『海底2万里』ジュール・ヴェルヌ

●今回の書評担当者●マルサン書店仲見世店 小川誠一

  • 海底二万里(上) (新潮文庫)
  • 『海底二万里(上) (新潮文庫)』
    ジュール ヴェルヌ
    新潮社
    680円(税込)
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  • 海底二万里(下) (新潮文庫)
  • 『海底二万里(下) (新潮文庫)』
    ジュール ヴェルヌ
    新潮社
    767円(税込)
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 5年前から毎年12月には「静岡書店大賞」なるものが行われておりまして、「本屋大賞」の弟分みたいなもの?と思ってください。静岡県の書店員と図書館員(ここがポイント!)約700名前後の方が投票に参加しておりまして、12月の寒さをものともせず燃えに燃えて盛り上げております。

 私も少々参加させていただいておりまして、毎回投票をさせていただいておりますが......選んだ本が1位になった例がない! 運が悪いのでしょうか。そう!「本屋大賞」も同じく1位になった例がない! いつか選んだ本が1位にならないかと夢見ておりますが、いまだ気配がないですね。今年もダメかも。いやいや諦めませんよ。

 ここでちょっと視点を変えて自分に都合のいいようにw そして考え付いたのは、もう少し範囲を狭めたら少しは私の選んだ作品が1位になる確率が上がるのかな......と。例えば作者という限定された作品群の中で1位を決める。そしてご存命の作者さんも除外。(なぜ?と聞かないで)うん! これならかなり確立あがりそうですね。

 ここからが問題です。SF好きの私としてはどの作者を選ぶかで悩みます。(すでにジャンルがSFに限定されていることについても触れないでいただきたい)モノスゴい悩みどころですが、まず候補としてあげる要因が大事でしょう。例えば①作品の多さがポイントですね。2冊しか出していない作者さんだと1位・2位終了なのであまり盛り上がらないと思いますし。②誰もが知っている作者さんだと投票しやすい。ハードルさがります。(すでめっちゃハードル上げているのに?)この2点を踏まえた作家さんは......誰? 悩むなぁ。あなたは誰を選びますか? そうここで、子どもの頃に意識を集中させてください。純真だったあの頃へ。最初に読んだSFって何ですか? そしてそれは面白かったですか? ワクワクしましたか?

(考え中)

 ピーン! ときましたか。そう! それがあなたの大好きだった作者と作品です。それは、ジュール・ベルヌの『海底2万里』です。間違いない! ご存知の通りこの作品はSFの要素と冒険が上手くミックスされ、小学生男子にはたまらない出来事がふんだんに盛り込まれた傑作ですね。体当たりで軍艦を沈ませてしまう最新鋭の潜水艦に乗船し、無人島に作った秘密基地を拠点としながら世界中の海を旅する。(秘密基地に惹かれるw 子どもの頃近所の空き地に作りませんでしたか? 次の日いったらメチャメチャに壊されていて悲しい思いをしたことを思い出してしまいました。)

 巨大イカ事件もハラハラでしたが、気になったのは海底散歩のシーンでした。海を題材に取り上げたSF小説は案外少ないかも知れません。アーサー・C・クラークの『海底牧場』くらいしか読んでないような。あなたのお勧めの作品ぜひ教えていただきたいものです。

 ここで唐突に結果発表。
 1位『海底二万里』
 2位『地底旅行』
 3位『15少年漂流記』
 4位『八十日間世界一周』
 5位『月世界旅行』

 いかがですか? あなたのランキングと一緒でしょ?

 創元推理文庫にジュール・ベルヌのシリーズがありましたね。こげ茶色の表紙に惹かれてまとめ買いした覚えがあります。SFに冒険の要素が盛り込まれた、いや冒険小説にSFのエッセンスを練りこんだ珠玉の小説をもっともっと読みたいですね。

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マルサン書店仲見世店 小川誠一
マルサン書店仲見世店 小川誠一
1968年生まれ。SF・冒険小説が大好き。最近は読むスピードが落ちているのが悩み。