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6月24日(火)

 大変なものが届いてしまった。
 なんとこの『炎の営業日誌』の単行本のゲラである。

 ということはこの日記を本にしたいという奇特な出版社がついに現れたのである。その日本一奇特で、勇気のある出版社は、秋田の無明舎出版である。その出会いは5月21日の日記に書いているのだが、その日、酔っぱらった僕に向かって安倍さんは「あの日記、本にさせてください」と言ってきたのであった。

 僕は一気に酔いが覚め、安倍さんの気が変わらないうちにハンコでも拇印でもなんでも押しちゃおうと思ったのであるが、当然そこには契約書なんてものはなく、とにかく何度も首を縦に振り(間違っても横に振らず)、その晩は秋田に向かって、頭を垂れて寝たのであった。

 そうはいってもおそらく酔っぱらいの戯言だろうと半分思っていたのであるが、安倍さんは秋田に戻ると早速メールをよこし、素面でも本気のようであった。恐ろしい人である。その時点では、まだあの幸せな日々に戻ることが出来たのに……。

 しかし僕はこの勢いに乗らぬ手はないと1600本分のテキストデータを送り返してみた。たぶん僕ですら、読みかえしたくないものをまさか読むわけないだろうとここでも高をくくっていたのだが、それから約ひと月後の今日、全部読んだ上で、半分まで削ったゲラが届いたのであった。

 安倍さんは「ここからあと半分くらい刈り込んで欲しい」というのである。本にしてくれるなら刈り込もうが、植え替えようが、何でもしてやろうと思うのであるが、その量がハンパではない。はっきりいって誰か勝手にやってくれないかと思う気持がないわけではないけれど、少しでも良くして世に出さなければならないという製造物責任者の気持ちは当然ある。

 いやその前に、誰が買うの?とか、こんなの本にしていいの?とか、もろもろの思いは当然あるのだが、それはひとまずここでは書かない。

 発売はおそらく9月か10月になるそうで、とにかく無明舎出版に迷惑をかけないよう頑張らねばならない。

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