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2月26日(木)

 今週水曜日の話だが、K嬢がミステリマガジンの編集長に就任したのでそのお祝い会を開くことになった。発起人は30分前に集合のことと言われたので、池林房に向かったのだが、その前に名刺入れを買おうと思ったのがこの日の失敗。

 名刺入れは持っているのだ。だがどこへいったのか最近見かけないのだ。もっとよく探せばいいのだが、面倒くさいし、ま、買っちゃえと思ったわけである。で、伊勢丹の1階で名刺入れを買ってから池林房へ。コートをハンガーにかけ、荷物を置いてから会費を払う段になると、えっ、スーツの内ポケットに財布がない! ちょっと待て。あわててハンガーにかけたコートの左右のポケットを探る。ここにもない。ズボンのポケットにもどこにもない! じゃあ伊勢丹だ。財布をスーツの内ポケットから取り出して名刺入れを買ったあと、そのままカウンターの上に置き忘れたのではないか。伊勢丹で名刺入れを買ったときには間違いなく財布はあったのだ。池林房についたらなくなっていたのだ。伊勢丹の店内か、そこから池林房まで歩いて移動する間になくなったとしか思えない。いくらなんでも落としたら気がつくだろうから、伊勢丹のカウンターに置き忘れた可能性が高い。

 コートもはおらずそのまま伊勢丹まで駆けた。カウンターに置き忘れるなんてドジなお客さんなんだから、と販売員の笑顔までこのときは浮かんでいた。伊勢丹のカウンターになかったら大変なことになるから、それ以外のことは考えていなかった。

 伊勢丹に駆け込んで、つい10分前に名刺入れを買ったカウンターにいった。
「ここに財布、忘れていったんですけど。ありませんでした?」
 実はまだこのときも、ようやく気がついたなこのドジ、という視線が返ってくるものとばかり思っていた。しかし反応は意外なもので、
「ちょっとお待ちください」
 と、すごく冷静なのである。さらに、奥に行って戻ってくると、
「届けてありませんね」
 と言うのだ。ちょっと待ってくれ。ようやく自分が大変なことをしたことに気がついた。週末の資金が入っていたことはいいとしよう。困るのは銀行のキャッシュカードに伊勢丹のアイカード、健康保険証に、あと2枚カードがあったはずだ。何だっけ? それらがまとめてなくなったということだ。どうすればいいんだ?

 すると中年の男性販売員が、「アイカードをとめますか?」と言う。おお、そうだ。悪用される前にとめてくれ。で、アイカードのカウンターまでいき、その手続きをしたのだが、銀行のキャッシュカードもとめなくては。しかしもう夕方で銀行はしまっているし、どうしたらいいんだ?

 横にいる中年の男性販売員に、「あなたの職務とは全然関係ないことを聞いて申し訳ないんだけど、銀行のキャッシャカードをとめるにはどういう手続きをしたらいいのか、知っていたら教えてほしいんですが」と尋ねると、「ちょっとお待ちください」と自分の携帯電話を取り出してどこやらへ電話するのである。
 あと2枚のカードはなんだっけ、と必死に記憶を振り絞っていると、銀行の係の人が出ましたのでどうぞ、と中年男性氏が携帯電話を差し出す。この電話が長電話になり、結局クレジット機能も止めなければならないということでそちらの手続きもしていたら20分もたってしまった。その間、中年男性氏は横で立って待っている。ホント、申し訳ない。

 で、無事に二つのカードをとめてから、外に出た。まだやるべきことはたくさんある。とりあえず次は交番だ。紛失届けを出さなければ。とそのとき、池林房にいる翻訳家のT口T樹から電話。この忙しいときに何だよ。すると、財布があったと言うのだ。えっ、どこにあったの?

 コートをハンガーにかけたまま私は外に飛び出したのだが、そのコートのポケットを念のために探ってみたら、あったというのである。嘘! オレ、最初にコートのポケットを探ったぜ。実は私が探ったのは左右のポケットで、そこにないのでこれはダメだと伊勢丹まであわてて駆けてしまったのだが、コートの内ポケットに入っていたという。
 ようするに買い物をしたあと、財布をスーツの内ポケットにしまったと思っていたのだが、そのときコートを重ねて着ていたので、私は知らない間にコートの内ポケットのほうに入れてしまっていたのだ。

 もう失効の手続きをしてしまったので2枚のカードの再発行の手続きをしなければならないが、紛失したことを考えれば、そのくらいの手間はどうでもいい。あわててはだめ、ということである。よく探してから駆けなさい、ということだ。
 それにしても、いくらサービス業とはいえ、伊勢丹の中年男性販売員の親切さは素晴らしい。私の長電話の間、ずっと横で直立不動だったのである。しかも彼の携帯電話を私は使っていたのだ。彼に非があることではないのに、ホントに申し訳ない。お買い物は伊勢丹だ。

2月23日(月)

 ダイエットは楽しい。1日に何度も体重計に乗るのだ。100グラム増えたの減ったのとそのたびに一喜一憂するのである。それにしても体は正直だ。ちょっ と食べすぎると、必ず体重は増えるのである。たとえば前日、飲み会が入って、いつもより少し呑んだかなあ食べたかなあと思うときがありますね。すると翌 日、体重計に乗ると必ず1キロ増えていたりする。1キロ増えるのは簡単でも、1キロ落とすのは大変だ。

 面白いのは、心理的なものがすごく大きいことである。たとえば順調に体重が減っているときは、すごく腹が減る。つまり心のどこかに、これだけ減っている のなら、もう少し食べてもいいんじゃないかという気持ちがあるのだ。そういうときは無性に食べたくなるから、空腹の度合いもいつもの倍。で、油断して食べ てしまうと600〜800グラムはすぐに増える。逆に、全然体重が落ちてないときや、増えてしまったときは、これではいかんと思うのだろう、今度は空腹に ならないのだ。食べなくても全然平気なのである。

 私の場合、朝食(だいたい9時)から昼食(だいたい12時)までの間が短いから、この間は我慢できる。もともと朝は食べなくても平気なのだ。これまでは 習慣で食べていただけであることがよくわかる。だから、リンゴ一個でもOK。問題は、昼食から夕食(これがだいたい7時)までの間で、心理的に負けそうに なるのはこの間である。前日に油断して食べすぎたときなどは、この間も強い姿勢で乗り切ることが出来るけれど、順調なときほど、ま、いいじゃんと負けそう になる。

 たとえば、朝99・8キロで(これはたとえですよ、そんなに太っていないですよ)、晩に99・1キロになっていたとする。700グラム減ったわけだが、 これはそれほど嬉しくない。それよりも、翌朝98・9になっていたときのほうが嬉しい。前日の夜に比べればたった200グラムしか減ってないのだが、99 キロが98キロになったわけだから、なんとなく「一つ山を超えた」という気になるのだ。

 とりあえず、十個の山を超えるつもりでいるのだが、一つ超えるたびに、体重計の上で「よし」とガッツポーズしたりするのである。人生に目標ができるとホ ント、楽しい。これまでオレの人生には目標がなかったことを、しみじみと反省する。ただいま六個の山を超えたところだが、あと残された山は四つ。次の報告 はその四つを超えたときだ。

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