5月10日(木)

 昨日は久々に新宿に出た。文春の某雑誌編集部に勤務するK嬢に喫茶店でレクチャー。彼女が担当することになった特集について、基礎知識を話すものの、よく聞いてみると全然違う角度から特集を組むらしい。役に立たない話を延々として、ホントに申し訳ない。

 そのあとは割烹中嶋へ。新潮文庫『14歳の本棚』が全3巻で完結し、その打ち上げ飲み会だ。S氏とK氏とM嬢。食事のあとは犀門で遅くまで呑む。楽しい酒だ。

 ところで、中央競馬は東京競馬場で年間5開催行われる。1開催が8日間なので(今年から少しだけ変則になったのだが、そういう細かなことにはここで触れないことにする)、年間で40日と思っていただければいい。この間、2〜3日は行かないことがあるが、大半の日は東京競馬場に行く。

 中山競馬場でも年間5開催行われるが、中山は遠いので本場に行くのは半分のみ。あとはエクセル伊勢佐木とかの場外や、あるいは東京競馬場に行く。開催していない東京競馬場でも馬券を売っているのである。中山開催時に東京競馬場に行くのは半分の20日くらいだろう。

 残りの3開催は夏競馬だ。毎年3回(つまり6日間)は現地に行くので、残りの18日間は場外で馬券を買うことになる。PATで買うこともあるので、この間、東京競馬場に赴くのはだいたい12日間くらい。つまり、38+20+12で、年間70日は東京競馬場に通っていることになる。

 ようするに、開催していても、開催していなくても、東京競馬場に行っているのだが、私と同じような人が多いから、たとえ開催していなくても、いつも東京競馬場は混んでいる。昔のようなブームは過ぎたので、ひところよりは空いているが、それでもあちこちで怒号が飛び交い、馬券が舞い、そういう中に身を置くと、いつもほっとするものを覚えるのである。

 一昨日、生まれて初めて平日の東京競馬場に行った。土曜の朝5時半から「週刊フジテレビ批評」という番組があり、その収録に呼ばれたのである。競馬番組をテーマにする回のゲストというわけだ。

 フジテレビの競馬中継のスタジオが9階にあり、そこで収録したのだが、下のコースを見下ろすと、誰もいない競馬場が静かにひろがっていて、緑の芝がとても綺麗だった。下の階に降りていくと、当たり前なのだが、誰一人として歩いている人もなく、これが競馬場のスタンドとは信じられないくらい静かだった。年間70日は東京競馬場に行くとはいっても、それは週末だけで、平日に行ったことはないから、驚いてしまった。いつもはこんなに静まり返っているのか。

 東京競馬場は7年かかった改修工事が終わり、この4月にグランドオープンしたばかりなのだが、その立派なスタンドは、客の姿がないとこれが競馬場とは思えないほど絢爛豪華で、劇場かホテルを歩いているような気分なのである。ここで毎週、悲喜こもごものドラマが繰り広げられているのだと思うと、なんだか不思議な気持ちだった。

 今回の収録分は今週末、12日の朝5時半から放映されるという。早朝なので誰も見ていないと思うけれど、ブルーのシャツを着たデブが私です。