第2回 お茶とはなんぞや

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 お茶の話をするのなら、まず一歩目は、「おちゃとはなんぞや」。
 この一番最初の一歩は簡単。
 「お茶とは、カメリアシネンシスである」
 カメリアシネンシスは、椿科の多年生常緑樹。
 カメリアシネンシスでないものは、全て、お茶ではないのです。
 麦茶も、柚子茶も、ハーブティーも杜仲茶も昆布茶もそば茶もアマチャヅル茶も、全部、お茶ではない。カメリアシネンシス以外を使った、でもお茶と呼称されているあれらは、正確には茶外茶、と言います。
 逆に言えば、紅茶も緑茶も烏龍茶も、全部、もとはカメリアシネンシス。材料は一緒で、製茶方法が違うだけなんです。
 なんて明確、なんてわかりやすい。
 お茶の神様はそんな風に、お茶とお茶でないものはすぱっと切り分けて下さいましたけど、お茶カテゴリの中は混沌として曖昧模糊、言うなればお茶伏魔殿。
 その伏魔殿に踏みいる前に、今日はもう少しだけわかりやすいカメリアシネンシスさんのお話。

 カメリアシネンシスさんには、これまたとてもわかりやすい特徴があります。
 一つ:葉っぱの縁がぎざぎざしていること。
 二つ:葉脈がはっきりしていること。その数は7~13組。
 三つ:葉脈が互い違いになっていること。
 樹背は様々。1m前後の低木も、15mを越える高木もあります。
 起源は諸説ありますが、中国の西南地区ではないかとされています。雲南省には樹齢2700歳になんなんとする大長老がいらっしゃるとか。かしの木おじさん(樹齢200年)も双葉レベルのご長寿。
 茶樹の分類法もさまざまあり、わかりやすいのは(徹底してわかりやすさ重視で行きますよ)
 小葉種:葉っぱのサイズが3~4cm。横に伸びる灌木型で、主に緑茶になる。
 大葉種:葉っぱのサイズが8~20cm。上に伸びる喬木型で、主に紅茶になる。
 中葉種:葉っぱのサイズが5~8cm。半喬木型、主に中国茶になる。
 と、葉っぱの大きさで分ける方法。
 もしくは芽吹く時期で
 早生種:2月~
 中生種:早生と晩生の間
 晩生種:6月~
 いずれのやり方も、真ん中がだいぶ適当なのは否めませんが......

 カメリアシネンシスさん、住環境にもこだわりがあります。
 熱帯や亜熱帯気候など気候温和で、雨が多い地域が大好き。
 地球儀をベルトで覆うなら、北緯45度以南、南緯35度以北。ライバルであるコーヒーさんが北緯25度~南緯25度なので、比べればだいぶ住める範囲は広いのです。
 高さで見るなら、標高数10m~2600mくらいまで。中国茶に限って言うのならば、お茶の値段は山の高さの値段に比例するとも言われています。標高1000m以上の山で生育されるお茶は高山茶と呼ばれ、2000m以上の山で採れるお茶はとても珍重される傾向に。
 高い高い山の上。
 深い霧は、茶葉を柔らかくうま味たっぷりに育てます。霧越しにさす、穏やかな日差し。昼夜の暑さ寒さは、適度に茶葉を鍛え上げ、厚みのあるしっかりとした葉に。
 水はけが良く、栄養のある土壌。
 人間が最初に意図的に茶樹を育てた雲南省なんかは、正にこの条件にぴったりなんですね。

 カメリアシネンシスさんの人となりに触れたところで、今度は生い立ち編。
 次回は、歴史に少しだけ踏み込んでみようかと思います。