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9月26日(日) 炎のサッカー日誌 2004.11


 隣で観戦していた身長193センチの巨人・キリーが、30センチ下にある僕の顔を見下ろしながらぼそりとつぶやいた。

「FC東京戦でバブルが終わって、やっぱ1勝の大きさ、勝つことの難しさ、そういうものを大切にしないといけないっすよね」

 ほんとその通りだ。かつては年間でこの連勝分くらいしか勝てなかった時期もあったのだ。
 あの頃、スタジアムには勝利に対しての凄まじい切望感が渦巻いていて、たった1勝を生で見られることの非現実性というか、その幸運の大きさは、まさに夢のような出来事であった。

 あれから十数年が経ち、ついに我ら浦和レッズは勝利するのがある程度普通になり、中堅上位から上位を狙えるチームに成長していっているのだ。あの頃と同じ想いは持てないけれど、今度は目の前にあるリーグ優勝の扉をこじ開けるために、勝利を切望していく必要がある。

 しかし勝利の女神はそう簡単に振り向いてくれないようだった。
 この2試合で、ここのところ信じられないほどのパフォーマンス見せていた山瀬と長谷部を連続して怪我で失うという試練を与えられてしまったのだ。おまけに忘れてもらっては困るのは、ジーコの無理使いのため、我らレッズは坪井も失っているのである。補強、補強と騒いでもこれだけ怪我人が出たのではとても追いつかない。こんななか待ち望むのは、現在いる選手たちの覚醒である。

 この日のガンバ戦、その覚醒が起こったのだ。ついにムラムラ山田がやる気を出したのである。あの山田が90分間ファイトしたのだ!

 今までだったら上を向いたり、人のせいにしてボールから目を離し、集中を切らすことが多かった山田が、この日怪我人の代役としてトップ下につき、90分間、一生懸命自分の仕事を探し、敵ゴール前から、自陣ゴール前まで走り続けたのだ。

 その山田に勝利の女神は微笑んだ。同点ゴールという幸福が彼の足から生まれ、より一層やる気を起こさせたのである。ノブヒサよ、浦和の優勝と同じくらいこの日を僕は待っていたのだ!

 その山田を中心に、中盤の選手達(鈴木啓太や酒井友之)の追い込みが利き出す。信じられない運動量でボールを追い回し、高い位置でのボール奪い、前線に供給する。そしてFC東京戦のように攻め焦ることなく、ダメなときは一度後ろにボールを戻し、再度穴を探すのだ。そう! それこそ前監督オフトに教わってきた大事なことだ。


 2対1の勝利は、前々節までの爆発的バブルな勝利ではないけれど、ここでこうやって勝てるようになったレッズは本物だ。僕はもう11月28日に浦和の街に勝利の歌が高々と響き渡るのを信じて疑わない。