7月18日(水)

 仕事場にいたら、「今週は来ないんですか?」と浜田から電話。ずっと以前に本の雑誌社に在籍していたN君が郷里から桃を送ってきたのだという。しかし仕事がつまっていて、とても笹塚まで行く時間が取れない。

「あのね、今月の下版が2×日だってきのう初めて聞いたんだよ。でもね、オレは土日はだめでしょ。だから、21日と22日は仕事が出来ない。しかも来週の23日と24日、月曜も火曜も予定が入っているから、そこも仕事が出来ない。ということは、なんとあさっての20日までにガイドの本を読んで原稿を書かなければならないんだよ」

 私としては、下版の日を聞いたのはきのうだということを主張したかったのだが、
「下版の日は、このあいだ来たときに白板に書いたあったでしょ」と浜田。そうか。みなさんの誕生日のことしか見ていなかった。あのとき、下版の日も書いてあったのか。
「それに、桃がいいなあと言ったのは目黒さんですよ」
 えっ、何それ。
「Nさんがこのあいだ来たとき、10号坂商店街の居酒屋で呑んだでしょ。そのとき、野沢菜もおいしいけど、桃とかブドウとかがいいなあって、目黒さん、Nさんに言ったじゃないですか」
 ふーん。そうだったかなあ。

「じゃあ、みなさんで食べて」と電話を切ると、すぐに吉田伸子から電話。この忙しいときに何なんだよ。ところが、ゲラで読んだ小説がすっごくいいと彼女は言うのだ。おいおい、そんなゲラ、オレのところには届いてないぞ。いま目玉がなくて困っているんだよ、というと、「じゃあ、担当者に送ってもらうよう頼んでみる」と伸子。いいやつじゃん。彼女は時々、新刊情報の電話をこうしてくれるのだが、得難い友だ。どんなに忙しいときでもいいからね。じゃんじゃん電話ちょうだいね。じゃあ、お返しにと、私がゲラで読んだ傑作を教える。「あ、その本、届いている」と伸子。えっ、まだオレのところへは届いていないんだけど。

 きのうは雨の中を神保町まで出かけ、新刊を数冊買ってきたばかり。机の後ろの書棚の新刊コーナーにはすぐ読まなければならない本がこれで6冊。ここにゲラが入ると7冊分になるが、こういう忙しさは大歓迎。全部傑作だったらいいなあ。