WEB本の雑誌

12月4日(月)

 『おすすめ文庫王国』の事前注文の〆切前日なので、まだ注文の取れていない書店さんを駆け足で廻る。東京駅のY書店さんに行ったついでに、先週、東京駅構内にオープンしたF書店を見に行く。

 少し前まで、お店の立地というのは、駅前が一番だと言われていたが、今ではJRや電鉄系の多角経営が進み、駅前よりもその駅の中が一番になってしまった。F書店は、都内だと上野、赤羽、品川駅などのコンコースに出店しているが、どのお店もすごい売上。坪数でいくとたいした広さはないけれど、やはり人の流れのど真ん中にあるため、各出版社の文庫売上ランキングでは、全国10位以内を誇っているお店もある。もちろん雑誌や単行本もすごい売れ行き。おまけにこの駅中書店は商圏がとても広く(その駅を利用しているすべての人がお客さんになるため)、上野駅にオープンしたときには、大宮や柏あたりの書店さんにまで影響が出てしまったようだ。

 東京駅のF店は、これが書店なのかと思うほどキレイにレイアウトされていて、チケットぴあまで設置されていた。おまけに書店の前がカフェになっていて、なかなか良い雰囲気。気になる点は、南口と中央口の間というちょっと中途半端な場所にあることだけ。まあ、それでも新幹線改札口の正面だからお客さんは入るのか…。

 どっちにしろ、本の雑誌は置いていないのでどうでもいい…と投げやりになりつつ移動。

 渋谷のP書店さんに行くと、いつも通り、とんでもない本が売れ行きベスト1になっていて思わずニンマリ。『ばばかよの幸せのヒント集 第2巻』(集英社)。こんな本が1位になっている書店さんは、きっと全国でここだけだと思う。また、3位の岳本野ばら『ミシン』(小学館)もかなり異質。やっぱりP書店は、面白い。

 地域ごとに傾向が出るのはお店の面白さであり、上で紹介した本を他店に持っていっても売れなかったりする。僕の経験でいくと、渋谷の売れ方に対応できる地域は、新宿と吉祥寺で、それ以外の場所だとちょっと難しい。また、逆に言うと銀座で売れているような本を、渋谷に持っていってもなかなか売れない。この地域差に、お店の個性や雰囲気が入り交じるので、またまた面白い。

 それに、渋谷と一口で言っても、やっぱり一番とんでいるのが、このP書店でそれに続いているのが、B書店。逆に客層が渋いのが、A書店やT書店。反対側に渡ったY書店なんかだとまたまた変わってくる。

 これだから出版営業はやめられない。お店の特徴を考え出すと奥が深くて面白いことこの上ない。

 P書店のY店長とそのあたりのことを話しつつ、
「Yさん、よくこんな新しい本がわかりますね?どうやって情報を仕入れているんですか?」と聞いてみたら
「いや、やっぱりわからないのよ、はっきりしたことは。ただ、何となく、新刊のチラシとか、本そのものを見た瞬間に、ピピッと来るのよね。外れることもあるけどさあ。」

 Y店長に限らず、どこの書店員さんも、それぞれアンテナを張っている。新刊チラシや本の装丁を見た瞬間に「コレは!」と思うものがあるようだ。それが、そのお店の、その担当者の、個性となり、面白い棚を作っているのだと思う。そのピピ本が売れていたりするから、書店さんのアンテナ力はすごい!世間はITなんてやたらにもてはやしているけれど、やっぱり経験に基づいたアナログな人間も素晴らしい!

 どこへ行っても同じ本ばかり並んでいるなあ…と思う方は、是非、渋谷のP書店さんを覗いてみて欲しい。個性豊かな新しい本に出会えると思う。まあ、その並んでいる本が気にいるかどうかは難しいところだけれど…。