5月14日(月)

 きのうは渋谷のロッキング・オンでサイト誌の対談。大森望・豊崎由美『文学賞メッタ斬り! 2007年版 受賞作はありません編』(パルコ)が机の上に置いてあったので(例のシリーズ第3弾だ)、「あれ、これ、オレに送ってくれてないの?」と大森望に尋ねると、「送ったはずだけどなあ」。でも少し前に書店で見かけたんだけど、まだ届いてないよと言うと、サイト誌のTさんが「じゃあ、これをどうぞ」。それを手に井の頭線で明大前に出て、京王線に乗り換えて笹塚へ。ずっと読んでいく。笹塚駅から本の雑誌社までも歩きながら読む。

 明大前の下りホームが広くなっていて、しかも途中に出口が出来ていたり、笹塚10号坂商店街のパン屋さんが中華屋さんになっていたりと、へーっ、いろいろ変わっているんだなと思ったものの、『文学賞メッタ斬り!』を読むのに忙しく、ゆっくりそれらの変化を観察している暇がない。

 実は私、大森望の本を全部読んでいる。彼とは好みがまったく異なるので、彼が選んで翻訳した小説はわからないことが多いのだが、エッセイというか書評集というか、その手のものは全部読んでいる。これまでいちばん面白かったのは、『特盛! SF翻訳講座』(研究社)だ。

 この『文学賞メッタ斬り! 2007年版 受賞作はありません編』も、純文学に触れたところはそちら方面に無関心の私にはよくわからないのだが、それでも面白いのは、この二人に芸があるからだろう。だから読み始めるとやめられなくなる。

 本の雑誌社に行くと、思ったよりも郵便物が溜まってない。私の住所が変更したことにそろそろ気がついてくれたのでしょうか。浜田と雑談していたら杉江が帰社してきて、そのうちに浜本を戻ってきた。みんな、忙しそうだ。いいなあそういうの。

 また『文学賞メッタ斬り! 2007年版 受賞作はありません編』を読みながら笹塚駅まで戻り、新宿に出て、小田急線に乗る。ちょうど夕方のラッシュにぶつかったので、電車はすごい混雑だ。私、ラッシュの電車に乗るのは20年ぶりくらい。すごいんですね。なんとか吊り革につかまる位置を確保して、片手で本をめくり、ずっと読んでいく。新百合ヶ丘で各駅に乗り換え、玉川学園前で降りると、あと20ページ。そこから家までは暗い道が続くので歩いて読むのは不可能だ。じゃあ、ここで読んでいこうと駅のベンチに座って最後の20ページを読む。

 結局、渋谷→笹塚→新宿→玉川学園で読了してしまったが、一冊の本を作るには多大な労力がかかっているだろうに、こんなに短い時間で読んでしまって、ホントに申し訳ない。まあ、それだけ面白かったということだから、いいか。