WEB本の雑誌

9月13日(月)


 孤独に闘うことを決意し、5年目に突入!

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 かつて書店員さんにとってスリップは宝物だった。

 それは片面が報奨金というお金に変えられるものであったからという理由は当然あるのだが、それだけでなくスリップというものが売れ行きを理解するのにとてもわかりやすいものだったからだ。

 お客さんが本をレジに持って行ってお金を払う。その際レジの人は本に挟み込まれているスリップを抜く。だからそのスリップを数えれば何冊売れたかすぐにわかるし、それこそスリップの束の厚さで売上がある程度予想ができた。そういえばかつての書店員さんは売れ行きを伺ったときに「こんなに売れてるのよ」と、あたかもそこにスリップの束があるかのように手を広げたりしたものだ。

 またそのスリップの重なりによって、お客さんがどの本とどの本がまとめて購入したのか、そういった傾向も手に取るように分かった。だからかつての書店員さんは暇さえあればスリップを眺め、整理し、発注や売り場の商品構成を考えていたのである。僕が書店で働き出したとき言われたのは「スリップを見ただけで、背表紙が思い浮かぶようになって半人前」であった。

 ところがレジがPOS化され、販売データがデジタル化されるにようになって、スリップはゴミと同様に扱われるようになってしまった。今じゃまったく必要とされず、本当に捨てられてしまう店舗もある。

 もちろん売れ数は、パソコンで見ればわかる。しかし、パソコンで売れ行きを見るときに危険なのはベスト30とか50という上位だけに目がいくことで、その下位、週に1冊づつコンスタントに売れていくようなものをついないがしろにしてしまう傾向があるのではなかろうか。もしかしたら地道に売れるロングセラーが少なくなっているのは、こういうもののせいかもしれないなんて考えている。

 パソコンで出てくる販売データの情報の量と、スリップをいじって得る情報の量では、圧倒的に後者の方があったはずだ。本当にそれを捨ててしまっていいのだろうか?