7月11日(金)
- 『カイシャデイズ』
- 山本 幸久
- 文藝春秋
- 1,450円(税込)
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三省堂書店神保町本店での『辺境の旅はゾウにかぎる』出版記念・高野秀行×宮田珠己対談を終えた後の飲み会で、同席していた新潮社の編集者Aさんに「杉江さん、好きな作家の本作れて幸せでしょう」と言われたが、ほんとうにそのとおりだと思う。ぼくのわがままな行動を許してくれている本の雑誌のメンバーに感謝しております。今日も、浜田と松村が忙しいなか助けに来てくれたし。
......なんて突然真面目に書いているのは『カイシャデイズ』山本幸久(文藝春秋)を読んだ影響からか。山本幸久の上手さなんてとっくのとうに分かっているのだが、いやはやほんとうに上手い。例えば経理兼総務部大屋の喜びをこう書くのだ。
「社員みんなの給料を数えている大屋は満足だった。その数字のむこうには、社員の笑顔が見えた。さらにそのうしろにはそれぞれの家族がいる。そう考えると幸せな気分になれた。自分の働きで他人が幸せになる。これが仕事だ。」
働いている人みんなが愉しめる小説だろう。