中将大投手を見たくないという葛藤の中にあった。とは言え巨人ファンとしてはやはり連覇を逃したのは残念過ぎる。そんな中楽天の強さを知りたいと手に取ったこの書籍が繰り返しになるが敬愛する野村克也さんの本だった訳である。

 この本にはサンケイスポーツの連載は勿論だがタイトル通り楽天の強さの訳が書いてある。
 田中投手は勿論のこと、4番ジョーンズ、嶋捕手、成長した若手、そして星野監督。詳しい内容は実際に読んでみて頂きたいが田中投手だけでは優勝は出来ない。中心となるエース(これは田中投手だが)、4番打者それ以外に脇役という位置付けの選手であっても自分の力を発揮出来ないとチームとして機能せず真の力が出せない。それら全てがしっかりと噛み合ったからこそ昨年の優勝があったのだと改めて思った。

 対して巨人は一時期のような各球団の4番打者の寄せ集めのようなチームなんかではもうなくなったが未だに個々で野球をやっている感がある。今年のペナントレースがどういう展開になるか解らないが日本一を是非とも奪還して欲しい。

 その為にはやはり阿部捕手に今更ながら意識改革をして頂きたいと思ってしまった。『ノムラの考え』を読んでいるとまだまだ捕手としてやれることがあるのではないか、嶋捕手に出来ることがなぜ出来ないのかと一ファンとして苦言を呈したくなってしまった。

 とは言え野村克也さんに言わせると嶋捕手にもまだまだ足りない所があるそうである。リードが一辺倒になりがちなのだそうだ。

 野村克也さんの言葉を借りれば『優勝チームに名捕手あり。』

 ドカベンファンでもある私としては、山田太郎のようなリードそして打撃を実際に見たい。現役時代の野村克也捕手を見ていないだけに今現在近い位置にいるのは阿部捕手だと思うのだが。次世代では森知哉捕手だろうか。

 この願いが叶いますよう。

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芳林堂書店高田馬場店 飯田和之
芳林堂書店高田馬場店 飯田和之
二浪の末ようやく大学に受かったものの結局一年で中退。その後は浪人時代に好きになった読書の為にメインで本を買わせて頂いた今の会社の津田沼店のアルバイトに応募。採用して頂き勤務。2011年11月より高田馬場店に異動になり現在に至ります。趣味が無駄に多く好きなものはトコトン突き詰める性格です。