『失われた世界』コナン・ドイル

●今回の書評担当者●マルサン書店仲見世店 小川誠一

  • 失われた世界 (古典新訳文庫)
  • 『失われた世界 (古典新訳文庫)』
    コナン・ドイル
    光文社
    994円(税込)
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 静岡県沼津市マルサン書店小川と申します。

 遂に最終回の日を迎えてしまいました。始まりがあれば終わりがある。ということで、今回も精いっぱいSF小説についてお話させていただきます。前回はジュール・ベルヌの『海底2万里』をご紹介いたしましたが、それと同じくらい面白いSF冒険小説が他にもあることを思い出しました。知りたいですか? というか、すでにあなたは読んでいると思います。もしくは映画化もされているので映画館かDVDで観ているかも。

 ではここでクイズです。 この面白いSF小説の作品名を当ててみましょう。

 ヒント1 恐竜が出てきます。

 うーん。恐竜かぁー。なんだろ? アレかな?

 ヒント2 マイケル・クライトンのあの作品ではないです。(アンドロメダ病原体は傑作ですが)

 え? 違うの?
 
 ヒント3 魅力的な名物教授が出てきます。

 余計わからなくなってきた......かも。

 さぁ、もうわかった方いますよね。 えぇ? まだわからない......。 うーん。じゃ

 ヒント4 世界的に有名な探偵を生み出した著者でもある。

 あ! わかった。これならわかる。わかる。

 もう! ここまでです。

 正解は『失われた世界 ロスト・ワールド』。
 そう、著者はコナン・ドイル。ハガードの『ソロモン王シリーズ』のような雰囲気を持つ、SF冒険小説ですね。

 舞台がアマゾン奥地というだけあって、設定的には「何でもあり」。財宝が埋められている古代遺跡があってもいいし、UFOが飛んでいてもいいし、もちろん恐竜の2、3匹がそこら辺をフラフラ歩いていても違和感がない......かな? それほど神秘的な場所という事です。さあ、そこに乗り込んでいく探検隊チームが遭遇する奇妙でハラハラドキドキな出来事は、ジュール・ベルヌよりある意味親しみやすく、すぐに読者を虜にしてしまいます。

 実は恥ずかしながらこの作品を読み終わったときに初めて著者の名前を確認し、「アレ? この作者って ホームズ書いた人だ。」とわかった次第でした。著者名を伏せられていたらたぶん、大部分の人は作者がコナン・ドイルだとはわからないと今でも思っています。逆にコナン・ドイルという人はいろいろな作品を書くことが出来る才能あふれる作家だとも言えますね。

 今、私たちはネットを介して一瞬で世界中のどこへでも行くことが出来ます。見ることが出来ます。大きな都市やちいさな街、そしてその街角。自宅は最初に確認しますね。

 その場所を頭上からそして実際に道を歩くがごとく見ることが出来ると、もっともっと知らないことを知りたくなってくる。益々興味深い事が増え、考える事が増えちゃいます。その原動力である好奇心がある限り人間は素晴らしい小説を書き続けていけるはずなのです。

 すでにAIは小説を書き始めていますので、近い将来私たちの生活にもっと密接にかかわってくるでしょう。そしてもしかしたらコナン・ドイルをしのぐ作家になる日も近いかもしれません。ここで私たちはそれを脅威と捉えるのではなく、もちろん拒否するのでもなく、「どんな小説を書くのだろう?」と好奇心を持って迎えたい。そして共同執筆という次元まで互いに補いながら到達することもできるのではないかと思います。コナン・ドイル風の共同執筆者がいて、となりにはハインライン風の作家も同席しているとか? それを望む作家さんもいるのではないかと思うのです。まだ誰も読んだことのないSF冒険小説を味わえる楽しみは目前かもしれません。一読者としてその日が待ち遠しいです。

 最終回までお付き合いいただきましてありがとうございました。
 そしてこういった機会を与えてくださいました本の雑誌社杉江様に感謝しております。

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マルサン書店仲見世店 小川誠一
マルサン書店仲見世店 小川誠一
1968年生まれ。SF・冒険小説が大好き。最近は読むスピードが落ちているのが悩み。