WEB本の雑誌

4月14日(水)

 早速『増刊 本屋大賞2004』追加注文が入り出し、その直納。ほぼ幽閉されていた2日間。やっと外に出られる。しかも追加分の本を持っての営業だ。こんな幸せなことはない。

 直納先である銀座A書店さんを訪問すると、入り口すぐ左側の平台で「本屋大賞」を大きくフェア展開してくれているではないか! 喜びに満ちあふれつつ、大賞受賞作である『博士の愛した数式』小川洋子著(新潮社)の本屋大賞受賞帯を撫でる。

 その後、担当のOさんに売れ行きを確認すると「昨日一日で『博士~』が5冊も売れたよ」との答え。5冊の売上というのは、もちろん会社や立場によって受け取られ方は違うだろう。しかしこの5冊が本当に本屋大賞受賞作だから売れたのであれば、これは本来なかった売上なのではないか。

 5人の人が、どこかで本屋大賞を知り、そして受賞作である『博士~』を1575円出して買われたのだ。

 この興奮というか喜び。
 どう伝えたら良いのか。

 もちろん、それを目指してここまで頑張ってきたのだ。しかし不安はとてつもなく大きかった。誰も相手にしてくれなかったどうする? 出版社に迷惑をかけるんじゃないか? あるいは投票してくれた書店員さんの苦労を無駄にするんじゃないか? そんなことが毎晩僕の頭に浮かんでいた。

 最終的な数字はまだわからないし、そもそも本屋大賞は始まったばかり。
 けれど、ここで『博士~』が5冊売れたのだ。

 お店を出て、雨降る銀座を眺めた。
 そして、僕は深呼吸をした。