WEB本の雑誌

3月27日(土) 炎のサッカー日誌 2004.03

 朝、駒場スタジアムへ向かうため、バイパス463号線を自転車で飛ばしていると、真正面に富士山が見えた。その雄大さ、荘厳さに胸を打たれ、しばし自転車を停め、鑑賞。

 一、富士。二、鷹。三、なすび。間違いなく、これは吉兆であろう。

 しかし再度自転車に跨り、駒場スタジアムに向かっていると、妙なデジャブ感に襲われる。前に一度まったく同じようなことがあったぞ。うん? これはデジャブなんかじゃない。確か昨年の天皇杯初戦も綺麗に富士山が見えたのだ。あの時の勝敗は……。

 非常によろしくない災いを呼ぶ、前日抽選一ケタと富士山が揃った。ヤバイヤバイ。胸のうちに秘めておこうかと思ったが、人間心の準備というものも必要だろう。観戦仲間の疫病神オダさんにこっそり告げると「早く、帰れ!」と出口に向かって背中を押されてしまう。疫病神に追い出される僕って何?

 そうはいっても帰るわけにもいかず、試合開始とともに声を張り上げる。が、しかし…。

 すでに2004年浦和レッズ名物になりつつある、前半早々のあっけない失点が、本日も繰り返される。サッカー観戦中に「シュウチュー(集中)」と叫ぶ人たちが大勢いる。特にフリーキックやコーナーキックのときには、ここかしこで、シューチューの声が飛ぶ。

 しかし浦和レッズの選手達、特に前半に集中している選手なんてひとりもいないんじゃないかという気がしてくる。ボールへの反応が遅い、あるいはどこにボールがあるのかもわかっていない。うーんこのチームに一番必要なのはカウンセラーか催眠術師なのではないか。

 あっけない失点の後、またもやあっけない失点。ここまで来ると自由席に「怒」の文字がふわふわ漂いだす。コールよりもヤジが増えてくるのだ。

 その後、これまた2004年レッズ名物となりつつある、追い上げで2対2と同点に追いつくが、逆転することはなく、最後の最後にまたもやシューチューが切れ、大分・高松にゴールを決められてしまう。

 04年、初の敗北。
 疫病神オダから、お前が本物の疫病神だとののしられつつ、富士を振り返ることなく競技場を後にする。クソー、負けるのがこんなに悔しいなんて忘れていたぜ!!!