2月15日(木)

 町田で暮らすようになって最大の変化は、夜型だったのが昼型に移行してしまったことだ。笹塚で暮らしていたときは、夜明けまで本を読んでいて、それから就寝。起きだすのはいつも昼すぎだった。

 それが町田に引っ込んでからは、夜の12時になると就寝してしまうのである。まあ時には深夜1時とかになることもあるけれど、それでも以前よりずいぶん早い。で、朝の8時とか9時には起きるのである。午前中は自宅で本を読んでいたりしているが、午後から仕事場に出勤。晩飯のために一度は自宅に戻るけれど、夜はまた歩いて5分の仕事場に通勤するのだ。夜の11時すぎには帰宅して風呂に入って就寝。まったく健康的な生活といっていい。

 なぜ昼型に変わってしまったかというと、この仕事部屋が異常に寒いのである。エアコンをつけていても、夜になると底冷えがするのだ。昼間、まったく陽がささない部屋なので、それはもう極端に寒い。だから、夜の11時ごろまでは我慢しているが、それが限界。早く自宅に戻りたくなってくる。あんまり寒い日は、それで本を読むだけの日は、晩飯後にも仕事部屋に戻らず、自宅の炬燵で読書を続けることもある。原稿を書かなければならない日は、この仕事部屋にこないと書けないので、仕方なく寒い部屋にやってくるけれど、まるで冷凍庫にいるみたいなのである。いや、実際に冷凍庫に入ったことがないのでわからないが。

 だから、春になって、そして夏になれば、また簡単に夜型に戻ってしまうのかもしれないが、しかしこの昼型生活をただいまは結構気にいっている。なんだか世の中のみなさんと同じ暮らしをしているような気がして、ほっと落ち着くものを感じるのである。

 笹塚にいたころ、夕方に起きだして(そういう日もあったのだ)、駅の近くまで歩いていくと、通勤帰りのサラリーマンと会うことがあり、そういうとき、「いいなあ、これからきっとビールでも飲んで、楽しい夜が待っているんだろうな」と思うことがあった。こっちはこれから朝まで仕事だぜ、となんだか不公平なような気がしたものである。

 それが最近は、朝起きて仕事部屋に向かう途中、さすがにその時間ではもうサラリーマンは出勤していて、すれ違うこともないけれど、世の中のみなさんと同じ時間に仕事しているような気になってくる。ようやく正道に戻ったような気がするのだ。ホントにこれで正道かどうかは知らないが。

 先週の木曜日に目覚まし時計が鳴ったことに気がつかず、寝坊したためにTBSラジオの生出演にふたたび危うい局面があり(ぎりぎり間に合ったけれど、スタジオ入りが5分前だった)、日曜に近くのスーパーに目覚まし時計を買いに行った。それまで使っていたやつは、旅行用の折り畳み携帯時計で、音が小さいのである。それでも競馬のときには、目覚ましが鳴る寸前に起きたりしていたのだが、今度はもっと大きな音のするやつを買おう。この春から、長男が就職し、次男が大学に進むので、彼らも目覚ましが必要だろうと3個購入。

 その3つの目覚まし時計は毎朝8時に鳴り出す。息子らの新生活は4月から始まるのだが、今から早起きの習慣をつけるために(たぶんそうだと思う)、彼らの時計も私と同じ8時にセットしてあるようで、その時刻なると、いっせいに鳴り出す。その意気込みはいいのだが、残念ながらずっと鳴りっぱなしで誰も起きてこない。なにしろ大きな音のするやつをわざわざ買ったから、それは凄まじい音なのだが、みんながすやすや。まだ4月になったわけじゃないし、いまは練習期間だからまだいいかと、早起きの習慣のついた私は、玄関で愛犬の頭を撫でているのである。